表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始原の裁定者と終結の器  作者: 解放さん
1章 モース村

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/146

ガルム君の5日目(日常)⑥

僕達は一斉に井戸を覗き込む。


……井戸だ。


それ以上でもそれ以下でもない。


「見た感じただの井戸だぞ?」


「きっと底に何かあるんだよ!」

「隠し通路とか!」

「魔物が住んでたりして!」


「で?誰が中に行くんだ?」


三人が一斉に僕を見る。


……なるほど。


最初からそのつもりだったな。


「よし!ライン行くぞ!」

「え?!なんで僕まで!」


ラインが思いきり後ずさる。


ヘンリーとクララも目を丸くしていた。


「ヘンリーの奴は怖くて行けないらしいからな、ラインなら行けるだろ?」


先に反応したのはラインじゃなくヘンリーだった。


「はぁ?!ビビッてねぇし!こんな井戸に飛び込むなんて余裕だから!」


「お?そうなのか?どうするライン!?ヘンリーは【カッコイイ】姿を見せようとしてるぞ!?」


カッコイイを強調してラインに問いかける。

「僕だって飛び込めます!」


「よし!最後にクララだな!?」

最後にクララを見ると満面の笑みだった。


「クララは行かないよ?」


「なんで?!」


「服が汚れるから!」


……なるほど。

一番まともなのはこいつだった。


好奇心旺盛なくせして……こいつ、意外と冷静なんだよな。



クララに耳打ちして二人で頷きあう。


「せーの」

僕の声の後にクララの声が続く。


「2人のカッコイイ姿が見たーい!」


その言葉を合図に井戸に飛び込む2人を見送る。

……単純すぎるだろこいつら。


2人の「冷たー!!」の声を聞き中の2人を見る。



「やばいな…これどうやって上がってくるの?」

「あっ」

僕の小声とクララの声が重なり見つめあう。


「きゃっ\\\」

「やってる場合か」

顔を手で隠してるクララにツッコミを入れる。


「クララ悪いけど村からロープみたいなの持ってきてくれる?」

「分かった!ばれないように持ってくるね!」


この子は本当に優秀だな、僕らとは大違いだ。



「おーい井戸の秘密を見つけた奴にクララがプレゼントくれるってよ!」


クララが帰った理由をそれっぽく誤魔化すと、

二人は必死に井戸の中を探し始めた。


「なんか見つけたら報告よろしく~」


僕は草原のベットに寝転びますかね。


大きなあくびしてたら、呼ぶ声が聞こえる。


「なんか井戸の中に通れそうな道があるよ!!」

ラインからのその声に驚く。


……まじか。

本当に何かあるのか?


「お前ら勝手に行くなよ?!」


……どうする。

いや、引き上げるべきだろ!


村の方を見る。

クララはまだ戻って来ないよな?


「おい!ヘンリーはどうした?」


一向に顔を出さないヘンリーに嫌な予感がする。


「中見てくるって行っちゃったよ!」

「クソ!」


その言葉と同時に井戸に飛び込む。

ラインが慌てて横にずれてくれたが今は感謝してる余裕はない。


潜って見回すと、下の方に通路が見えた。


急いでそこにたどり着き真っ暗な通路を見る。


(ヘンリーの奴こんな暗い道入ってったのかよ!)


……あいつ、無鉄砲すぎるだろ。


僕も通路に侵入する。


ちょっと進むと壁に突き当たり上に通路が続いている。


「ぷはぁ!」


「うわ!びっくりした!その声ガルムだよね?結局来たんだ?」


「危ないかもしれないのに1人で行くなよ!心配すんだろ!」


目の前に上れそうな段差がある。

ゆっくりと陸に上がる。


「せっかく来たんだし行こうぜ!ガルムがいるから1人じゃないしさ!」


…はぁ

手を伸ばして周りを探る。

狭いな、左右は壁か…天井は低いが中腰なら問題なく進めるな。


「今の所気配は感じないけど…ヘンリー僕の後ろについて来いよ?」

「分かった!何かあったらガルムを囮にすればいいんだね!?」


そうだが、そうじゃないだろ?

まぁいいか、慎重に一歩づつ前に進む。



ザバァ!

「ぷはぁ!」




「てんめぇクソガキビックリするだろうが!!」


後ろからの音に振り返る。

後を追ってきたラインだろう。


「うわ!ご、ごめんなさい全然戻って来ないから心配で…」



「俺の驚いた気持ち分かったでしょ?」


ヘンリーのニヤニヤした顔が想像できるな。


「ライン!ついてくるなら…痛!!」


ゴツンと顔に壁ではない()()が当たる。


ラインが通路に上がってきた音を聞きつつ、前方に手を伸ばす。


「なんだこれ?」

「なんかあったの?」

ヘンリーが聞いてくるが答えられない。

形のある固い物があるのは分かる。

だがそれ以外分からない。


「あの光出しましょうか?」

「「え?」」


ラインのそんな声に素っ頓狂な声が重なる。


「光出せるの?」

「はい!初級の光魔法ですが頑張って覚えたんだよ!」


それは純粋に助かるな、ただ…

ちらりと触ってる物体の方を見る。

少し怖いなと思いつつもラインに魔法を促す。


「魔力よ集え、聖なる光をわが手に{光球}」


ん?フリージアと詠唱が違うな、種族の違いってやつか?

そんな事を考えてると徐々にラインの手に明るい光が集まってくる。

そして辺りを照らし始め前方を見る。


「石?」

「石だね」

「石ですね」


目の前には祠に置かれた丸い石が置いてあった。


「うわぁ、めっちゃつるつるだな」

ヘンリーが石を触るのを横目に見つつ僕は周りに目を奪われていた。


これは()か?


魔族みたいな者が何かと戦ってたり人が逃げてたり、守ってるような。


「なんかの宝物かもな!これ持って帰って皆に自慢しようぜ!」

「いいのかなぁ?」

「……なんでもいい。とりあえずここ出るぞ。」


そして井戸の所へ戻ると上にはクララが心配そうにこちらを見ていた。


「あ!良かった~、ずっと出てこないから死んじゃったのかと思ったよ…もう!」

「理由は後で説明するよ、ロープは?」

「持ってきたよ~、はい」


垂れてきたロープに子供たちを先に行かせる。

僕も井戸から這い出て井戸の水面を振り返る。

石よりも、壁画が気になった。


水で濡れた服を生暖かい風が通り過ぎる。

「不気味だな…」


その声は子供たちのはしゃぐ声でかき消された。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ