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千年前に戻った聖女は、最凶魔王を『お花の好きな優しい子』に育てることにした!  作者: 優木凛々
第2章 デイジーは、最凶魔王を”お花の好きな優しい子”に育てることにした!

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デイジーは、魔王を“お花の好きな優しい子”に育てることにした!


本日5話目です。



「……さて、わたしは、これからどうしよう」



 魔王カイヴァルミオンの子ども時代にタイムスリップしたことは分かった。

 でも、どうやって来たかも、どうやって帰るかも分からない。



(これ、最悪この時代で暮らすことになるんじゃ……)



 ――と、そのとき。




 ガタンッッ




 隣の部屋から何かが落ちるような音がした。

 子どものうめき声が聞こえてくる。



「ど、どうしたの!?」



 慌てて隣の部屋のドアを開けると、部屋の床に少年が倒れているのが見えた。

 うつぶせになり、うめき声を上げている。


 デイジーは驚いて駆け寄ると、男の子がむくりと起き上がった。

 朦朧とした顔で、爪で床を引っ掻きながら、絞り出すように呻く。



「くそっ! あいつら……! くやしい……! くやしい……!」



 その瞬間、少年の体から、憎悪に満ちたどす黒い魔力がにじみ出た。

 デイジーは思わず身を震わせる。



(なんて禍々しいの……!)



 彼女は咄嗟に少年の小さな体を抱きしめた。

 背中を撫でながら優しく言う。



「大丈夫、大丈夫よ。悪い奴が来たら、わたしがやっつけちゃうから」



 少年の体から徐々に力が抜け始めた。

 禍々しい魔力が消え、デイジーにもたれかかりながら、寝息を立て始める。



「……ふう」



 デイジーは、安堵の息を漏らした。

 少年の痩せた体を抱え上げると、そっとベッドの上に寝せる。


 そして、ベッドの端に座ると、少年の顔をながめがなら、ため息をつく。



(……まあ、無理もないわよね)



 母親が亡くなった上に、こんな場所に追いやられて、1人ぼっちで住んでいるのだ。

 家も服もボロボロ。

 しかも、この様子だと、ロクな食事もできていない。



(……こんな境遇じゃあ、グレちゃうわよね)



 極悪非道の魔王になった理由が、何となく分かる気がする。


 そして、デイジーは、ふと思った。


 もしも、自分がこの子を愛情をもって育てたら、グレなくなるのではないだろうか。

 優しさが芽生えれば、王国を滅ぼすなど言わなくなるのではないだろうか。


 デイジーは思わず立ち上がった。



(これだわ!)



 デイジーはこれからどうなるか、自分でも分からない。

 ずっとここにいるかもしれないし、ふとした拍子に戻る可能性もある。


 でも、ここにいる間、魔王を優しい子に育てられれば、

 極悪非道な最凶魔王ではなく、心優しい誠実魔王になるかもしれない。



(どうせ、わたしは、この子のことを放っておけない。だったら……)



 彼女は決心した。



(この子が、優しい子になるように育てよう!)



 庭に花をいっぱい植えて、一緒に花を育てて、お花の好きな優しい子に育てるのだ。



「……とはいえ……」



 デイジーは、男の子の背中をそっと撫でた。



(まずはこの痩せた体を何とかしないとね)



 お腹が空くのはことはとても辛いことだ。

 まずはお腹いっぱいご飯を食べさせよう。

 ボロボロの服も、埃だらけの壊れかけた家も何とかしたい。



(とりあえず、生活基盤を整えないとね)



 そんなことを思いながら、デイジーは男の子の頭をそっと撫でると、静かに部屋を出て行った。






今日はここまでです。

第2章終わりまでサクサクいきます。


それでは皆様、また明日!

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