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ハッピーバースデー  作者: 松本あおい
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第十四回 神様の畑

「カレーはやめておきます」


 マスターが残念がっている。

 ミントがたっぷり入っているから、荒井さんは頼まないのではないかと思ったが敢えて言わなかった。

 カレーを断ったので、別の物を注文しようとおすすめを聞く。

 待ってましたとばかりに鹿のコロッケを勧められた。


「鹿は友達のお父さんからもらったんだ。野生動物を処理するセンターに、勤務しているんだ」


 野生動物を処理するセンターなんて、聞いたことがない。

 何をするのだろう。

 息の根を止めて皮をはぐ。血や骨はどうするのか。肉の需要があるのだろうか。

 真鶴はジャングルだ。わたしの知っている日本と差がありすぎる。

 鹿肉は食べたことがない。コロッケとはいえ、美味しいとは思えなかった。

 曖昧に笑ってごまかす。


「真鶴は神様の畑だから、野菜も魚も肉も恐ろしいくらいにうまい」


 神様の畑とは、お林のことだろうか。

 貴船神社のおかげでもある、とマスターは続けた。

 貴船神社は知っている。荒井さんがカレーの後、貴船神社まで送ってくれた。


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