母娘①
白い石畳の上の真ん中に赤いカーペットが敷かれた廊下を私とグレタさんが走る。
最上階フロアの私の部屋からは真反対側の場所まで走り抜ける、両脇に窓等はなく等間隔にドアと白磁の壁が続くだけである。
「お嬢様あそこの部屋にま、いえガルム君でしたね?そこにお休みになってますよ」
グレタさんは腕を右前方を指さし私の部屋からは真反対の貴賓室を指さした。
喋る余裕のない私は頷くことで返事をする。
あの部屋にガルム君がいるんだ。
グレタさんがその扉の前に立ち1度息を大きく吐き出してから扉を4回ノックしる。
コンコン、コンコン
帰ってくるのは静寂であり続けて声をかける
何を言うか考えるように上を向いてから前の扉に向き直る
「フリージア様をお連れいたしました、もし起きておいでなら返事を頂けますでしょうか?」
「あ~っと、ガルム君はまだ寝ていますが入ってきてもいいですよ!」
中から女性の声が聞こえた入室を許可される。
聞いたことのない女性の声に首をかしげる。
「し、失礼いたします!」
恐る恐るグレタさんが扉を開けて私と一緒に中に入る。
部屋の作りは私の部屋と同じで備え付けられた家具も一緒だ、唯一の違いは扉の位置と窓の位置が反対で光が差し込まないことくらいだろう。
ベットの上には私が探していた少年が胸を上下させながら眠っていた。
その手前側に椅子に座る女性とその手に抱えられた白い子犬の姿が目に入る。
キレイ…
思わずつぶやく。
蒼く緩やかに波打つ髪は肩付近まで伸びている。
白の基調の服には淡く虹色の色が煌めく。しかし1番特徴的なのは額から伸びる一本の角である。
柔らかな丸い目で微笑む可愛らしい女性が椅子に座りながら私たちを手招きをする。
感嘆の声を上げていたグレタさんもハッとしてゆっくり近づく
「少ししゃがんでもらえますか?」
言われた通りにグレタさんは少し前かがみになる。私もその動きに合わせて前傾姿勢になると綺麗な女性の顔が近くなる。
私と目を合わせその女性の手が私のおでこに触れる、その手は冷たく、でも頭痛のする頭にはとても心地よかった。
暖かい光がおでこを包み込んできたと感じた瞬間頭痛がどんどんと引いていく。
「頭の痛みは取れましたか?あまり無理しちゃだめですからね!?魔力までは回復させることが出来ないのでゆっくりと休んでください」
そう言って頭を撫でる女性に私ははいと言うしかなかった。
頭痛が消え体も幾分楽になった私はグレタさんに降ろすように頼む。
「グレタさんありがとうもう大丈夫」
グレタさんの背中から降りた私はガルム君のベットの横にまで歩く、傷は…
「ガルム君の傷は私が治してあります、だから心配しなくて大丈夫ですよ」
私の思考を先回りするように隣からそう声が聞こえる。
そっか…よかった力が抜けて足から力が抜けてベットのふちに手を乗せて息を吐く、ガルム君の頬に手を伸ばしその体温に安心する。
「あなたは、いったい…?」
あんな大けがを治すなんてそうできるものではない、ましてや応急処置じゃなく、その出来事がなかったかのような状態に治すなど1日でできるものではない。
「う~ん優しい優しいお姉さんって所でしょうか?」
人差し指をあごに当て微笑ながら首を傾げる女性。
誰かなんて関係ない
「あの、ガルム君を助けてくれて本当にありがとうございます!!」
そう言って頭を下げる私に、慌てて手を振り顔を上げるように促してくる。
「わわ、フリージアちゃん頭を上げて~、それにそれはこの子に言ってあげてね?私はセイちゃんに呼ばれてきただけだからさ」
そう言い白ちゃんに両手を添える。
白ちゃんが呼んだ?
舌をだし私を見上げてくるその顔には最後にあった時と違い安心しきった顔に見える。
そっか白ちゃんがガルム君を守ってくれてたんだね?
「ありがとう白ちゃん、本当にありがとう…」
私はそう言い白ちゃんの頭を撫でる。
その後、ユニちゃんと呼んでねと言ってきた角を生やした女性から
あの後のいきさつを説明された。
私もガルム君が起きるまで待つと言ったのだが、あなたも体をゆっくり休むことと言われしぶしぶ引き下がるしかなかった。
私は今グレタさんと並んで王室に向かっている、隠し扉からの階段でしか行けないというひと手間かかる場所にある。
「グレタさん…さっきは怒鳴ってごめんなさい、それとありがとう」
「そんな、気にしなくていいんですよ、私もお嬢様のお気持ちを考えずの発言お許しください」
しばらくの沈黙の後グレタさんが話始める。
「お嬢様、本当にご無事で何よりです私はあの日からずっと帰ってくる日をお待ちしておりました」
そういい目尻の涙を拭う。私が口を開くよりも早くに口を開く。
「お嬢様にお仕えし始めてから早13年お傍に仕えさせていただきました」
「え?うん…」
私に向き合いそんな当たり前のことを言ってくるグレタさん。




