また会う日まで③
ようやく落ち着き始めた女王が僕の方に顔を向に顔を向ける。
「そなた名は?」
「ガルムと言います」
「そうですか覚えておきます、そしてフリージアの母親としてそなたにお礼を告げます、この子を送り届けてくれたこと、助けてくれたこと、フリージアから聞きました本当にありがと」
そう言って僕に頭を下げる。
「…気にしないでください、僕がそうしたかったからそうしただけです」
「そうですか、もう1つあなたに謝罪を、昨日はその恩人に対し不義理を働いてしまった事申し訳ありません…ですがそれは母親としてです。女王として私はあなたを殺そうとしたことを間違いだとは思いません、その考えは今も変わっていません」
僕はそれを落ち着いた感情で受け止める。
あの魔女に言われた事が僕に考える余裕を与えてくれる。
自分の正しいと思っていることを強制するな、だったっけ?
なぜそこまで僕を殺そうとしているかは分からない、だけどこの人にもこの人の何かがあるのだろう、そう考えれば少しは心を軽くできる。
『ん?ガルムお前…』
「お母様!!」
セイとフリージアの声が重なりセイの声は止まる。
フリージアが母親に詰め寄ろうとすると、女王が止まれというように手のひらをフリージアに向ける。
それを受けフリージアも動きを止める。
その様子を僕とセイは目で追う、セイは首を傾げていたが今はそれどころではないだろう。
「言うべきことは言いました、ここからは女王として対応をします」
その言葉とともにもう一度僕と目を合わせる。
「ガルム、もう伝え聞いてる通りに聞いた事を守ってください、もし私に謁見を希望するときは正規の道を通り入国しなさい、ただしその要件がくだらない事であれば未来永劫あなたに入国する事を許しはしません」
「お母様!」
女王はフリージアに目を向けず言葉を発する。
「言ったはずです、これは女王としての決定です」
それを聞き歯を食いしばるフリージアに顔を向けてから女王の目を見据える。
「分かりました、言われた事は守ります」
僕はそれだけを言うと王女の眉が少しだけ動いた。
「こんな事を言われて怒らないのですか?ふっ!腑抜けで腰抜けなのですねあなたは」
ゾワッと鳥肌が立つ。
一気に重力が3倍になったかのような空気が纏わりつくような重さを感じる。
まるで首を絞められてるような感覚。
その異様な気配の主に目を向けると全身の毛が逆立っていた。
僕は落ち着かせるように頭をポンポン叩くと異様な気配を収めてくれた。
フリージアも怒ろうとしているのが見えたが急な気配にセイの方を見て固まっていた、女王だけは態度を変えずに僕を見ていたが。
「女王様、僕がするべき事は最初から決まってます、フリージアを国に帰す事、それだけが僕がするべきただ一つの事でした。そして僕はフリージアと約束したように無事に故郷に帰す事が出来ました。その事実があるだけで僕は胸を張って帰ることが出来ます。それ以外の事なんて僕は興味がありません!」
そう言ってにやりと笑う。
「…もうお行きなさい」
その言葉を受け頭を下げ、出口に向かう、その後を追いかけてこようとしたフリージアを女王が呼び止め。何か話してるのが聞こえるが僕がここで立ち止まるのも変なので外で待ってようと先に部屋を出る。
王広間から出て少し廊下を歩く、扉の前だと兵士がいるのでそこで待ってるのはお互いの精神衛生上悪いからな。
「ありがとね僕の為に怒ってくれたんだろ?」
『余計な事をした…すまなかった』
「なんで感謝してるのに謝るんだよ」
そう言って僕は笑い誰もいない廊下の壁に背中を預けフリージアを待つ。
心が読めるセイが怒ったって事はそういう事ですね。




