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始原の裁定者と終結の器  作者: 解放さん
1章 モース村

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ガルム君の3日目(借金、微エロ)

登場人物  

①アストレア②マーガレット・グレイソン(クララの母)③アンナ・アルフレッド(ヘンリーの母)④エリザベス・アーサー(ラインの母)


あの後相棒(剣)と感動的な再会を果たしたのは良いのだが、見つけた後はもう深夜から朝になろうとしており急いで家に帰って目に入った光景は正直怖かった、部屋に明かりはついておらず僕がいつも勉強している椅子の横に立ってスタンバイしている姿は不気味何てもんじゃない。小さく悲鳴を上げてしまうほどだった。


「な、なにしてんの?」

「ドアホにお金の常識を早く叩き込んであげたくてね」


正直寝たかったのだが僕がこのまま寝ると言って起きた後もアストレアが同じ場所で待っていたらトラウマになりそうだなと思ったので渋々椅子に座る。


最初はお金の常識を教えられると思っていたがいつも通りの文字を覚える事から始めるようだ。


「?お金の勉強からじゃないの?」

「私はルーティンを大事にしてるの、勉強の順番然り、生活の行動然りね、ルーティン通りに行動すれば余計な頭のリソースを使わずに済むのよ」


「じゃあもう今日の行動も決まってるの?」

「そうね、余計な事は良いから始めるわよ」

「はーい」


勉強をしているとアストレアから僕は物覚えは良い方だと褒められた、正直褒められるとも思わなかったので思わず「褒めてくれるんだ?」と口に出てしまった。


「事実は事実として口にしてるだけよ、何度教えても理解しない奴はしないからね」


アストレアの口から出る言葉は全部本心という事だろう。まぁ裏表がないのは僕は好きなので素直に受け取る。


今日は30分文字の勉強をして大体の基礎的な文字は覚えられた思う、明日くらいまで同じようにやって忘れがなければ1人でもできるようになるだろう。


「文字の勉強はお終いよ、じゃあお金の勉強を始めるわよ」

僕は黙ってうなずいて真剣に聞く。


「まず貨幣の種類は全部で6種類、銅、銀、金、小硬貨と大硬貨があるわ、あなたに渡したのは小金貨だからこの中で2番目に高い硬貨になる」


僕は恐る恐る手を上げると、どうぞと言う風に手を向けてくる、アストレアは気になる事があればその都度遠慮せずに聞けというスタイルなので非常にありがたい。


「一般的に1日で稼げるのはどれくらいなの?」

「いい質問ね、この村で言えばお大人の手伝いをして小遣い程度の小銅貨10枚くらいじゃないかしらね?この村は基本的にお金を使う生活をしていないから。街に出て稼ぐとなれば稼ぐ額は大きく変わってくるけど…平均的には小銀貨1枚~10枚くらいじゃないかしら」


なるほど、この村で稼ぐのは絶望的という事だけは分かった。


「続けるわ、小銅貨を千枚集めれば小銀貨1枚と交換出来て同じく小銀貨を千枚集めると小金貨に両替できる」


んん?理解してくれば理解するほどこの村で過ごしてて返済なんてできなくね?という考えに行きつく。


「ちょっと待って!!クソ行商人は置いておくとしても鍬一個で小金貨1枚もするの?!」


行商人だけ憎しみを込めて言ってからトーマスさんに渡していた小金貨については疑問が残る。


「しないわよ?鍬1個で言えば小銅貨200枚くらいで買えるから」


「じゃあなんでそんな高い硬貨を渡すのさ!?そもそも僕にお金を渡すときも銅貨なり銀貨を渡せばよかったんじゃ?!」

小金貨1枚分が減るだけでも僕の負担は軽くなると思い食って掛かる。


「あたしが金貨しか持っていないんだから仕方ないでしょ?あたしは基本硬貨を使わないから銅や銀はないのよ」



まさかの人選ミス!!


迷惑をかける相手がアストレアではなくトーマスさんであればここまでの借金を負わずに済んだ事実を理解して愕然とする。


そしてハッとしてアストレアにハイハイと勢いよく手を上げ先ほどと同じように手を向けられる。


「トーマスさんに渡した小金貨を返してもらってから、僕がこの村でお手伝いをしてお小遣いをもらって返済するのはあり?!」


僕がそう言うとアストレアが無表情で拍手をする、こいつは本当に笑わないなと再認識する。

怒りや驚きなどは見せるがアストレアが笑う姿など1度も見たことがない。


何が何でも笑わせてやりたいという、うずきを感じるがそれは後日考えることにして今は目の前の問題に集中する。


「状況判断も丸ね、いいわ好きにしなさい」

その言葉に安堵していると「ただ」と話が続く。


「真剣な話よガルム…いいえドアホ、今回はその方法を許可するわ、ただこの村の場所や特性はあなたも良く理解しなさい、この村はその鍬1本でも貴重になる、買いたくても買いに行けない現実がある、それをあなたが壊したのだとしっかりと認識しなさい」


そこはガルムで良いだろと突っ込もうとしたがその後に続く言葉で僕は沈黙する。


「はい…ちゃんとトーマスさんや他の大人の人たちにも謝ります」


鍬などは共有で使っているため迷惑をかけたのはトーマスさん1人ではないのだ、幸いにもストックは2本まだあるとの事なので支障はないのだが、だから謝らなくていいという事にはならないだろう。


「分かればいい、まだ教える事があるから続けるわね、今言った硬貨だけどこれは他の国でも問題なく使うことが出来る、多少価値や物価が変動はするけどね。前まではそれぞれ独自の硬貨を使っていたけど南の国が周辺国家で硬貨は共有にしようと動いて今の状態にまでなってるわ」


「何で硬貨を統一する必要があるの?」

「簡単に言うと①人の移動が活発になる②交易などで管理が楽になるから③商人が国をまたいでの商売が活発になって経済が活性化する。細かく言えばもっとあるけどこれくらいを頭に入れておけば十分よ」


「いい事づくめなんだね?なんで昔からその方法じゃなったの?」

「まず硬貨を統一するなら多数の国家の了解を得なければならない、それは思ってる以上に難しい、嫌いな相手にお願いされたら嫌だと言いたくなるでしょ?だからこそ、それを提案する国は中立であり嫌われていないのが絶対条件、第2に独自の硬貨の時は権力が集中しやすくなるのよ、そこは複雑だから省くわ、最後に金儲けを考えてる人間にとって独自通貨の方が騙しやすい。最後に人の移動が活発になるのを良しとしない貴族連中が多かったから、これくらいかしらね」


「硬貨を統一することで、お金=力みたいになるって事か…その独自通貨を発行してた人達は絶対反対しただろうな…でも僕たちの村だとあまり関係ないね!」

沈黙しか帰ってこないのでアストレアの方を見ると目をぱちくりさせてた。


「どうしたの?」

「いえ、理解できてるなと感心してただけよ。今日のお金の常識はこれでお終い、利息についてはまた後日教えるわ、後は好きにしなさい」


その言葉を受けてさあ寝ようと!とも思ったが朝の鍛錬を休んでヘンリーに何か言われるのもしゃくだったし、トーマスさんに小金貨の事を言わなければいけなかったのでそれが終わるまでは寝ることを諦めることにした。



訓練の前にウィリアムさんに鍬の件を謝罪していつもと同じ時間に稽古が終わり急いでアーサー宅に向かう。

因みに訓練の時にヘンリーに8割負け、「俺って天才だから1日でこんなに強くなっちゃたよ」

と調子づいたヘンリーに復讐を誓ったのはまた別の話である。


その後トーマスさんに事情を説明して小金貨を受け取り後日鍬の分のお金を返すことで了解を得る。

その後家に戻り小金貨をアストレアに渡して自室のベットに倒れこみ深い眠りに落ちる。


            ――――――――――――――――――――――――


僕が目を覚ますころには日が落ちかけている時間帯だった、ベットに仰向けになりながら借金の事を考える、返済することではない、どうやって踏み倒そうかを考えているのである。


力では勝てないのは既に直感しているため別の方法を考えなければならない。

直接苦手なものを聞いたとしても教えてくれる訳がない、それなら情報収集だな。


そう考えるやすぐにベットを飛び降りて外へと向かうべく階段を降りると相変わらずに机で読書をしてるアストレアを見つける。


「外に行ってくる!」

「問題起こさないでよ?」

「誰に言ってるんだよ!」

「あんただから言ってんのよ」


その流れるような会話を残して外に出て誰かいないか探す。


いた!奥様方が集まっていたのでそこに走り寄る。



「あの~ちょっと聞きたいことが有るんですけど今大丈夫ですか?」

「あら?ガルム君じゃない!ちょうどガルム君の話をしてたのよ?」

クララのお母さんのマーガレットさんがそう言うと周りの2人も笑顔で頷いている


「そうなんですか?」

「悪口とかじゃないわよ?ガルム君が来て村が明るくなったって話をしてたの」

今度はラインのお母さんのエリザベスさんがそう言ってくれる。


「そうそう!うちの旦那なんかガルムのおかげでヘンリーが訓練に毎日一緒にしてくれるようになったってすごい喜んでたんだから!」


その言葉を皮切りに僕の話題で盛り上がり始めてしまう。圧倒されて会話に入れないでいるとそれに気づいたマーガレットさんが話しかけてくれる。


「あら!ごめんなさいね盛り上がっちゃって?それでガルム君は私たちに何を聞きたかったの?」


アストレアの弱点を教えてくれとも言えないため別口で攻めることにする。


「僕って今アストレアと一緒に生活してるじゃないですか?もっとアストレアと仲良くしたいんですけどアストレアは自分の事を話してくれなくて困ってるんです…なにか突破口になる事を知ってたら教えてほしいと思って声をかけたんです…」


僕の発言を受けてまぁまぁと嬉しそうにしている奥様方の発言を待つ。


「うーん私たちもアストレアちゃんと仲良くしたいって思ってるんだけどガルム君と似たようなものよ?」

ねえ?とマーガレットさんが周りに同意を求める。


皆真剣に考えてくれているがこれと言ったものが出てこない、諦めようとしたところエリザベスさんが急に顔を上げる。


「あ!もしかしたらお風呂が好きなんじゃない?」

「お風呂?そうなの?私たちが誘っても絶対一緒に入ってくれないじゃない?たまに鉢合わせしてもすぐに出ちゃうし」


「ラインが言ってたのよアストレアはお風呂の時間が長いよねって、ほらお風呂好きな人って1人でゆっくりしたい人も多いじゃない?」


ラインおまえ…なんで時間計ってんだよ…

でもそうか…お風呂か…何も突破口がない中でのこの収穫はでかい!


「マーガレットさん、アンナさん、エリザベスさんありがと!!なんか突破口が見えた気がする!またね!」


僕は家に向かって走ると後ろから「またね~」と聞こえてくる、僕は急いで止まってもう一度奥様方の方へ向かうと3人とも驚いた顔で僕を見てきた。


「言うの忘れてました!いつもおいしいご飯をありがとうございます!!僕も料理覚えたいので今度教えてね!」


笑顔でそう言ってまた急いで家に向かい勢いよく入るとアストレアがびっくりした顔をしていた。

ふふふ貴様の弱みを今夜握ってやるからな!!そう心で唱えアストレアに笑いかける。


「キモイ」


うぅぅ


◇ ◇ ◇

奥様方

「「「いい子ね~~~!!!」」」

3人の声が重なり3人とも愛おしそうに家の方へ顔を向けるのだった。

◇ ◇ ◇


僕は1階でアストレアと共に机に向かって勉強をしている。

アストレアの「手伝う?」の提案を丁重に断って勉強しながらアストレアの行動を観察している。

思えばここに来てからの2日?初日を入れたら3日間アストレアの夜の行動を知らないと気づいた。初日は宴会、2日目は説教、3日目は追跡と家に帰れば寝るだけの生活だった為、アストレアがいつ風呂に向かうのか分からないためこうして一階でその時を待ってる訳である。


僕が下手に話せば感づかれる可能性の方が高いし、何もしないで1階で待っていればそれも怪しすぎると思ったため勉強をする事を選んだ。


ガタッ


動いた!!と思ったら座った?


「どうしたの?」

「何でもないわ」


びっくりさせやがって!さぁ早く秘密の花園へ一緒に行こうぜ!!


◇ ◇ ◇


このバカはなんか考えてるな、さっきからペンを持つ手は止まったままだし、ノートに何かを書き込むことをしていない、傍目から見てノートの真っ白な部分を見て止まってる頭のおかしい奴にしか見えない。


それにさっきからあたしの方をチラチラ見やがって、それをするなら目線だけ向けるもんだろ?なんで頭まで動いてんだこのドアホ。


首をカクカク動かす姿は滑稽だがそれ以上に目的が見えてこないので困る、こいつはアホすぎて考えが読めなさすぎる。


先ほど立ち上がろうとしたら思いっきり凝視してきたからな、隠す気はあるのかこいつは?


探ってみるか


ガタッ


あたしが椅子から立ち上がると

先ほどと同じようにものすごいスピードで顔を上げ凝視してくる。


あたしはトイレの方へ向かい扉を開けて入る、用をするふりをするが特に動きはないな。


水を流して部屋に戻ろうとすると異様なガルムがいた、今手にペンを持って顔を下に向けてるまではいい、だがこいつの顔の向きは斜め右に向かっておりその視線の先にあるのは床しかなくその状態で止まっている。

あたしが椅子に向かうのに合わせて顔をノートに戻す姿を見たら子供は泣くんじゃないかと思ったほどだ。


恐怖を感じたことがないあたしがうすら寒いものを感じる。


トイレじゃない、ご飯も食べた、後は風呂か眠るしかないが…


ガタッ


あたしは玄関の扉の方へ足を向けて扉に手をかけ外に出るタイミングで声をかける。


「お風呂に行ってくる」


お風呂のワードで机がガタッっと跳ねる音が聞こえた、分かりやすすぎるだろこいつ。


◇ ◇ ◇


ふぅやっとお風呂に向かってくれたか、僕の完璧な偽装工作が功をなしてバレてはいない。


すぐに行っても服を脱ぐ時間などを考慮して5分くらい待ってから僕も外に出る。


お風呂場はそれ専用の小屋が用意されており、火などはアストレアが起こしてるらしい。


お風呂小屋の前まで来ると僕は笑顔でそこに突入するために扉に手をかける。


作戦名は【ごめん!入ってるとは思わなかったんだ!】完璧だな。


ガチャ


「ごめんアストレア!!入ってるとは思わなかったんだ!!」


扉の先には()()()()()があった


ん?


そこにいたのはお風呂上がりの奥様方3人であった。


「「キャ」キャァァァァァァァァァァァァァァァ」


()()()()が村中に響き渡った。


急いで扉を閉めて家に向かう道を全速力で走ってると広場の切り株に腰を掛けてこちらに驚愕の視線を向けるアストレアがいて、ゆっくりと天を仰いでる姿が見えたが僕はそんな事を気にせずに家に入り自室にこもり布団にくるまりガタガタと震えるのだった。



後日聞いた話だと僕の悲鳴に驚いた男性陣とお風呂から出て来た女性陣にアストレアが頭を下げ謝っていたと聞いた。

皆気にしていないと笑っていたと聞いたがその事を知らない僕は夜も眠れずに過ごした。


その日からアストレアとヘンリーからは「変態」と呼ばれるようになった。





※借金

小金貨2➡小金貨1枚、小銅貨200枚














小銅貨1枚=10円   大銅貨1枚=1000円

小銀貨1枚=1万    大銀貨1枚=100万

小金貨1枚=1000万 大金貨1枚=10億


てな感じです。枚数が集まれば両替できます。


ガルム君の借金額は1千万円2000円という事ですね。

200円になってました!!訂正いたしました!

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