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作戦を◯す

「石橋で待ち伏せる」


ダリオが地図の一点を指した。


水車小屋の机を、反乱組織の構成員たちが囲んでいる。


「道幅は荷馬車一台分。前後を塞げば、兵士は逃げられない」


「相手も同じことを考える」


レンが言った。


ダリオの指が止まる。


「どういう意味だ」


「徴兵へ反発する人間がいることくらい、レオルドも分かっている。狙うなら、道幅が狭くなる石橋だと考えるのも難しくない」


「なら、どうする?」


レンは地図を引き寄せた。


ベルカ村へ通じる道は二つ。


石橋を渡る街道と、東側の採石場を抜ける旧道。


二本の道は、村の北にある切り通しで合流する。


「どちらを使っても、ここを通る」


レンは合流地点を指した。


左右を岩壁に挟まれた細い道。


兵士が待ち伏せを警戒して石橋を避けても、村へ向かうなら必ず通らなければならない。


「でも、村に近すぎる」


ニナが地図をのぞき込む。


「戦闘になれば、音が届くかもしれないよ」


「村へ到着してから戦うよりはましだ」


「兵士が信号を上げれば、村にいる人たちが巻き込まれる」


「だから最初に信号を封じる」


レンは命令書へ目を移した。


徴兵部隊は二十四名。


そのうち一人が宮廷魔導師。


部隊の後方には、連絡用の魔道具を積んだ小型の荷馬車がある。


「魔導師と魔道具を最初に潰す。前後を塞いだあとは、煙で視界を奪う」


「二十四人を相手に、何人でやるつもりだ」


ダリオが尋ねる。


「多いほど動きが読まれる。六人でいい」


「六人?」


「正面から倒す必要はない。部隊を止めて、村へ行けなくすれば終わりだ」


「簡単に言うねえ」


ニナが笑う。


「参加しない奴は黙ってろ」


「私も行くよ」


「戦えるのか」


「弓なら少し」


「少しがどの程度か分からない」


「止まってる的には当たる」


「動いている的は?」


「止まるまで待つ」


レンはニナからダリオへ視線を移した。


「ほかの人間を出せ」


「嫌だ」


答えたのはニナだった。


「村へ兵士が来たのは、私が命令書を盗んだから分かった。最後まで責任を持つよ」


先ほどまでの軽い口調は変わらない。


それでも、退くつもりがないことだけは伝わった。


「足手まといになったら置いていく」


「分かった」


「助けを求めても戻らない」


「それも分かった」


ニナが笑顔でうなずく。


「やっぱりレンって、優しいね」


「どこを聞いてそう思った」


「危なくなったら置いていくって、先に教えてくれたところ」


「勝手に解釈するな」


「置いていかれないように頑張るよ」


ニナは弓を取りに、机から離れた。


ダリオが小さくため息をつく。


「止めても無駄だ」


「らしいな」


レンは地図へ視線を戻した。


          ◇


徴兵部隊が現れたのは、翌日の夜だった。


月は雲に隠れている。


村へ続く切り通しには、松明の光だけが近づいてきた。


レンは岩壁の上から、兵士の数を確認する。


先頭に騎兵が四人。


その後ろに、空の荷馬車が二台。


歩兵が十二人。


後方には幌のついた小型馬車と、残りの兵士。


依頼書にあった人数より二人多い。


宮廷魔導師は、二台目の荷馬車へ乗っている。


もう一人。


後方を歩く兵士の中に、杖を持っていない魔法使いがいた。


外見はほかの兵士と変わらない。


だが、一人だけ鎧の重さを感じさせない歩き方をしている。身体強化によって負荷を消しているのだろう。


「魔導師が二人いる」


レンが小声で言った。


隣に伏せているニナが、部隊へ目を凝らす。


「どれ?」


「後ろから三人目」


「普通の兵士に見えるけど」


「魔力を隠している」


「分かるの?」


「動きを見ればな」


ニナは質問を重ねなかった。


背負っていた弓を下ろし、矢を一本つがえる。


「どっちを狙えばいい?」


「後ろだ」


「最初に?」


「俺が合図を出してからだ」


「分かった」


素直な返事だった。


切り通しの中央へ、先頭の騎兵が入る。


まだ動かない。


一台目の荷馬車。


歩兵。


二台目の荷馬車。


全体の半分が、岩壁の間へ入った。


レンは息を抑えたまま、最後尾を見つめる。


連絡用の馬車が入る。


隠れていた魔法使いも、切り通しの中央まで進んだ。


レンは右手を上げた。


反対側の岩壁で待機していたダリオが、縄を切る。


積み上げられていた丸太が、斜面を跳ねながら転がり落ちた。


先頭の馬が甲高くいななく。


騎兵が手綱を引いたときには、丸太が街道へ激突していた。


乾いた地面が揺れ、砂埃が噴き上がる。


「敵襲!」


兵士の叫びが切り通しに反響した。


隊列が止まった瞬間、後方でも岩が崩れた。


逃げようと向きを変えた馬が、後続の歩兵を押し倒す。


前にも進めない。


後ろにも戻れない。


「防御陣形!」


二台目の荷馬車にいた宮廷魔導師が立ち上がった。


杖の先に、青い光が集まり始める。


レンは腰を浮かせると同時に、小さな瓶を投げた。


瓶が魔導師の頭上で割れる。


中から広がった灰色の粉を吸い込み、魔導師が激しく咳き込んだ。


集まりかけていた光が霧散する。


ニナが矢を放った。


弦が鳴り、矢が煙の手前を横切る。


後方にいた兵士の肩へ突き刺さった。


隠れていた二人目の魔法使い。


動いていた。


それでも、矢は外れなかった。


「止まってないぞ」


レンが言った。


「今のは、たまたま!」


ニナが二本目の矢をつがえる。


切り通しの両側から、反乱組織の者たちが火をつけた袋を落とした。


中に詰められた湿った草がくすぶり、重い黒煙を吐き出す。


風の逃げ場がない切り通しは、数秒で煙に覆われた。


兵士たちが咳き込み、怒鳴り声と馬のいななきが重なる。


岩壁の上にいるレンの目にも、煙が染みた。


視界が完全に塞がれる前に動く。


レンは布で口元を覆い、岩壁から飛び降りた。


一台目の荷馬車の幌へ着地する。


衝撃が両膝を突き上げ、傷んだ木枠が鈍い音を立てた。


足場が沈む。


体勢が崩れた一瞬を狙い、近くにいた兵士が剣へ手を伸ばした。


抜かせる前に、その手首を蹴る。


骨へ当たった感触。


剣が石の上へ落ち、甲高い音を響かせた。


レンは荷馬車から飛び降りながら、兵士の首筋へ短剣の柄を打ち込む。


兵士が膝から崩れた。


煙を裂いて、左側から槍先が飛び出す。


気づくのがわずかに遅れた。


レンは上体をひねる。


穂先が胸当ての端をかすめ、革を浅く裂いた。


脇腹に冷たい空気が触れる。


半歩遅ければ、肉まで届いていた。


レンは槍の柄を両手でつかむ。


兵士が引き戻そうとした衝撃が、掌から肩へ食い込んだ。


力で競えば、鎧を着た兵士のほうが強い。


レンは抵抗せず、引かれる勢いに乗って前へ出た。


驚いた兵士の懐へ入り、顎へ肘を叩き込む。


歯が鳴る音。


兵士の力が抜けた。


レンは奪った槍を投げ捨て、煙の奥へ進む。


目が痛む。


喉へ入り込んだ煙で、呼吸が浅くなる。


だが、兵士たちも同じだった。


最初の魔導師は、荷馬車から転げ落ちながら杖へ手を伸ばしている。


その指を、レンが踏みつけた。


「ぐっ!」


骨が軋む。


魔導師が杖から手を離した。


レンはそれを蹴り飛ばし、首元へ短剣を当てる。


「動くな」


「き、貴様……」


魔導師の背後で、赤い光が膨らんだ。


煙の中でも分かるほど強い魔力。


皮膚が粟立つ。


二人目の魔法使いが、肩に矢を受けたまま右手を向けていた。


赤い魔法陣が展開している。


「レン、左!」


岩壁の上から、ニナの声が飛んだ。


レンは目の前の魔導師を突き飛ばし、自分も横へ跳ぶ。


直後。


火球が荷馬車へ直撃した。


爆ぜた炎が幌をのみ込む。


衝撃がレンの背中を打ち、身体が地面へ投げ出された。


肺から空気が抜ける。


転がりながら腕で顔を覆ったが、炎の熱が外套の左袖へ食らいついた。


焼けた布の臭い。


肌まで熱が届く。


レンは腕を地面へ押しつけ、火を消した。


息を整える暇はない。


顔を上げると、二人目の魔法使いが次の魔法陣を作っている。


距離は六歩。


走っても、発動のほうが早い。


レンは腰の短剣へ手を伸ばす。


投げるため、相手の右手へ視線を定めた。


その瞬間。


ニナの矢が煙を貫いた。


魔法使いの右手へ突き刺さる。


魔法陣が歪み、赤い光が弾けるように消えた。


レンは地面を蹴った。


一歩目で足が滑る。


割れた瓶の液体と泥が混ざっていた。


倒れそうになる身体を片手で支え、そのまま低い姿勢で煙の中を突っ切る。


魔法使いが左手を上げた。


新しい魔法を作るつもりだ。


間に合わない。


レンの拳が喉へ入る。


潰れた声が漏れた。


呼吸を奪われ、魔法使いの身体が前へ折れる。


レンはその肩をつかみ、膝を腹へ打ち込んだ。


魔法使いが地面へ落ちる。


それでも意識を失わない。


レンの足首へ手を伸ばしてきた。


短剣の柄を握り直し、後頭部へ振り下ろす。


今度こそ、身体から力が抜けた。


胸が大きく上下している。


煙を吸い込んだ喉が焼けるように痛んだ。


そのとき、後方の小型馬車から一人の兵士が這い出した。


手には、筒状の魔道具。


空へ向けて先端を掲げている。


信号用の魔道具だった。


レンは立ち上がろうとする。


膝に力が戻りきらない。


筒の先に、白い光が集まり始めた。


「ニナ!」


名前を呼ぶより早く、矢が飛んだ。


兵士の手から魔道具が弾かれる。


起動しかけた光が地面へ落ち、火花を散らして消えた。


レンが岩壁の上を見る。


煙の向こうで、ニナは既に次の矢をつがえている。


「今、呼んだ?」


「遅い」


「撃ったあとだよ!」


「ならいい」


「褒めてくれてもいいのに」


戦闘中とは思えない声だった。


煙の中から、鎧の影が飛び出した。


残っていた兵士が、頭上から剣を振り下ろす。


レンは剣を抜き、その一撃を受け止めた。


金属同士がぶつかり、耳元で音が弾ける。


火球の衝撃が残る腕へ、兵士の重さがのしかかった。


肘が沈む。


押し切られる前に刃を傾け、相手の剣を横へ滑らせる。


切っ先がレンの頬をかすめた。


遅れて、細い痛みが走る。


兵士の身体が前へ流れる。


レンは肩からぶつかり、相手を燃えている荷馬車へ押しつけた。


兵士が怯んだ隙に、剣の柄でこめかみを打つ。


身体が地面へ崩れた。


レンは剣を構えたまま、周囲を見る。


黒煙の中で、いくつもの戦う音が続いている。


だが、王国兵の隊列は既に崩れていた。


魔導師は二人とも倒れている。


信号も上がっていない。


あとは、逃げ場を失った兵士を一人ずつ抑えるだけだった。


          ◇


戦闘が終わるまで、十分もかからなかった。


王国兵のうち、八人が死亡。


十一人が負傷。


残る者は武器を捨て、投降した。


反乱組織側にも負傷者は出たが、死者はいない。


レンは燃えた荷馬車の横で、刃についた血を拭った。


呼吸は既に整っている。


だが、煙を吸った喉には痛みが残っていた。


外套の左袖は黒く焦げ、胸当ての脇も槍で裂けている。


頬をかすめた剣の跡から、細く血が流れていた。


「怪我は?」


ニナが岩壁から下りてくる。


弓を肩へ掛け、レンの左腕を見る。


「ない」


「頬から血が出てるけど」


「かすっただけだ」


「腕は?」


「布が焼けただけだ」


ニナは焦げた部分へ指を近づけた。


触れる直前で、レンが腕を引く。


「何だ」


「確認しようと思って」


「必要ない」


「はいはい」


ニナは手を引っ込めた。


「でも、さっきは助かった」


レンが言った。


ニナが目を丸くする。


「何、その顔は」


「レンもお礼を言えるんだなって」


「言わないほうがよかったか」


「もう一回言って」


「断る」


「残念」


ニナが笑う。


ダリオたちは、捕らえた兵士を一か所へ集めていた。


その中に、部隊を率いていた隊長がいる。


額から血を流しているが、意識はある。


レンは隊長の前へしゃがんだ。


「魔導師は一人の予定だった」


隊長は答えない。


「なぜ二人いた」


「……反乱者が動くと、陛下は分かっていた」


「いつ出た命令だ」


隊長が口を閉ざす。


ダリオが剣の切っ先を、その喉へ当てた。


「答えろ」


「三日前だ」


隊長が絞り出すように言った。


「徴兵を告知すれば、必ず反乱組織が動く。陛下はそう言われた」


ニナが命令書を盗むより前。


水車小屋で襲撃を決めるより前。


レオルドは、反乱組織が徴兵部隊を狙うと予測していた。


「石橋を避けたのも、命令か」


「ああ。石橋には囮を向かわせた。本隊は旧道を使えと」


レンが地図を見て、切り通しで待つと決めていなければ。


反乱組織は、誰もいない石橋を襲うことになっていた。


「本当に、何でも先に読んでくるね」


ニナが隊長を見下ろす。


普段と変わらない明るい口調。


だが、笑ってはいなかった。


「陛下は、お前たちとは違う」


隊長が言う。


「何を企んでも無駄だ。誰が裏切るのかも、どこで兵を待つのかも、すべて――」


ダリオが剣の柄で隊長を殴った。


言葉が途切れ、その身体が地面へ倒れる。


「村へ知らせる」


ダリオが仲間へ指示を出す。


「夜明けまでに全員を逃がす。増援が来る前に、俺たちも拠点を移すぞ」


反乱組織の者たちが動き始めた。


馬を集め、荷馬車から食料と武器を下ろしていく。


レンは倒れた隊長を見る。


レオルドの魔力だけなら、対処する方法はある。


防壁にも限界はある。


眠らない人間はいない。


だが、こちらが動く前に計画を読まれるなら、近づくことすらできない。


女神が難易度を高いと判断した理由は、やはり魔力だけではなかった。


          ◇


ベルカ村の住民が避難を終えたのは、夜明け前だった。


水車小屋も放棄されることになった。


痕跡を残さないよう、地図や名簿はすべて回収されている。


ダリオは小屋を出る前に、レンへ一枚の通行証を渡した。


王都へ食料を運ぶ商人の護衛。


レンの身分は、そう書き換えられている。


「明日の朝、南の街道を商隊が通る」


ダリオが言った。


「俺たちの協力者だ。護衛として紛れれば、王都の南門を通れる」


「城内の情報は?」


「王都へ着いたら、別の協力者を紹介する。王城の使用人と連絡を取れる人間だ」


「分かった」


レンは通行証を外套の内側へしまった。


「私も行くから」


ニナが横から口を挟む。


「駄目だ」


ダリオが即答した。


「なぜ?」


「今回は運がよかっただけだ。王都では、お前の顔を知っている兵士がいるかもしれない」


「だから必要なんでしょ?」


「どういう意味だ」


「レンは王都の道も、兵士の交代時刻も知らない。南門を通れても、そのあと一人では動けないよ」


ニナがレンを見る。


「案内役は必要でしょ?」


「別の人間でもいい」


「王城の中まで知ってる人がいるならね」


ダリオの表情が険しくなる。


レンはニナを見る。


「王城に入ったことがあるのか」


「少しだけ」


「いつだ」


「昔」


「何をしていた」


「それは、もう少し信用されてから」


ニナは人差し指を立てた。


「全部先に話したら、私を連れていく理由がなくなるでしょ?」


「お前は、本当に……」


ダリオが額を押さえる。


レンは少し考えた。


ニナがどこまで王城を知っているのかは分からない。


だが、これまでの動きを見る限り、判断は速い。


矢も使える。


少なくとも、足手まといではなかった。


「勝手にしろ」


「やった!」


ニナが両手を上げる。


「許可したわけじゃない」


「止めないなら同じだよ」


「違う」


「細かいなあ」


ニナは荷物を取りに、小屋の中へ戻っていった。


ダリオが、その背中を見送る。


「気をつけろ」


「何にだ」


「あいつは、笑っているときほど何を考えているか分からない」


「知っている」


レンが答える。


ニナが扉から顔を出した。


「二人とも、聞こえてるよ!」


「なら、少しは直せ」


「今さら無理!」


明るい声が、空になりかけた水車小屋へ響いた。


          ◇


出発の準備を終えたあと。


レンは水車小屋の外で、剣の手入れをしていた。


空が白み始めている。


隣へ、ニナが腰を下ろした。


手には赤い果実がある。


村へ持っていたものと同じ種類だった。


片側が少し潰れている。


「まだ持っていたのか」


「一個だけ生き残ってた」


ニナは短剣で果実を半分に切った。


片方をレンへ差し出す。


「いる?」


レンは果実を見る。


「毒は?」


「今度は聞くんだ」


「前に、お前が言った」


「入ってないよ。たぶん」


「自分で用意したんだろ」


「途中で誰かが入れたかもしれない」


「いらない」


「冗談だって」


ニナは差し出した果実を引っ込めようとする。


その前に、レンが受け取った。


一口かじる。


少し傷んでいたが、乾燥したパンよりはましだった。


「おいしい?」


「普通だ」


「よかった」


ニナも自分の分を食べる。


しばらく、二人は黙っていた。


「私、役に立ったでしょ?」


ニナが尋ねる。


「半分くらいは」


「半分かあ」


「騎兵に見つかりかけた分を引いた」


「まだ覚えてるの?」


「昨日のことだ」


「でも、矢は二回当てたよ」


「二回目は、俺が見た場所へ撃っただけだろ」


ニナが果実を食べる手を止める。


「気づいてた?」


「俺が魔法使いを見た直後に、お前も狙いを変えた」


「レンの視線が分かりやすかったからね」


「そうか」


レンはそれ以上、追及しなかった。


ニナが、再び果実をかじる。


その横顔には、いつもと同じ笑みが浮かんでいた。


「明日から王都か」


「ああ」


「途中で置いていかないでね」


「役に立つ間はな」


「じゃあ、大丈夫」


ニナは迷いなく答えた。


「私、これからもっと役に立つから」


朝日が森の向こうから昇る。


赤い光が、水車小屋と二人の足元をゆっくりと照らし始めていた。

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