見送り④
僕の中で、
あいつの言葉も、
叫びも。
……消えない。
「ガルムの想いは伝わってると思うよ?」
「そうだな、そうだと良いな…」
そうだ。
「エリザベスさん!」
「ん?どうしたの?」
エリザベスさんの声はやっぱり落ち着くな、
ふわふわしてて。
「僕のお腹の傷塞いでくれてありがとうございます!」
「そんな気にしないで?私は初級の魔法しか使えないから…
まだ傷、痛むでしょ?」
「少しは痛みますけど、全然大丈夫です!
…あの、初級の魔法で傷口塞げるもんなんですか?」
「あら?アストレアちゃんから聞いてない?」
「えっと、はい、何も言われてませんけど」
「アストレアちゃんは言わないか、私に魔力を送り続けて手伝ってくれたのよ?
私の魔力量じゃあんな傷塞ぐことも出来ないから。
帰ってきたらアストレアちゃんにも言ってあげてね?」
「そうだったんだ…はい、必ず伝えます」
「私からもラインの事、ありがとうね?最近あの子暗い顔しなくなったのよ」
胸に手を当て、クララと話してるラインを見るその顔はとても眩しく感じた。
「ラインがすごいだけですよ、それに僕じゃなくてアストレアのおかげです、それは」
「競争に勝った事が、じゃないわよ?
ガルム君の魅力はそこじゃないわ、
ミオちゃんだっだわよね?その子がガルム君の強さの証明よ?」
ミオが僕の強さの証明?
ミオと顔を合わせる。
「ミオと一緒の僕は最強って事?」
「フフフ!違うわよもう!でもそうね、そうなのかもしれないわね」
その言葉を最後に村へ歩き出し、行ってしまう。
「ガルムさん!」
「ん?」
話し終えるのを待っていたのかラインが僕の元へ駆け寄る。
「ありがとうございます」
その言葉には色々な思いが混ざってると感じた。
「感謝される様な……いや、そうだな、どういたしましてだ」
「お兄ちゃん…ヘンリー大丈夫かな?
声掛けに行った方がいいのかな?」
顔を曇らせるクララも僕の前に来る。
頭に手を乗せ軽く叩く。
「今はそっとしておいた方がいいよ、
男の子って弱い部分を見せたくないもんだからさ」
好きな女の子の前なら尚更な。
「うん…」
「ライン、今からいう事はお前の判断に任せる、聞いてくれ」
「はい、何でしょうか?」
気持ちが重いな…。
「ヘンリーの奴にさ…魔法の身体強化の方法を教えてあげてくれないか?」
「ッ!そ、れは」
……そうなるよな。
「ガルムさんがなんでそんなことを言うのか、聞いてもいいですか?」
「いや、理由聞いたらお前が断りにくくなるから言いたくないんだけど」
「……それでも聞かせてください、ガルムさんの考えが知りたいんです」
真っすぐに僕を見つめる目を見て、
隣にいるクララに目線を移す。
首を傾げるクララを見て心を決める。
「2人がクララを守れる様になって欲しい、ただそれだけだ」
「え?私?」
「確かに…その理由は断りずらいですね…」
僕とラインの顔を交互に見るクララと、
俯くライン。
「無理にーー」
「ーー分かりました、ヘンリーに教えます」
「いいのか?」
「ヘンリーが魔力の身体強化を出来れば、
また負けるでしょうね……僕は」
そんな事はない。
「そうだなライン、そうなればまた負ける」
「意地悪ですねガルムさんは、」
無理やり笑うラインに何も言わない。
そんな事はこいつが一番分かってる。
「ガルムさんは凄いですね」
「なんだよ急に」
「ガルムさんの考え方を理解しただけです。
信じてくれてるんですよね?僕らの事を」
ラインのその言葉に安心する。
「当り前だろ?お前ら3人、僕なんかよりも立派になるよ」
「そこは強くなる、じゃないんですか?」
「っは!それだけは絶対に譲れないからな」
ニヤリと笑う僕につられラインも笑う。
「ヘンリーが嫌がったらお手上げですからね?」
「大丈夫だろ、今のあいつならな」
「はぁ、そうですね」
ため息をつくラインの考えは分かる。
けど今のお前なら、食らいついていける。
「ねぇねぇ!クララを守るってどういうことなの?」
「秘密だな」
「秘密ですね」
「え~!?気になる!
教えてくれないと黒丸を暴れさせちゃうぞ!」
「それだけは止めてください!!」
「ヒィ!」
「う~」
アストレアがいない。
それだけで、妙に落ち着かない。
「お~いお前ら!早く村に戻ってこーい!」
エドワードさんの声で僕らは走って村へと入る。
振り返り何も見えない草原を見て、
正面を向く。
僕がしっかりしなきゃな。




