迷いの森③
彼女は助けてくれてありがとうと、何度も僕に言ってくるがそれは逆だ、僕が彼女に助けられてるのだ、
それは命だけの話ではなく心でも僕を支えてくれている。
「ガルム君?」
無言になった僕を不思議そうに見てくるその顔に微笑で返す。
おじさんとした約束をした人間に一歩でも近づけるように。
「フリージアが国に帰った後ってまたここに遊びに来れるのかなって考えててさ!友達になったのにもう会えないなんて悲しいからね!」
元気よくフリージアに笑顔を向ける、そして別れてもそれで終わりではないのだと。横の少女に伝えるように、自分に言い聞かせるように。
それを受けて少し考え頷く少女
「うん!お母さんにお願いしてみるし私もガルム君に会いに行くから!…でもガルム君やおじさんはあそこの隠れ家にはもういないんだよね?どうしよう…」
その言葉を受け僕は言葉を詰まらせるが、気づかれないように唸りながら考えるそぶりで誤魔化す。
フリージアは僕とおじさんが何を話していたのかは知らない。フリージアから見たらおじさんと離れるだけで泣いてしまう奴に見えているだろうか?それとも何かを感じているのか、それは僕にはわからない。
ただ僕にはわかる事、僕がこの場所から戻るときにはもうおじさんは待ってなどいない、だがそれをフリージアに言う事はない、そんなことを言っても不安が残るだけだ。
「ここから出たらおじさんに聞いてみるね?場所が分かったら何とかして伝えるからさ!」
「うん待ってる!」
ここから出た後の事なんて分からない、右も左も分からない中で生きていかなきゃならない僕は横の少女との、この約束を守れないのかもしれない。
けどまたこの子と会いたいという想いに嘘はない、それを叶えるためにどう行動するのかは未来の僕が決めることだと割り切り前を向く。
そんな僕を笑顔で見る少女と、
白い子犬のつぶらな瞳で僕を見つめるその目に吸い込まれそうな、僕の心が読まれてるかのようなそんな錯覚を覚える。




