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始原の裁定者と終結の器  作者: 解放さん
1章 モース村

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見送り④

僕の中で、

あいつの言葉も、

叫びも。


……消えない。


「ガルムの想いは伝わってると思うよ?」

「そうだな、そうだと良いな…」


そうだ。


「エリザベスさん!」

「ん?どうしたの?」


エリザベスさんの声はやっぱり落ち着くな、

ふわふわしてて。


「僕のお腹の傷塞いでくれてありがとうございます!」

「そんな気にしないで?私は初級の魔法しか使えないから…

まだ傷、痛むでしょ?」


「少しは痛みますけど、全然大丈夫です!

…あの、初級の魔法で傷口塞げるもんなんですか?」


「あら?アストレアちゃんから聞いてない?」

「えっと、はい、何も言われてませんけど」


「アストレアちゃんは言わないか、私に魔力を送り続けて手伝ってくれたのよ?

私の魔力量じゃあんな傷塞ぐことも出来ないから。

帰ってきたらアストレアちゃんにも言ってあげてね?」


「そうだったんだ…はい、必ず伝えます」

「私からもラインの事、ありがとうね?最近あの子暗い顔しなくなったのよ」


胸に手を当て、クララと話してるラインを見るその顔はとても眩しく感じた。


「ラインがすごいだけですよ、それに僕じゃなくてアストレアのおかげです、それは」

「競争に勝った事が、じゃないわよ?

ガルム君の魅力はそこじゃないわ、

ミオちゃんだっだわよね?その子がガルム君の強さの証明よ?」


ミオが僕の強さの証明?

ミオと顔を合わせる。


「ミオと一緒の僕は最強って事?」

「フフフ!違うわよもう!でもそうね、そうなのかもしれないわね」


その言葉を最後に村へ歩き出し、行ってしまう。


「ガルムさん!」

「ん?」


話し終えるのを待っていたのかラインが僕の元へ駆け寄る。


「ありがとうございます」

その言葉には色々な思いが混ざってると感じた。


「感謝される様な……いや、そうだな、どういたしましてだ」


「お兄ちゃん…ヘンリー大丈夫かな?

声掛けに行った方がいいのかな?」


顔を曇らせるクララも僕の前に来る。

頭に手を乗せ軽く叩く。


「今はそっとしておいた方がいいよ、

男の子って弱い部分を見せたくないもんだからさ」


好きな女の子の前なら尚更な。


「うん…」

「ライン、今からいう事はお前の判断に任せる、聞いてくれ」

「はい、何でしょうか?」


気持ちが重いな…。


「ヘンリーの奴にさ…魔法の身体強化の方法を教えてあげてくれないか?」

「ッ!そ、れは」


……そうなるよな。


「ガルムさんがなんでそんなことを言うのか、聞いてもいいですか?」

「いや、理由聞いたらお前が断りにくくなるから言いたくないんだけど」

「……それでも聞かせてください、ガルムさんの考えが知りたいんです」


真っすぐに僕を見つめる目を見て、

隣にいるクララに目線を移す。


首を傾げるクララを見て心を決める。


「2人がクララを守れる様になって欲しい、ただそれだけだ」

「え?私?」

「確かに…その理由は断りずらいですね…」


僕とラインの顔を交互に見るクララと、

俯くライン。


「無理にーー」

「ーー分かりました、ヘンリーに教えます」

「いいのか?」

「ヘンリーが魔力の身体強化を出来れば、

また負けるでしょうね……僕は」


そんな事はない。


「そうだなライン、そうなればまた負ける」

「意地悪ですねガルムさんは、」


無理やり笑うラインに何も言わない。

そんな事はこいつが一番分かってる。


「ガルムさんは凄いですね」

「なんだよ急に」

「ガルムさんの考え方を理解しただけです。

信じてくれてるんですよね?僕らの事を」


ラインのその言葉に安心する。


「当り前だろ?お前ら3人、僕なんかよりも立派になるよ」

「そこは強くなる、じゃないんですか?」

「っは!それだけは絶対に譲れないからな」


ニヤリと笑う僕につられラインも笑う。


「ヘンリーが嫌がったらお手上げですからね?」

「大丈夫だろ、今のあいつならな」

「はぁ、そうですね」


ため息をつくラインの考えは分かる。


けど今のお前なら、食らいついていける。


「ねぇねぇ!クララを守るってどういうことなの?」

「秘密だな」

「秘密ですね」

「え~!?気になる!

教えてくれないと黒丸を暴れさせちゃうぞ!」


「それだけは止めてください!!」

「ヒィ!」

「う~」


アストレアがいない。


それだけで、妙に落ち着かない。


「お~いお前ら!早く村に戻ってこーい!」


エドワードさんの声で僕らは走って村へと入る。

振り返り何も見えない草原を見て、

正面を向く。


僕がしっかりしなきゃな。


















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