閑話 「疑惑の受検者」
主人公の受験後の、教師の話になります。
「果たして合格にして良いのか⋯⋯」
私は、神奈川第一魔法学校の教師の、扇姫百合だ。
私は今、とある受験生について悩まされている。
その受験生の名前は、月如深夜と言う。
その、月如深夜は今まで受験してきたどの生徒よりも実力は高い。知能も上の方だ。
それと同時に、今までのどの受験生よりも素性が分からなかった。
過去には裏の子供が入学して来たりだとか、名門の子供が一般の魔法使いの振りをして入学して来たりだとかあったが、その子供達よりも一線を画す怪しさがある。
まず、実技試験で大嵐を発動させるなど、おかしな話だ。
事前に、超級魔法までなら耐えられるとしっかりと説明したのに、敢えてその上を行く天災級魔法の大嵐を発動させたのだ。
天災級魔法を扱える人物が、何の脈も無しに魔法を発動させるわけが無い。この行動の真意は、学校の教師の程度を測る行為ではないのかと私は思った。
そもそも、中学生になるかならないかの子供が大嵐を発動出来る事自体がおかしい。それが百歩譲って名門の子供なら分かるが、件の少年は月如と言う聞いたことが無い苗字だった。
もちろん親についても調べたが、特質したものは見つからなかった。
寧ろそれが怪しさを倍増させた。
普通なら出身学校や家計については数時間調べれば出てくる筈なのだが、月如深夜の親に関しては、何かにシャットアウトされてる様に、何一つ出てこなかった。
私は、学校長に月如深夜について少し調べてくれと頼み込んだ。
「あの子はいいのいいの」
しかし、学校長にはそう一言言われて流されてしまった。
元々仕事熱心ではない学校長だが、頼まれた事をこんなにぞんざいに扱うような人ではない。
「ですが、学校長⋯⋯」
「いいのいいの」
私は諦めずに再度頼もうとしたが、学校長に上から「いいのいいの」と言葉を被せられてしまった。
これでは、押し問答になってしまう。
「⋯⋯失礼しました」
私は諦めて学校長の部屋から退出した。
それと同時に、とある事を確信した。
それは、月如深夜の受験には、学校長が一枚噛んでいると。
なぜ、あそこまで頑なに私の言葉を流したのか⋯⋯それは知られたくないナニカがあるからだ。
(月如深夜の素性を暴いてやるぞ)
私は密かに月如深夜の素性を暴く事を、決意した。




