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第百五部 灰の中から、追うべき道を選ぶ話 Another Side:テオ/中央登録局前
テオは、ヴェスタリア中央登録局の白い階段を見上げていた。
エミルは隣で顔を青くしている。
ルーウェンは外套の下に剣を隠し、エルナは少し離れた屋根の上にいる。
「本当に入るんですか」
エミルが尋ねた。
「入ります」
「怖いです」
「僕も」
「引き返しませんか」
「引き返したいです」
「では」
「でも入ります」
エミルは泣きそうな顔で笑った。
「商人って、変ですね」
「よく言われます」
「誰に」
「最近、森の人に」
テオは申請書を握った。
五人を逃がした。
十一人はまだ消えかけている。
その先には、もっと多くの番号がある。
ここで中央台帳を押さえなければ、すべてが散る。
「行きましょう」
テオが言う。
エミルは一度だけ深呼吸した。
「私は、エミル・ハースです」
「はい」
「横領はしていません」
「はい」
「怖いです」
「僕もです」
二人は白い階段を上がった。
前に進む道は、東でも西でも、少しずつ一つに絞られていた。
──第百五部 了




