第二十一回 セクハラ
就職は、キャンペーンガールをさせてもらった企業に内定していたが、顔に傷をつけられたことで、勤務場所が秘書課から人事課に変更となる。
就職後は心機一転頑張ろうと真面目に取り組んだ。
ついた傷は次の不幸を呼ぶ。災難がまたしてもふりかかった。
セクハラだ。部長に尻を触られたのである。
苦情を言うか言わないか迷った。
一部始終を見ていた同僚が、女性側が有利だから訴えるべきだと助言してくれた。
わたしが勝って、部長が左遷される。同僚の言葉をわたしは無条件に信じた。
同僚が何故わたしを裏切ったのかはわからない。仕事のできるわたしをうらやんだのかもしれないし、傷物でも美人なことが腹立たしかったのかもしれない。自分の立場を確立したかったのだろう。
同僚は、ネット上に書きこまれたわたしの大学時代の事件を上司に言いつけた。更に体を武器にしているとまで言ったようだ。鵜呑みにした上司から、わたしの体を自由にさせてくれれば、全て聞かなかったことにしてやる、と言われた。セクハラがセクハラを呼んだ。
会社に入ったことすらも後悔したが、どうしようもない。わたしは断り、首にはならなかったが、資料室に異動になった。
退職すべきか悩み続け、三十を越える。
出会いもなく、一生一人だったらどうしようかと思っている時に桂が現れた。会社の年下の男の子だ。笑顔が可愛くて優しくて、ソツがなくて面白い。資料室に何度も来てくれているうちに、誘われて、二人で飲みに行き、付き合うことになった。
桂は王子様であり、魔法使いだった。
毎日がバラ色で、世界が優しい。女王を満喫していた時とは全く違う幸せ色だ。
結婚することになるかもしれない。浮かれたわたしの全細胞が囁いた。プロポーズはいつだろうか。待っているべきか。わたしが年上なのだからわたしからすべきだろうか。
毎日ワクワク同じことを考えていた。





