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第二十二部 船酔い傭兵と、青い細線の薬草樽 ① 揺れる床

 船というものは、信用できない。


 床が動く。


 壁も揺れる。


 天井も少し遅れて揺れる。


 横になっていても、体の下で世界が勝手に呼吸する。


 馬なら、まだ分かる。


 馬には首がある。


 耳もある。


 機嫌の悪さも分かる。


 驢馬のパン粉に至っては、俺より賢い顔をする。


 だが、船には顔がない。


 顔がないくせに、ひたすら揺れる。


 俺の名は、レオン。


 便宜上は、ロド・カナリ。


 二十八歳。元王子。現傭兵。職業、負傷予定者。


 趣味、惚れること。


 専門、死にかけて誰かに縫い直されること。


 この日、俺はさらに新しい弱点を知った。


 海だ。


 いや、正確に言えば、船酔いだ。


 大陸の陰謀より、普通の野盗より、まず床が俺を殺しに来た。


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