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この世はクソだって売れる

砂漠での一日は昼夜逆転が基本で、

俺たちは簡易の日除けテントを砂地に突き立てて、食事を終えたら昼は仮眠して過ごすことにした。

「ほら食べないとどんどんガリガリになっていくよ。」

突き出される木彫りのコップ。

泡立つ乳白色の液体で中が満たされているが、プロテインのような上等なものではない。

小麦粉を水でシェイクしただけの粗末な昼食だ。

「生の小麦粉って腹壊したりしないのかな?」

「大丈夫だよ。

私だってさっき飲んだし、今までもこれからもそれは続いていくの。」

味はたしかに良くないけどね。重要な情報が小声でしれっと追加される。

それによく考えたら腹痛ってそんなに早く症状がでるものでもない。

「砂漠でパスタを期待するほど俺も馬鹿じゃないけどさ。」

コップを受け取り意を決してそれを胃袋へと流し込む。

なんだかネットリしている。

口の中で泡が弾けて、溶け込んでいなかった小麦粉が口内でぱさりと広がって不快になる。

味はかなり無理をしてひねくりだしたら甘みがあるか。

いや、やっぱりない。

「マズイ!もういらない!」

むせそうになりながらも一息で飲み干した。

こいつは炭水化物の塊なので、もう1杯飲んでも健康にはならんだろう。

「それならあとはお茶を飲んで、布団かぶって、日が暮れるまで睡眠ね。

夜通し歩けば朝には到着するから。」

アリスはラクダに括り付けられた麻袋の一つに手を突っ込み、中から黒いペレットみたいなものを取り出す。

「なにをしてるんだ?」

アリスは露呈した岩場を見つけるとそこに複数のペレットを並べて、

三角形の焚火台。その上に水を満たしたやかんをセットした。

「見ての通りお茶を淹れてるの。」

「ふーん。

その黒いやつはなに?」

「これ?これはラクダさんの落とし物だけど?

この子たち草食だから乾燥させるとよく燃えるんだ。」

とくとくと皮袋からやかんに水が移される。

アリスは手を…洗っていない!?

「そうなんだ。

それじゃあ僕はそろそろ寝ることにするね。」

「待て!

言いたいことがあるなら言いなよ!」

その辺の枯草を火口にして、ぱちぱちと焚火はすぐに燃え上がる。

湿気の多い日本ではこうも簡単にはいかない。

「だってそれうんちでしょ。」

「別にこれを食べろとは言ってない。

せっかく淹れるんだから意地でも飲んで貰わないと。」

寝床に行こうとしたところで肩が掴まれる。

そこまでして俺にお茶を飲ませる意味よ。

「食中毒とか怖いしなあー」

「昼食の件といい日本の人はどんだけ軟弱なの?

潔癖症?

これくらいの活用は普通のことなの!砂漠には燃料がないの!」

なにが許せなかったの、アリスの語気はしり上がりにヒートアップする。

「うんちの活用ねー」

鶏ふんなんかは農業で確かに利用されている。

けど洋式トイレの普及も相まって、現代人はそれを目にする機会がなくなったのだ。

だから挨拶もなしにソイツが登場すると困るのである。

「パンダという動物のフンで、ティッシュを作りました。

みたいな話なら聞いたことある。」

「ティッシュ?」

「すごく薄い紙だよ。

「鼻をかんだり口を拭いたり、机を拭いたり、使い道は色々ある。」

「え?もったいなくない?

紙なんでしょ?

っていうか汚なっ!?

そんなもの顔に塗りたくっているの?」

ぼこぼこと水が沸騰する。アリスはやかんを火から離してその中に茶葉を投入する。

「いや、パンダのティッシュは高級なお土産だから普段使いはしないんじゃないかな。

棚の上に飾ってみたり、来客が来た時だけに出してみたり。」

会話の種。

いわゆるジョークグッズの類である。

「友達に贈ったり家の棚に飾るわけ?

ますます意味が分からない。今何の話をしているの?」

ドン引きで画像検索したらトップであがるような表情をアリスはしている。

高級品で思い出したが、ジャコウネコ珈琲にいたってはそれを飲んでいるわけだからもっと意味不明かも。

「体から出るってことはそれはいらないって意味なの。

だから素手であんまり触んない方がいいよ。病気になっても知らないよ。」

子供を諭すような口ぶり。

おかしい。なぜか立場が逆転している。

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