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始原の裁定者と終結の器  作者: 解放さん
1章 モース村

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ガルム君の4日目(日常)②

あの後アンナさんのお説教が終わり水浴びをした後に僕は森の中を走っていた、別に遊んでいるわけではない、今日の晩御飯の獲物を捕りに来ているところなのである。


これは本来成人の男性が2人組で毎日している事なのだが、トーマスさんの借金を1日でも早く返すために家々を回って何か手伝う事はないかと尋ねて回った所、晩御飯の獲物を何か獲って来てと言う手伝いをお願いされた。因みに残りの1人は農作業をする事になっている。


僕が頼まれたお手伝いはこれの他に2つあり、①晩御飯用の獲物採り②お風呂の掃除③村全員分の洗濯。

これら全部で小銅貨20枚分あげると言われたので頑張らなければならない、初めてする事ばかりなのでどれくらいの時間がかかるか分からない、そのため急いでこなしたい。


モース村近辺には魔物は少なく、普通の動物の方が多いという事なので特段注意することもない。(魔力を帯びてるのが魔物と呼ばれるとアストレアに教えてもらった)


走ってる僕の前には尻に短剣が突き刺さり僕から逃げる鹿の姿があり、その速度はどんどんと落ちていき対に捕らえて首をへし折る。


血抜きをして欲しいと出発する前に言われたので教わった方法でその処理を終わらしてから村へと戻る。


「ずいぶんと早いな!いやぁこれならこれからも手伝ってほしいくらいだよ!」

そう言って嬉しそうに笑うのはクララのお父さんのエドワードさんだ。まだ若々しく接し方も軽い感じなので僕は話しやすくて好きな人だ。


「トーマスさんへの借金が返し終わったらいつでもお手伝いしますよ!」


正直に言って大変な事でもないと感じているため無料でやってあげたいのだが返済を急ぎたいため心苦しいがそれが終わるまではお金をいただきたい。


「鍬を壊しちゃったやつだろ?その時の話トーマスさんから聞いたけど笑っちまったよ!その騙された剣は今どうしてんだ?」

「あの剣は僕の部屋に飾ってますよ?僕をだました行商人への恨みを忘れないように毎日目に焼きつけてる所です!!」

そう言うとまた笑って後の処理は俺がすると言って鹿の死体をエドワードさんに渡してお風呂小屋へと向かう。


そこまで広くのないお風呂小屋なのでそんなに時間はかからずに終わったのでその順調ぶりに嬉しくなる。掃除の報告も村長に終えてお駄賃を貰い最後の洗濯の為に籠を貰いに行く途中の広場に子供たちが3人が集まっていたが、今日はすることがあるのでそのまま通り過ぎようとすると子供たちが寄ってきた。


「「「あそぼー!!」」」

「今日は忙しいから無理!」


速攻で断って籠の方へ向かっていくとなぜかついてくる子供達。

邪魔をされる未来しか見えない僕は優しい笑顔で子供たちと向き直る。


「聞いてたかな?ガルムお兄ちゃんはね今日忙しいの?また今度遊ぼうね?わかった?」


「はーい!!」3人の言葉が重なったのを確認して僕はまた歩き出す。


……てくてく。

……てくてくてく。

ピタ



……てくてく

……てくてくてく。

ピタ



こいつら…

僕は振り返り3人の子供達を見る。

「な~にをしてんのかな?」

「遊んでるの!」

クララの言葉に他の2人も頷く。


「どんな遊びなのかな~?」

「ガルムお兄ちゃんの観察!!」


「楽しいのそれ?」

「つまんない!!」

ならさっさと辞めて違う遊びをしろと言おうとしたが、いい方法を思いついたので3人組を見る。


「ようするにお前たちはすることがなくて暇って事か?」

僕の問いに笑顔で頷くのを確認してから、僕がこれから洗濯をしに行くことを伝える、それが終われば楽しい遊びを一緒にできるぞと言うと、じゃあ手伝うという流れになり僕達4人組は川へと一緒に向かう事になった。


これで僕の負担も少なくなり早く終わらせることが出来ると心で笑い4人で洗濯に取り掛かる。


結果的に早く終わらせることが出来てむしろ皆が手馴れていて逆に教えてもらいながら効率よくすることが出来た、時々手伝いをすることがあるので勝手に上達したんだとか。

後はこの洗濯物たちを村に持ち帰り干せば終わりとなる。


油断はしない!ここで油断をすれば今日も何かが起こってしまう!さすがに連続で問題を起こすのは僕も望んでいる事ではないのではしゃぐ子供たちをたしなめて村えと戻ることにする。


「ちゃんとこの洗濯物干したら遊んであげるからもうちょっと待っててな」


そうこれが間違いだったのだ、子供たちと遊ぶという選択をしなければ平穏無事に終わることが出来たのにと後で後悔することになる…


「よし!!全部干し終わったな!お前たちも手伝ってくれてありがとうな!」


時刻は15時ほどになる、子供達との約束を果たすべく2つの遊びを思いついたので1つはクララに耳打ちをすると「すごい楽しそう!」と言ってくれたので後ですることにして、他の1つの案をすることにする。

クララの死体事件以降子供たちが森に入るのを禁止されているため村の中か草原の中でできることをしなければならない。


「村から離れるからはぐれないようについてきてくれ!」

基本的には子供達だけで村から出るのは禁止なので外に行けるだけでも楽しそうにしている。



一行は草原を30分ほど歩いて迷いの森の前まで来ていた


「おーい!!セーイ!いるかー?」

僕は森に向かって大声で呼びかけると子供たちがびっくりして僕を見るが気にせず森の中を見ていると白い子犬がぴょこぴょこ歩いてきた。


子供たちの嬉しそうな顔を見て僕も嬉しくなる、前に子供たちがペットがいたらいいのにと話をしていたのを思い出していたのだ。

こうしてここに連れて来たのは正解だったなと心で思う。


『なんだ、村での生活が苦しくて逃げ出してきたかと思ったがどうやら上手くやってるみたいだな』

「おかげさまでね、皆いい人たちばかりで今はすごい楽しいよ」

『それは良かった、私も安心できるというものだ、それでこの子たちは?』

「いや~可愛い子犬がいるって話をしたら見たいって話しになったからさ、こうして連れて来たんだ!」

暇つぶしに連れてきましたなどと言えばなんか拗ねそうなので優しい嘘をつくことにする。


セイが僕の顔を見て目を細めてきたがすぐに子供たちの方に自ら寄っていき囲まれていた。


セイと追いかけっこなり撫でまくってるのを尻目に僕は近くに咲いている花を摘む事をしているとクララが寄ってきて何をしているのか聞いてくる。


「ほら、装飾とかあった方がなんかそれっぽいじゃん?ついでにアストレアにでも花冠でも送ってやろうと思ってな!」


2個目の遊びであったらおもしろそうだと考えたのが一番の理由で、ついでにお世話になっているアストレアに何か送りたいと思ったのもそうなので花を集めていたのである。

花冠を付ける姿は想像できないがつけてる姿を見たいわけでもないしなと考えていると、クララもお母さんに送るとなってそれを見たヘンリーやラインも作ることになった。



「出来た!!はい白ちゃんの分ね!!」

花を集め終わり母親の花冠とついでに父親の分の花のブレスレットを作り終えてから、最後にセイの分を作り終えて頭に乗せるクララを暖かく見守る。


「可愛いじゃん」

『私は元から可愛いわ!…だが嬉しいものだな』


連れてきて良かったと思っているとヘンリーとラインが僕の前に来て腕を前に突き出してきたかと思えば花冠と花のブレスレットを差し出してきた。


「はい!!俺たち二人で作ったガルムの分!!」

「ガルムお兄ちゃんに似合う赤色の花で作ったよ!」


驚きつつそれを両手で受け取る。


『良かったな』

「あぁ」


目が潤むのを隠すように2人の頭を乱暴に撫でていると「クララも!」と言ってきたので同じように撫でる。


「お前ら帰るぞ!もう暗くなるからな!セイもありがとうまた会いに来るから!」

見送ってくれるセイに皆で手を振りながら姿が見えなくなるまで手を振り続ける。


村に帰るとすぐに家や外で作業してる両親にプレゼントを渡しに行くためにいったん解散となった。


僕も家に戻ると目を瞑り両手を組んで祈っているアストレアがいたのでその頭に花冠を置くとゆっくりと目を開けこちらを向く。


「今日はどんな問題を?」

「は?」


開口一番そんな事を聞くアストレアに呆れつつ「何も起こしてないよ!」と言うと僕の頭の上の花冠に気づいたアストレアにニヤリと笑い人差し指で交互に僕とアストレアの頭を指さす。


「お揃いだね?似合ってんじゃん」


僕がそう言うとアストレアは頭に乗っている花冠を目の前に持ってそれを見つめる。





「ゴミはゴミ箱に捨ててほしい」


「僕の代わりに捨てといてっ…っておおい!!!」


「冗談よ、これはあなたが?」


「そうだよお世話になってるからね、だからプレゼント」


「そう…ありがと」


なんか気恥ずかしくなったのでまた外に行ってくるといって飛び出して広場に行くとヘンリーがすでに広場にいたので驚いた。


「めっちゃ早いな?ちゃんと渡したのか?」

「渡したのは渡したんだけどさ母ちゃんがあんたがこんな物くれるわけありませんって言われてムカついてすぐに出て来た」


「仲の良い家族じゃねぇか、きっと本心では喜んでるよ」

そう言ってヘンリーの頭を撫でる。

ヘンリーの家の方を向くとアンナさんが玄関前に出てきてこちらを見ているのに気づいたのでヘンリーの背中を軽く押す、ヘンリーもアンナさんに気づいたようだ。


「行ってこい」

「…うん」

ヘンリーが近づくとアンナさんが地面に膝を着き抱きしめる。



「いいもんだな……うお!!」


その光景を見ているといつの間にか村長が隣に立っており急に顔を手で覆う。


「なんでわしには誰もプレゼントくれないの~?わし村長だよ?ねぇどうしてなのガルム君!!?」

「人望がないからとかですかね?」

「村長なのに!!?そんなことある?!貰ってないのはわしとアストレアちゃんだけか…やっぱりわしの味方はあの子しかいないのかのう…」


そんな話をしているとアストレアが外に出てきてお風呂小屋の薪に火を着ける姿を2人で見つめる。



「ねぇなんで?!なんであの子も花冠してるの?!」


そう言って僕の事を揺さぶってくるのを黙って受けつつクララが走り寄ってくるのが視界に入る。

やっと来たと心で思ってると村長の前で止まり嬉しそうに花冠を突き出す。


「はい!おじいちゃんの分だよ!クララがじゃんけんで負けて渡すことになったの!」


「うおおおクララちゃんありがとうねぇ!!」

そう言ってだクララを抱きしめる村長を見つめる。

負けて渡すことにツッコミはないのかと思うが野暮な事なので黙っていることにする。




時刻は17時半、村長の家の前には僕と子供達、そして今日の仕事が終わった男性陣と村長が集まっている。

最初に村長とエドワードさんにこれからすることを話した、ノリがいいこの2人なら乗ってくれると感じたためだ。

そして他の男性陣のウィリアムさんには村長命令として強制してトーマスさんにはエドワードさんの「トーマスさん以外みんな参加しますよ?」の声で参加を決定した。



「では第1回!!誰が1番可愛いか決定戦を行いたいと思います!!審査員は村のアイドルクララさんが務めます!!」


「服装から表情全体を見て評価したいと思います!!」


既に着替えは終えて村長の家でスタンバイしてもらってる状況だ服は今日洗濯したものの中からそれぞれがセンスで選らんでもらってる、幸いこの時間は奥様方は料理の真っ最中の為見られる心配はない。


ラインが興味深いですねと言いながら女性もののパンツを触る姿にヘンリーと一緒にドン引いたのは秘密だ。


最初に出て来たのはエドワードさんだ。


「こ、これは…素晴らしいですねクララさん恥じらいもなくまるで自分が本当に女であるかのようなふるまいです」

「さすがパパですね化粧も施す徹底ぶりに驚かされます!これは高得点ですよ!お兄ちゃん!」

暫定16点とする。因みに20点満点で化粧はクララのお母さんのを拝借している。


審査が終わったら審査席の後ろに並んでもらう事になっている。

次に登場したのは村長だった。


「こ、これは、き、きつすぎる」

「フリフリの服でどんな可愛い人なんだと期待値を高めたのに顔を見た瞬間に化け物がいるという衝撃!!これはきついです!!」

僕とクララはお互い頷きあい3点をたたき出す。


そんなこんなで順調に進みつつ意外と高評価だったのがラインであった、恥ずかしさでもじもじする姿に心を打たれた僕たちは19点をたたき出したのだ。


トーマスさんは魔女みたいな恰好で、ウィリアムさの場合は体がでかすぎてぱっつんぱっつんで皆が笑い、当の本人は恥ずかしさで顔を真っ赤にしていた。ヘンリーも意外と似合っておりフリフリの服に麦わら帽子と良かったのだがポージングが男マシマシだった為減点された。


そして今僕が最後の挑戦者だ、クララに20点の採点を託して服を選んでいる最中である。

女性としての魅力を伝える…ならこれしかない、そうして僕は選んだものに着替える。


「ガルム!行きます!!」


村長の家から出ると驚く皆の顔が見える、クララとエドワードさんは同じような笑い方をしており、村長に至っては感心している、その他はドン引いてるのが分かるが恥ずかしさを殺しポージングをする。

右手を頭に持っていき左手は腰に当て尻を突き出すポーズをするとクララが大笑いをして足をバタバタと激しく動かしている。

僕の格好は女性もののパンツとブラジャーだけの攻めた格好をしていた。



ガシャン!


「きゃああああああああああ!!」


その声にその場にいる男たちは一斉に振り返ると鍋を落として驚愕な顔をしている女性陣だった、アストレアも少しの時間差で外に出てきて他の奥様方と同じ顔に変わっていく。


焦ったトーマスさんは自宅に急いで走るのだが長いスカートの裾に足を取られ盛大に転び、ウィリアムさんも見られたくなかったのか走って自宅に入ろうとした所、服がビリビリに破れるという芸をかました。


ヘンリーとラインは自分の身を隠すようにしゃがみ込んでいた。

エドワードさんと村長、そして僕は堂々と女性陣の方を見ていて、それがツボに入ったのかクララのさらなる大きな笑い声が夜の空に響き渡った。





その後女性陣の汚物を見る目で男性陣全員が説教されて晩御飯抜きと言う事態になってしまった。

ウィリアムさんが服を破いたのがマーガレットさんのだったらしく。

「お気に入りだったのに…」

と言う言葉でお互いに泣いていたのはさすがに申し訳ないと思った。


そして今アストレアと1階で一緒にいる。



「どうして感動で1日を終わらせられないのあなたは?」


「いやそれは…」


「あたしは明日が怖い、明後日も怖い、あなたがまた何かを起こすともう決まってるようで怖いのよ」


その言葉に僕は何も言えなった、ここまで弱音を吐く姿は初めて会った時からは想像もできなかった、それが嬉しいという感情はなく、ただただ申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。



僕はいたたまれなくなり2階へと逃げる、きっと他の男性陣もこんな気持ちを味わっているのだろう。


今日までの過ごしてきて僕がする決定は全て裏目に出てしまうとわかった、だから明日からは思った事と反対の事をしようと心に刻み付けベットにくるまる。




















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