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始原の裁定者と終結の器  作者: 解放さん
序章 生きる意味

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未曾有③

速く速く速く!!もっと!!


私に気づいたエルフの兵士たちが止めに入ろうと私の進路上に立ちふさがる。



無詠唱魔術、それがなぜすごいと言われているのか、習得の難しさもある、何度も何度も体に覚えこませ、脳に刻み付けそれが体の一部かのようになるまで覚えこませるのが想像してる以上に難しいからだ。

次に隙が生まれにくくなるという事、攻撃時は言うに及ばず、防御時の時間短縮が魔術を使う者にとってどれほど重要かは戦いを経験してきたものなら嫌と言うほどわかる。


そして最後の理由これが一番の恩恵だ。


[同時魔法使用]

これができるだけで戦略の幅が大きく変わる。

強い魔法を使うときに詠唱が長くなるのが一般的だ、その時に相手を牽制するための魔法や身を守る魔法を無意識化で使える事がどれだけ便利かなどは言う必要はないだろう。

逆を言えば無詠唱が使えなければ毎回1つの魔法しか使えないという事でもある。



だが習得まで時間がかかり、生涯かけても出来ない可能性もある事柄に本気で時間をかける者はそう多くない、無詠唱を机上の空論と切り捨て、隊列を整えることで先ほどの魔術師の懸念点を解消しているのが現状だ。


だが才能のあるもの、1人で生きていくと決めた者など努力を続けるものに天はいつでも味方をする。



私は前方に片腕を伸ばす、私が唯一使える無詠唱、威力などない、ただ地面に風を起こし上空に浮かせるだけの初級魔法だ。それでも目の前の障害を取り除くのにこれほど便利なものもない。


目の前のエルフが上空に飛ぶ、私は開けた道を全力で飛ぶ。


無詠唱は魔力の消費が激しすぎる、それに今もなお威力を強め速度を上げる足元の竜巻に魔力がどんどん減っていく。


「はぁはぁ」


苦しい、目がかすむ


ギリッ!


近くで遠吠えが聞こえた。


[助けろ!!]


そんな声のようにも聞こえたその遠吠えを耳に受け、犬歯で唇を噛み意識を保つ


絶対に助けるんだここで諦めて倒れこめば私は自分を保てなくなる!!


目の前に太陽の光が漏れ出る、私はスピードを緩めずそのまま直進する。


壁!


そう判断した瞬間急いで足を壁側に向け頭からの突進を回避する。


土埃を風で振り払い周りを見ると、ガルム君と一緒にいた子犬が走り出そうとしてるのが目に映る、その進行方向に素早く目を向けると遠くにエルフの兵士の背中が見えその奥に大切な少年の後ろ姿が見える。


「よかった」まだ生きてる、緩みかけたことで気を失いそうになるが気合で持ちこたえる。


だめだ、しっかりしろ後ろに傾きかけた体を前傾姿勢に変え、少年の背中に向かい力を振り絞る

頭に浮かぶ彼の笑顔を力の源として。


またあの子の遠吠えが聞こえた、その声はすごく力強く私の背中を押してくれる。


頑張れというかのような。
















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