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始原の裁定者と終結の器  作者: 解放さん
序章 生きる意味

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エルフ③

フリージア様を送り出した時の温かい気持ちは今は消え失せ、まだ帰ってこないフリージア様に焦燥感を抱えていた。


私は街の中にいてフリージア様が向かっていった方角の森を見つめる。

外はもうオレンジ色の夕日が落ちようとしている。


フリージア様の秘密にしたいという思いを尊重して我慢していたがもう待ってることなどできない。


森の中とは言え聖樹の近く安全だ、安全に決まっている!そう心に言い聞かせ私は急いで森の方角へ走る。


「はぁはぁ」


森へ入りまっすぐに進むと異様な光景が目の前にあり私は足を止める。


「これは…」


森の中にいるはずなのに私の目の前には木や土が直線状にえぐり取られている。


それはまるで巨大な手足のない怪物がその場を通った跡のようにも感じさせた。


もしフリージア様が言っていた見せたい魔法がこれであるなら上級魔法に該当するほどの威力だろう。


私は急いで周りを見回すが少女の姿はどこにもない、別の場所を探そうと走り出そうとした時に切り株の上に白い紙があるのが目に留まる。


切り株に近づくとそこには1枚の封筒とその上に風で飛ばないように木彫りの置物があった。


その木彫りの置物を手に取る。



不格好だが、細くしなやかなエルフの笑顔の女性とそれと手を繋ぎ笑顔のエルフの少女


これは女王様とフリージア様だろう、これがお嬢様が言っていたプレゼント、そして手紙もそうだろう。


私は手紙の便箋に{お母様へ}と書かれているその手紙も手に取る。


「フリージア様…」


これがあるということは近くにお嬢様がいなければおかしい、私は大声で名前を何度も叫ぶ。

そして帰ってくるのは静寂だけだ。


もう秘密なんだ言ってる状況ではない私は木彫りと手紙を極力汚さないように懐のポケットに入れる。


「ん?」


手紙を触る手に違和感を感じもう一度見る、よく見ると便箋は二枚重なっており女王様宛の手紙を横にずらす。



{グレタさんへ}



そう書かれた手紙が目に入り止まってしまう、今は1秒でも急がなければいけない時だ、だけど私はその手紙の封を外し震える手で中身を見る。


中には3枚の紙が折りたたまれており1枚目から目を通す。


そこには私への感謝の言葉が達筆な字でびっしりと書き綴られていた。



『グレタさんいつもありがと!』『グレタさんがいるから私は全然寂しいって感じないでいられるんだよ!』『グレタさんがお傍仕えで本当に良かった!』『大人になっても私のことを見守っててね!私から離れちゃだめだよ?』『気に入ってくれると嬉しいな!頑張ったんだよ?』


そんな言葉の羅列が3枚に書き綴られていた。


手紙に黒いシミを作り出す、私はその手紙を守るように抱きしめる。


「うぅ、フリージア様…」


嗚咽を交じりで名前を呼ぶ、そしてこうしてもいられないと顔を上げて立ち上がるが最後の手紙の一文に動きを止める。


私はゆっくり振り返りもう1度切り株に近づく、よく見ると木と同化した茶色の木彫りがある、風でうつ伏せになるように倒れているそれを持ち上げ表面を見る。


お嬢様が先ほどと同じように笑ってる、そして手を繋いでいる先には恰幅がよくエプロンだろう、フリフリを表現した服を着て笑う私がいた。


私は王城に向けて走る、あふれる涙を拭わぬままに。


神様に祈る、どうか私の命より大切なあの子をお返しくださいと。












王城の前までたどり着くそこに立つ門番に急いでこの事を伝え皆に伝えさせる。


兵士は慌てて王城に入り、女王に伝え、全兵士に伝え捜索を命じた。


お嬢様の手紙やプレゼントを女王に渡そうと思ったが、それよりもお嬢様のことを優先し私の部屋にそれらを残して私も、そして森に広く住まうエルフ全員で探したが見つからない。



報告が入る。



王国に連れ去られた可能性が高いと。


その報告を1週間後に聞くまで、私は声を枯らしながら森を探し続けた。








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