受験「3」
「誰から大嵐を教わったのだ?」
テスト監督の先生に言われたのは、予想外の一言だった。
俺はてっきり賠償額の話だと思っていたので、少し安心した。
「父親が使っているのを見て、覚えました」
俺は正直に答えた。
「ふむ、父親か⋯⋯お前の苗字は本当に月如か?」
これは手痛い質問だ。
俺自身この苗字は、偽装の物だと確信を持っている。
しかし、それを素直にテスト監督の先生に言うわけにはいかない。
父親と母親は、実の息子にも苗字を隠しているのだ。
何かしらのやむを得ない事情がある筈だ。
「月如ですよ」
俺はなぜその質問をしたのか、意味が分からないという表情を作った。
「そうか⋯⋯分かったもう帰っていいぞ」
テスト監督の先生は、納得がいかないという表情をしているが、この場を凌げたので良しとしよう。
「先生俺から一つ質問いいですか?」
「なんだ?」
「この部屋は賠償とかするんですか?」
俺はテスト監督の先生から、部屋の事を何も言われなかったので疑問に思い、質問をした。
それに、賠償とかになるのなら、親にも言わなくてはならない。
「あぁそれなら問題無い。すぐに修復出来るから」
どうやら賠償の心配は、必要無かったようだ。
「では、失礼しました」
俺は一言そう言い、部屋を後にした。
「試験どうだった?」
控え室に戻ると、木原に話し掛けられた。
「魔法ぶっぱなして終わりだったよ」
「本当にそれだけだったの?」
「そうだよ」
「そっかー⋯⋯」
木原はなぜか腑に落ちないという表情をしていた。
「じゃー俺は帰るから⋯⋯またな」
「うん。バイバイ」
俺は木原に別れを告げ、控え室を後にした。
「まりん遅いな」
俺は学校の外でまりんを待っていた。
だが、一時間待ってもまりんは来なかった。
まだ試験を受けている人も居るが、極小数だ。それそろ戻って来てもいい頃合な筈なのだが⋯⋯。
「ごめん待った?」
どうやらまりんが来たようだ。
「いや、待ってないよ⋯⋯まりんは試験大丈夫だった?」
「うーん⋯⋯分かんない」
まりんは実技試験に自信が無いようだ。
それにまりんは、筆記試験の時も浮かない顔をしていた。
もしかしたら、まりんは試験に落ちてしまうかもしれない⋯⋯。
「深夜、今日は時間空いてるかな?」
そんな事を考えていると、まりんからお誘いの言葉が掛かった。
この誘いの仕方は遊ぶとかではなく、ご飯に行こうとかの誘い方だ。
「時間は空いてるよ」
「本当!?じゃー学食に行ってみない?」
学食か⋯⋯物凄い懐かしい感じがする。
転生して何十年かぶりに聞いた言葉だ。
それより、何年先かは分からない未来でも学食が存在するのが意外だった。
「もちろんいいよ」
「こっちだよ!」
俺はまりんに手を引かれながら、学食のある方に向かった。
今回の話で、文字数が少ない回は終わりになります。




