また会う日まで⑤
僕が廊下で10分ほど待っていると廊下を歩くフリージアが僕に気づいて駆け寄ってくる。
「ガルム君待っててくれたの?ごめんね待たせちゃって!」
その言葉に首を振って答える。
「なんか大事な話だったの?」
「え?どうして?」
「だってフリージア暗い顔してる」
僕の言葉で俯むくフリージア、十中八九僕に関係がある事だろうな。
「…しばらくの間私は森の中に入っちゃダメだって…だからガルム君を外まで送ることが出来なくなっちゃって」
「そっか…最悪そうはなるんじゃないかと思ってたけど、やっぱり寂しいね」
昨日みたいな突然の別れじゃなくて、喋る時間があるだけましだと言うことは分かっているが寂しいものは寂しい。
でも立ち止まってるわけにはいかないのも事実。
「迷いの森に行くまでは一緒に入れるんだよね?」
僕の問いに頷くフリージア、悲しいとしてもこんなくらい別れは嫌だ。
「歩きながら話そ?」
僕が歩き出すとフリージアも慌てて付いてくる。
「昨日の事まだちゃんとお礼言えてなかったよね?僕の事命がけで守ってくれたって聞いたよ?本当にありがとう、それに岩に押しつぶされそうな時、僕は生きるのを諦めてた、こんなの無理だってね。でもその時君が僕を呼ぶ声が聞こえて君の顔を見た時に死にたくないって思った、だから僕は今もこうして生きていられる」
フリージアは首を傾げる、僕が言いたいことが分からないのだろう。
「僕はフリージアと出会えてよかった、短い時間だったけど一緒に旅が出来て良かった!」
僕はフリージアの方を向き「君は?」と問いかける。
「私も、同じ気持ちだよ?ガルム君やゼルムおじさんと過ごした時間は今までのどんな時間よりも楽しかった、もっと一緒にいたいって思った…」
「僕も同じ、けど変わらないものなんてないんだって事は僕は坑道を出てから身をもって学んだ。僕は君を助けた、そして君に助けられた、だからこうして今君と話がしてられる…いつになるかなんて分からないけど、フリージアに会うために僕は全力で生きる!!また君と話すためにね」
そう言って僕が笑いかけるとフリージアの顔も徐々に微笑に変わる。(やっぱりガルム君は強いな)
「ガルム君寂しいけどここでお別れ!!私やらなきゃいけないことが出来たから!」
私はまだまだ弱い、それは肉体的にも精神的にも、見送るときになったら私は泣いてしまうだろう、そんな顔は彼に見せたくない。だからまた会うときに強い自分を見せるために、今ここで笑顔でさよならをしよう。
「え?え!?」
私はガルム君と反対方向に走り出し距離を開けてからまたガルム君に向き直りガルム君を見ると口が開いた彼が固まっていた。
このお距離なら言えるよね?自分に言い聞かせ今はいないゼルムおじさんに語り掛ける。
「ガルムくーん!!大好きだよー!!」
そう言って私は自分の部屋に続く廊下を走り抜ける、満開の笑顔を浮かべて。
◇ ◇ ◇
遠ざかった行くフリージアの背中、え?
見送ってくれるんじゃ…
「いや、僕もフリージアの事は大好きだけど、え?これでお別れなの!!?」
追いかけて森の所まで引きずってこようかと本気で考えてると腕の中の子犬さんに怒られたのでしぶしぶ諦める。
「先生さみしすぎるよ~!!」
そう言ってセイの背中に僕の顔をこすりつける。
『ええい!暑苦しい!なんでお前らの立場が反転しとるんじゃ!』
訳の分からない事を言うセイと一緒に、僕はとぼとぼ帰る道に向けて歩き出すのだった。




