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始原の裁定者と終結の器  作者: 解放さん
序章 生きる意味

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女王の悩み

広く白い部屋、頭には金色の王冠をかぶり、腰まで伸びる緑色の髪と赤い瞳、しわが1つなく豪華な模様が刺繍されたシルクのドレスを身に纏う女性がいた。


ここは聖樹の中にあるエルフの王城の王広間、そこの王座に座りつまらなそうな顔をしている女王の名は 

エルシェリア・エッセンテである。


その向かいに2匹の聖獣が相対している、白い毛並みの馬に角が生えた聖獣とその背中に座っているのは、額に八芒星の模様がある子犬の聖獣だ。


女王になった瞬間から聖玉<子犬>から念話を授けられるので会話の真っ最中である。


周りに人がいれば沈黙だけの、この空間に居心地を悪くすることだろう。


『話は聞きました、聖玉様がそう決めたのなら文句はありません。』


『文句ありありの顔してよく言うわ』


『一度決めたら曲げないんですもの、頑固で困ってしまいますわ』


それはお前だろうが!と心で突っ込む。


あの後二人の傷をカクちゃんに治してもらってから気絶する2人と私を背中に乗せ王城まで2人を運び、今はそれぞれ部屋のベットで休ませている。


『あの子を助けてくれたことには感謝していますが、魔族は魔族です、信用などできるわけがありません』


またこれだ、長年エルフと接しているがほとんどの奴がこのような者ばかり、魔族に関する話題だからではなく、ほとんどの話題でこうなのだ。


新しいものや考えを排除して先祖の代から受け継いだものを絶対とする。


『その割にすんなりと王城に入れて休ませてくれるのだな?』


『当り前じゃない、まだ若いうちに私は死にたくないの』


『ばばぁじゃないか』



沈黙、静寂、念話をしてるからではなく、何の会話も生まれない。


しばらくの沈黙の後女王が首を横に振る。


『何を言ってるのかしらこのわんころは?こんなぴちぴちの肌の私がばばあなわけないじゃない』


『目尻にしわが浮かんできてるぞ?』


そう言うと慌てて手鏡を確認する女王を見てにやにやと笑う。


『嘘ついたわね!!2時間のメイクが落ちるわけ……さぁ話を戻しましょ?』


慌てて口を滑らせ自分で暴露して、急になにもなかったように振る舞う。


『そうやって感情を出した方がよいぞ?無表情だと頬が弛んでしまうからな』


『あなたも同じように無表情の方が多いじゃない、てか話を戻すのはそこじゃない!』


からかうと面白いと感じるのはあのバカ<月梟>に影響を受けてしまったかなと考える私。


『私は時々子供たちと遊んで笑顔を振りまいてるから大丈夫だ』


『時々来てるのは知ってるわ、子供の上に乗ってハァハァしてる変態がいるって報告がよく来るわ』


私が渋い顔をして今度は女王がニヤニヤする。


下の馬は笑っているのか私の体が揺れる。


このまま醜い応酬をしても仕方ないので話を戻す。


『あの2人に別れの時間を作ってくれただけでも感謝だ』


『それくらいの優しさはあります』


殺せと指示しといてどの口がと思うがスルーする。


『エル、私がここに来たのは他にも理由がある、あの少年が力を貸してほしいと願うときは力を貸してやってくれ』


私のつぶらな瞳が女王を射抜く。


『嫌です』


首を傾け片手を口元に持っていく。どうじゃ!可愛いじゃろ!


『嫌です』


私の目が光を失い死んでいく。


だからエルフが嫌いです。子供の時に一緒に遊んで笑顔を見せていた女とは思えんな!!

フリージアお前だけはこうはならないでくれと心から願う。


私は手を合わせて神に祈る。


『拝んでも無理なものは無理です』


『お前に拝んどらんわ!!』


『ハァ、それは命令ではなくお願いなのですよね?なら聞き届けることはできません、私がどうこうという話だけではありません、エルフの国民も納得しないでしょう、そんな状態で私が了承したら国が混乱します。それだけ魔族への恐怖や恨みはでかい』


『……』


私もその事を理解している、ほとんどが種族で判断する、私がエルフはこうだと言ったように。


それは皆同じだ、私のように心が読めるならまだしも、読めなければそれは恐怖の方がでかいのは理解できる、だから私もお願いと言う形をとっている。


私がここであの少年が希望になるから、それを曇らせないようにあの少年には善い行いをしましょ~

などと言っても響くこともなければ理解もしない。


諦めようとカクちゃんの背中をたたこうとした時。


『ですがあなたが認めたその事実は評価します、ですから私!に用事があるのなら謁見を許可し、訪問を許します、力を貸すとは言いません、ですがその内容が手を貸すに値するならその時は手を貸します』


私を強調したのはフリージアに会うためにちょくちょく来られるのが嫌だったからだろう。


『見定めるというわけか』


『納得できませんか?』


私はそれを否定するように首を振る、手を貸してもらえる可能性を引き出しただけでも上々だろう。


『いや、感謝するありがとう』

私はお辞儀して、カクちゃんも一緒にお辞儀する。

本当にカクちゃんはいい奴だと思いながら背中を撫でる。


『話が終わったのならもういいですか?それと別れが済んだのなら即刻帰るようにと伝えといてくださいね?』


『分かった分かった』


そう言いカクちゃんに合図を送り王広間から出る。


『良かったねセイちゃん!これでセイちゃんの心配事も少なくなるね!』


もう!この子が私の担当区域に来て欲しいと思いつつ首に抱きつくのであった。












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