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第二十二回 人形
廊下で桂を見かけた時も嬉しくて、舞鶴への旅の話をしようとして、桂が一人じゃないことに気づいた。
慌てて隠れる。
声かけても大丈夫かなと覗いてみる。
次の瞬間、世界が凍りついた。
「オレの好きな人形とそっくりなんだ。あの傷さえなければ完璧だ」
桂の笑っている顔は、ストーカーと同じ笑顔だった。
わたしが現れても、桂は悪びれる様子もなく、ネットショップで人形を買ったと言った。
桂は、人形がわたしをモデルにして造られたことを知らない。言えなかった。傷のことも詳しく話していない。
桂が買った人形は、わたしの知っている等身大ではなく、二十センチ程度の人形だった。ストーカーは彫刻を専攻していたが、人形造りにはまったのだろう。フィギュア作家として活躍しているのかもしれない。
桂は資料室でわたしと出会い、そっくりなことで興奮したそうだ。人形では足りない部分をわたしで補った。わたしは人形以下だ。
オリジナルがコピー人形に負けた、ということは、人形に復讐されたということだと思っている。わたしが人形に美しい自分を押し付けて、好き勝手なことをして生きてきた報いなのだろう。
わたしの人生は大学時代から同じ。何も変わっていない。





