見送り⑤
「早く家を治してほしい!」
村長に手招きされ、エドワードさんとウィリアムさんが集まる場所に駆け寄り。
着いた瞬間にお願いされる。
「起きた時に空が見える違和感なぞ分からんじゃろ?」
「開放的で良さそうに思いますけど?」
「儂も最初はそう思った…」
悲痛な顔の村長を見て僕らは顔を見合わせる。
「昼は暑くて夜は寒いんじゃ、
鳥が家にフンを落として、虫が家に大量に湧くんじゃよ、
夜に目が覚めた時、天井に光る眼がわしを見て悲鳴を上げたんじゃ。
猫だったんだがな、その恐怖をお主ら分からんじゃろ?」
「「「……」」」
(…それは嫌だな)
「確かに昨日夜中に騒いでましたもんね」
昨日か……僕は知らないわけだな。
「わ、分かりました今日から動こうと思います!」
「村長急いで作るからさ、多少歪でも許してくれるよね?」
「うーむ、そうじゃな、仕方あるまい」
最初から手抜きするつもりだった屋根が、正当化された。
エドワードさんが僕に親指を立てて来たので僕も返す。
エドワードさんが悪い顔をしたのを僕は見逃さなかった。
「村長も屋根の修理手伝ってくださいよ」
「な、なんで儂まで!」
「村長暇じゃないですか」
「こんなじじいが肉体労働したら体が壊れるわい!」
エドワードさんが村長の肩に手を置き悲しげな表情を”作る”
僕とウィリアムさんは成り行きを見守る。
(援護したいけど状況がまだ見えないからな……)
「ガルム君はお腹に大きな傷を負ってまで直そうとしているのに!?
村長は我が身可愛さで何もしないと!?」
(完全に僕らも巻き込む流れだな)
「うぅ、痛い、痛いよぉ、でも、やるよ、村長の屋根を、直したい」
腹を抑え蹲り、ウィリアムさんに目で訴えかける。
「お、お~ガルム!君は何て立派なんだ!
痛みで人が死ぬかもしれないと言うのに!
ヘンリーがいない今2人分働こうとしてるなんて!」
ん?2人分は働こうとしてないんですけど?
てか、下手すぎて全然感動できない。
※この時3人がお互いに同じ事を思っていた。
「ガルムはさっきまで走ったり岩砕いてたりしてたじゃろ?」
「「「……」」」
「傷が開いたに決まってるでしょ!そうだよなガルム君!?」
頷きで返し痛がるふりを続ける。
「お~可哀そうなガルムよ!」
「誰がこんな事をしたの?」
ウィリアムさん…もう止めてください。
そしてあなたがしたんです!
お腹を撫でてくるミオにも心で突っ込む。
「そうだ村長!肉体労働じゃなければいいんですよね?」
「う、うむそうじゃの」
「それなら伐採した木材の研磨などなら辛くないですよ?」
「…そうじゃの、それならば良かろう」
「ふ~、じゃあ早速作戦会議ですね、村長は木を取って来るまで待っててね!」
「え?お腹の痛みは?」
「なんか過ぎ去りました」
「そんな便痛みたいな感じなの?!」
「踏ん張るときは激痛ですね」
ウィリアムさんに頭をはたかれ、ミオの視線も痛いな。




