表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/29

学食

  食堂は、総席数三百程あった。

  そして、その席は既に殆ど埋まっていた。


  「席空いてないな」

  「そうだね⋯⋯」


  俺とまりんはこの事実に、呆然とするしかなかった。


  空いている事には空いているのだが、四人席の内一つ空いているだとかの、とてもではないが、割り込める様な雰囲気を出していない席しか空いていなかった。


  「どうする?」

  「私は待ちたいけど⋯⋯あっ!深夜あの席空いてるけど⋯⋯」


  どうやらまりんが空いている席を見つけたようだ。

  その席は三人席だった。

 

  しかし、その席には既に一人座っていて、二席空いているという状況だった。

  これで俺達がそこに座るとなると、相席になってしまう。


  「まりんが相席でもいいなら、俺はあの席でもいいよ」

  「私は全然大丈夫だよ」


  まりんから相席の許可を得たので、先客に相席をしても良いか聞きに行く事にした。




  「相席してもいいかな?」


  俺は先客に、相席をしてもいいか質問した。


  「ん?⋯⋯」


  しかし、その先客は「ん?」と発したきり、俺を見て固まってしまった。正確には、俺とまりんを見てと言った方が正しい。


  「いいんだけどさ、逆に俺が相席していいのか?」


  しばらくすると、先客はそう言った。


  ⋯⋯なるほど、年頃の男女が一緒にご飯を食べに来るとなると、カップルに見られてもおかしくはない。


  「あぁ問題無い⋯⋯勘違いしないように言っておくけど、俺とまりん⋯⋯隣に居る女の子はカップルではないぞ」

  「⋯⋯了解」


  俺は了承の意思を伝えた。


  「まりん、何食べるか決めた?」

  「私はまだ決まってないよ⋯⋯先に頼んでていいよ」


  まりんは、食堂のメニューを見て、何を食べるか迷っていた。


  俺の知っている食堂は、十品程しか無かったが、この学校の食堂はファミレスと比べても、差異がないと言えるほど量が多かった。


  それが食堂と言うまりんにとっては初めての場所なのだ。それならば何を食べるか迷っても無理のない話だ。


  「決まったよー」


  どうやらまりんも決まったようだ。


  俺は注文をする為に、手作りのボタンを押した。

  まりんは、全自動のボタンを押していた。


  今の日本での注文の仕方は、メニューの下にある、手作りか全自動のボタンを押すだけで注文が完了する。


  手作りというのは、名前の通り厨房に居る料理人の人が料理を作り、全自動は既に完成してある料理が、僅か数秒でテーブから出て来るというものだ。


  ボタンを押すだけで、なぜ料理が届くかと言うと、機械がボタンを押したタイミングで注文者の魔核を記録し、食堂に居る人の中で、記録した魔核と一致する人に届けるという仕組みらしい。


  魔核が同じ人間は存在しないので、間違う事はまず無いのだそうだ。


  余談になるが、今の日本は魔核がお金になる。

  生まれた瞬間に、国に魔核をデータとして登録をし、その登録した魔核データに給料等が振り込まれるそうだ。


  魔核が無い人も居るが、その人達は指紋で払っている。


  これでは簡単に詐欺等が出来てしまうと思うかもしれないが、指紋の他にもその人の臓器やらもデータとして登録しているので、詐欺られる事は殆ど無いらしい。


  あくまでも殆どらしいが。




  「わぁ〜凄く美味しそう!」


  届いた料理を見たまりんは、顔をほころばせながらそう言った。


  実際に、匂いも見た目もかなり良い。

  見た目こそうどんの様な物だったが、匂いに関しては、前世で全く嗅いだことの無い匂いだった。




  数分後、俺の料理も届いた。


  「深夜のも凄く美味しそう⋯⋯」


  まりんは俺の頼んだ料理に、釘付けになっていた。

  別段まりんが食い意地を張っているわけでは無い。

  本当に料理が美味しそうなのだ。


  「食うか?」

  「うん!」


  試しに「食うか?」と質問してみたら、顔を激しく上下に振りながら、「うん」と言った。

  さながら親に玩具をねだる子供の様だった。


  「美味しい〜」


  料理を食べたまりんは、またしても顔をほころばせていた。

  この幸せそうな顔を見ると、俺も釣られて顔がニヤケてしまいそうだ。


  いや、ニヤケてしまいそうではなく、ニヤケていただろう。

  こんな微笑むを見せられてニヤケない男が居たら、それは男として何かが欠落しているだろう。


  「ゴホン」


  俺とまりんがそんなやり取りをしていると、相席している人に小さく咳払いされた。


  「お前ら本当に付き合ってないの?マジでどんな関係だよ」


  相席している人は、我慢の限界だとでも言いたそうな顔でそう言った。

 

  確かに、俺が相席している人の立場だったら、小声で爆ぜろリア充とでも言っていたであろう。


  だが、申し訳ないがこれは俺とまりんにとっては、普通の事なのだ。

  俺の前世は高校生で、その感覚は未だに抜けていない。

  その為、まりんの事は妹の様に扱っている。


  「いや、ただの幼馴染みだ」

  「⋯⋯幼馴染みってそんなもんなのか?」


  相席している人は、納得いかなかった様だが、事実幼馴染みなのだから仕方が無い。


  「まぁいいや、俺は食べ終わったから帰るな」


  そして、相席している人はそう一言言いこの場を去って行った。


  「まりん、俺達も食べ終わったら帰るとするか」

  「わかったー」


  俺達も料理を食べ終わったら帰る事にした。




  数分後、俺とまりんは料理を食べ終わった。


  「じゃー帰るとするか」

  「うん!今日は楽しかったよ」


  まりんにとっては、ご飯を食べた事が楽しかったようだ。

  もちろん俺も楽しかったが。


  俺とまりんはお金を払い、外に出ようとした⋯⋯その時だった。


  ガシャーン


  テーブルが倒れる様な音がした。


  (おかしいな⋯⋯ここのテーブルは魔法で地面と接合されている筈だが)


  俺は疑問に思いつつ、音の発信源に目を向けた。


  そこに居たのは、身体に炎を纏っている赤髪の男と、赤髪の男を嘲笑うかの様に見ている、漆黒の黒髪を持つ男だった。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ