永久を生きるものにとって
周りはものすごい速さで景色を変えていく、速さは遅くなることはなく、むしろどんどんスピードが増していっている。
「なぁ、やっぱり君1人で逃げてくれよ?君が死んだら君の親にもフリージアにも顔向けできないよ」
困惑し心配を浮かべる表情の魔族の少年は何度目かも分からないお願いをしてくる。
私は何度でも首を振る事で離れることを拒絶する。
この子は優しい、自分が殺されそうになってもなお、エルフの少女を、そして私のことを考えている。
だがこの優しさは同時に危険だとも思う、それが崩れた時、その振り子がどこまで上に行くのか、それは誰にも推し量ることなどできない。
未完、未熟、だが恐ろしくもある。魔族の”あれ”を私は恐れているのかもしれない。だってこの子には底がないのだから。
私はもしかしたら将来後悔することになるのかもしれない、最悪のシナリオに進めばこの少年は世界の敵になる。
…それでも信じたいと思う気持ちがある、私が恐れる最悪ではなく、たくさんの人が幸せになれる未来を作れる事ができるのも、この少年なのだということを。
フリージアと手を繋いで笑いあうこの少年を、今なお私を生かすためにどうするか考えているこの少年を。
分からない、この森を守ることが最優先の我らには長く外に出ることは叶わん。
傍で導いていくことが出来ぬことが口惜しい。
私の決定でこの子の生死は決まる、嫌な役割だとため息をつく。
隠居したいと心で思いつつ
少年の髪の隙間から覗く、血のように赤く燃え瞳孔が縦に裂けたその目は見るものを畏怖させるだろう。
私の視線に気づいた少年は私に笑いかけ「大丈夫だよ」と言うが、その心は(上着脱いでそのまま放り出そうかな)などと考えている。
そんなことしようものなら首に嚙みついてでも、ぶら下がってやると歯をむき出しにする。
(冗談冗談)と心でいい笑うその無邪気な笑顔に私の心は曇るばかりなのであった。




