エルフ①
目を覚ますと窓から差し込む光は夕暮れ時だった、差し込む光で部屋をオレンジ色に彩っている。
久しぶりの自分の部屋が懐かしくて安心する、イタッ
咄嗟に頭を押さえる。
頭が痛い、何かを考えようとするたびにズキズキと痛みが襲い思考がまとまらない。
これは魔力を使いすぎたことが原因だろうか?使いきれなくなるまで酷使などしたことがなかった私にはその原因を推し量ることが出来なかった。
それでも探しに行かないと、心配で胸が苦しくなってくる、傍にガルム君がいないことが怖い、もしかしたら殺されてるんじゃないか?騙されてたんじゃないか?
そんな悪い想像ばかりが頭を埋め尽くしていく。
私はよろよろになりながらベットから降り扉に向かう。
ガチャ
「ッ!お嬢様!!目が覚めたのですね!?本当に良かったです!お嬢様がいなくなってから私は心配で心配で」
扉を開けると私のお世話係のおばさんがいた、すごく良くしてくれて優しい人、でも今はその声が頭に響き静かにしてほしかった。
「グレタさん、はぁはぁ…ガルム君は何処?」
「ガルム君ですか?」
そうだ名前を言っても分かるはずない、痛む頭で頭が回らない。
「魔族の、少年はどこ?」
私がその言葉を口にするとグレタさんの顔が強張る。
「お嬢様!それよりも女王様の元へ報告しに行きましょう?女王様もお嬢様の事をすごく心配しておいでですので!」
ギリッ!!
歯がきしむ音が聞こえる。
それよりも?
まただ、本当に嫌になる、私が攫われる前はとても大好きで安心したこの人、そしてエルフの人たちが今はすごく不快になる。
「もう、はぁ、いい自分で探す」
壁に体重を預けながら少しづつ進む、どれだけ時間がかかっても探し出す。
「お嬢様!そんなフラフラの状態で動くなんて無理です!!お部屋に戻って体調が万全になるまでお休みになりましょう?ね?」
私の両肩を優しく掴み部屋に戻そうとしてくる。
「うるさい!放っておいて!」
自分の声でさらに頭の痛みが増す。グレタさんがびっくりした顔で私を見る、それはそうだろう、私が大声を上げる姿など1度も見たことがないのだから。
グレタさんが驚いて肩に置かれた手が離れ、私はまた体を引きずりながら前に進む。
「お嬢様…」
後ろからそんな声が聞こえるが構っている余裕などない。
足音が聞こえてきて甲冑に身を包んだ2人組のエルフの兵士が駆け寄ってくる。
私の大声を聞き様子を見に来たのだろう。
それでもそんな存在を無視して私は歩を進める。
兵士たちがぎょっと顔驚かせ、グレタさんの方へ顔を向け状況を聞く。
「おい!どうゆう状況だ?こんな状態のフリージア様を放っておくなど!すぐに部屋に戻すぞ!」
1人の兵士がしゃがみ込み、もう1人が私を持ち上げようとする。
じゃま…しないで、声が出ない
「はぁ…はぁ…いで」
兵士2人に私の声は届かない。
「おやめなさい!」
グレタさんの声が響きその声で動きが止まる兵士たち。
そして1人がグレタさんの前に立つ。
「やめろだと?使用人風情が我らに命令するか!」
兵士は女王と王女の次に偉い立場にある、さらに王城に努めるのはエリート中のエリートだ、そんな存在に使用人は声すらかけることはしないし出来ない。
「女王からの命令です!フリージア様が起き次第直ちに私の元へ連れてくるようにとの!」
「我らはそんな命令を聞いてすらいないぞ!?」
エルフは真面目な種族だ軍ともなればそれはさらに強くなる。
上意下達それはどんな命令であっても隅から隅まで行渡るのがエルフ軍の強みと言えよう。
「私が直接女王様から受けた任務でございます!疑いでしたら確認でもなんでもすればよろしいでしょう?!」
使用人にたてつかれ青筋を立てる兵士。
「貴様、もしこれが嘘であれば覚悟してもらうぞ?」
そう言うやしゃがみ込んでいた男に指示を出し、確認に急がせる。
「お好きにどうぞ?」
グレタさんはそう言うと私の前に来て、腕を掴み引っ張るように腕を引く。
「おい!!確認が取れるまでここで待て!」
剣を抜き放ち行く手を挟む。
「フリージア様の状態が分からないのですか?!すぐに用事を終わらせ休ませたいのです!」
その言葉に私をちらりと見る兵士。
「なればこそ我が運んだ方が早かろうが!」
グレタさんがため息をつくのが聞こえる。
「はぁ、遠回しに言ってるのです!女性特有の事情があると分かりませんか?!紳士として恥を知りなさい!!」
その言葉に兵士は怒りで顔を赤くし、剣を乱暴に鞘に納める。
「行け!」
そう言い道を開ける兵士の傍らでグレタさんが私をおんぶして小走りで走り出す。
兵士が見えなくなったところで私も暴れて、下ろすように肩を叩く。
「…はぁはぁ…ろして」
「ご案内いたします」
そう言いさらにスピードを上げるのを拒むように大きく暴れる、今はお母様に会うよりも優先することがあるの!!
声にならない叫び!!
「ーーっ!!」
「魔族の!!…魔族の少年の所へご案内いたします」
その声に私の動きが止まる。
グレタさんはそう言ってこちらに顔を向け笑う。
「ぇ?」
「大事なんですよね?なら急がなくて行けませんね?しっかりつかまっててくださいね!」
私はその言葉を聞きグレタさんに強くしがみつく。
「…ぁ…りがとぅ」
「フリージア様の為ですからね!へっちゃらですよ」
そういってどたどたと走り出す、他の者が見ればかっこ悪い走り方だろう、だが私にはとてもかっこよく、頼もしく見える。
「ごめん…なさい」
兵士にたてつけばどうなるかなど分からないというのに、最悪殺されても文句も言えないのに。
涙を隠すようにグレタさんの肩に顔をうずめる。
ありがとう
もう一度心で伝えて。
思いのほか長くなっちゃったので②で続きます




