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始原の裁定者と終結の器  作者: 解放さん
1章 モース村

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ガルム君の6日目(日常)③

一話目に割り込み投稿しました!見ていない方はそちらもどうぞ!


「ごほごほ!おはようガルム君、昨日はすまなかったね」


「ウィリアムさん大丈夫なんですか?」


昨日風邪を引いてずっと家にいた彼を心配する。


「熱は引いてるから父ちゃんも大丈夫って聞かなくてさ」


ヘンリーが困った顔で僕を見る。


「がるるるるる!!」(おはようヘンリーいい朝だね!)


よし、ちゃんと大人の挨拶が出来たぞ!


「ガルム君息子から話は聞いたよ、庇ってくれたんだってね?ちゃんと俺から皆に話しておくからさ」

「がるる?!」(本当ですか?!)


そろそろ真面目に話すか。


「いやいや僕も冗談で言ってますから気にしないでください。ちゃんと止められなかったのは僕のせいですし」


「そう言ってくれるのありがたい、だがこれは君の為もあり、息子への戒めでもあるんだ」

その言葉に肩を落とすヘンリー。


「息子から昨日話を聞いて叱っておいた、だからどうか許してほしい」

「…ガルム昨日は庇ってくれたのに本当にごめんなさい!」


親子が揃って頭を下げる。

そんな大げさな事じゃないのに。


その光景に慌てる。


「ヘンリー!!」


僕の大声にビクリと肩を震わせ顔を上げる。


「次も何かあったら僕は必ず庇うからな?ただし!今度は僕の事を庇えよな!それなら許す!」


僕の言葉に親子が顔を見合わせる。


「う、うん!次は絶対ていうか僕がガルムの代わりになるよ!!」


僕は小さく頷いた。

ウィリアムさんも静かに頷き返した。


その後いつも通りの鍛錬を終え、水浴び後の帰り道。


「ガルム君は武極の事を知っているかい?」


ヘンリーと話していると後ろからの声に振り向く。


「あー、1度聞いたことはありますけど詳しくは知りません」


「ならぜひアストレアさんに聞いてみてほしい、 近接戦をする者にとってはそこが目標みたいなものだからね!」


「ウィリアムさんは教えられないんですか?」


困ったように頬をかく。


「体を動かしながらなら教えられるんだが、言葉で説明するとなると上手くいかなくてね…」


なるほど。

鍛錬の時も思っていたが、この人は言葉で教えるのが下手だ。


こうやってズバーンとやるんだよ!

…それで分かるなら苦労しない。


そんな事を平気で言ってくるから。


動きを交えながらだから分かるが、

言葉だけでは絶対分からないからな…。


「そうですね!分かりました今夜あたりにでも聞いておきます!」


「…それなんだが、ヘンリーも一緒に教えて欲しいんだ、昼の間とかでできないかな?」


ん?まぁそう言う事なら構わないが…


「全然いいですけど、僕がこの村に来る前に、 アストレアに教えてもらう機会はあったんじゃないんですか?」


「もちろん頼んだことは沢山あるんだよ?!だけど首を縦に振ってくれなくてね…」


確かに、僕が初めて会った時のアストレアもそんな感じだったしな。


「でも最近はガルム君に勉強とかも教えてるんだろ?

なんか利用する形で申し訳ないんだが息子の為に一肌脱いでもらえないかな?」


申し訳なさそうな顔のウィリアムさんに笑いかける。


「先ほど了解は出しましたよ?それにこの村の皆さんには沢山の恩を感じてるんです、 それを返せる機会をいただけるなら僕の方が嬉しいですから」


「ありがとう」


ウィリアムさんの言葉を受けて村へと走る。


「おいヘンリー!善は急げだ!アストレアの所に行くぞ!」


後ろを振り返ると親に背を押されヘンリーが駆け出す。       


         ――――――――――――――――――――――――


「嫌」


机に大量の本を並べて、 机に座る魔女はこちらを見ずに言う。


「な、なんで?!」


おいおい…! やっぱり教えてもらえませんでした、

なんてウィリアムさんに言ったらかっこ悪すぎるだろ!


「……」


ペラリと本をめくる音だけが響く。


僕が焦ってるのは理由がある。

最初にアストレアに言ったのだ。


「アストレア!武極の事を教えてよ!」

「いいわよ」


さっきこの会話があったのだ!!


「じゃあついでにヘンリーも一緒にお願い!」

「じゃあ嫌」


となってしまった。

仕方がないからもう1度言う。


「アストレアじゃあ僕にだけ武極を教えてくれ」

「だからいいわよ?」


うん。


「やっぱりヘンリーと一緒に教えてくれ」

「だから嫌だって」


なんでやねん! 心で突っ込む。


「違いを教えてくれよ!?1人も2人も変わらないだろ?」


「はぁ…あたしの利になるか、害になるかそれだけの違い」


んー? つまりは僕は利になりヘンリーは害になると?


「お前褒められてんじゃん!」


ヘンリーの背中を軽くたたく。


「え?これ褒められてるの?けなされてない?!」


馬鹿だなこいつは!!


「おま、あのアストレアさんに警戒されてるって事だぞ!?

これが褒めじゃなくて何だって言うんだよ!」


って、そんな事を言ってる場合ではない!


「ヘンリーの額を地面に埋まらせるほどの土下座を見せるからさ!!」


「なんで俺だけなんだよ!?」


「僕は許可を受けてるんだからお前がするのは当たり前だろ!!

アストレアさんに服従の姿勢を見せるんだよ!!」


警戒されてるヘンリーに嫉妬を覚えつつ頭を押さえる。


椅子が鳴る音でそちらを見る。


アストレアの椅子の向きがこちらに変わっていた。


僕達2人がポカーンとしてると、

手でどうぞとしてきた。


「生意気なガキの土下座を見るのも楽しそうだから」


「お前あいつになんかしたの?」

「……」


絶対なんかしたなこいつ。


「アストレア、やったらちゃんと教えてくれよ?」

「ええ、いいわよ」


よし!


「ヘンリー早く」

「くっ!」


渋々と言った様子で膝を着いて止まる。


「おいおい!それは正座だぞ?頭が高いんじゃないの~?」

「うっさい!分かってるよ!」


僕の煽りを受けて地面に額を付ける。


「アストレアさん、いえ、様どうか武極を教えてください」


僕はアストレアを見ると、 机に方肘を置いて黙って見下ろしていた。


そして首を振り落胆の色を見せる。


はっ!


「ヘンリー少し我慢しろよ?」


そう言ってヘンリーの頭を押さえつけ力づくで地面にめり込ませる。


「んんんんんんんんん!!!!!!??」


暴れるが構わず頭をめり込ませ続けた。


アストレアが拍手をして動きを止める。


「いいもの見せてもらったわ、約束通り教えてあげる」


「良かったなヘンリー!!」


「ぷはぁ!!はぁはぁはぁ」


アストレアは拍手。

僕は笑顔になり。

ヘンリーは息を荒げる。


そんな平和な午前を過ごせました。

ヘンリーはアストレアのローブをめくりパンツを見る暴挙に出ました。

当然ボコボコです。

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