人か魔物か㉑
「「「開けてください」」」
「…………まだだめです」
巨大な門の前で鉄柵の向こう側にいる門兵にお願いするが断られてしまう。
さっきみたいに2人を上に投げ飛ばす事も考えたが、受け止めてくれるミオがいないからそれも出来ない。
「どうするの?このままここで待っててもいいと思うんだけど?」
「そうだなぁ俺もそう思うんだが……」
2人の視線が僕に向けられる。
「何としても中に入ります」
報酬を貰うときはギルド証を提示しないといけないらしく、そんな物を持ってないので街に入ってやり過ごさないといけない。 ギルド証や身分証がないのが分かれば最悪、身柄を拘束されるらしい。
嘘を重ねると面倒だな。
これも常識として覚えておかないとな。
「……ガルムがそう言うならついて行くだけだ」
「うーん、まぁいいけどさ。で?どうやって入るの?」
目の前の巨大な鉄柵を見上げる。
いけるか?
出来なかったら、最悪僕だけでも壁をよじ登ろう。
街の反対側から絶え間なく轟音が鳴り響き皆の視線が反対に向けられる。
負傷してる冒険者からは僕たちは見えてない。
やるなら今しかないーー
鉄柵の枠の部分を両手で掴み。
ギギギギギギ……ッ!!
鉄と石が擦れ合う鈍い悲鳴が、空気を震わせ。
人が通れる隙間を作る。
(あちゃ~)
「「「「え!?」」」」
鉄柵の音に門番が振り返り、目を見開く。
前後から聞こえる驚きの声を聞きながら兄妹に首で先を促す。
「早く入って!」
「あ、ああ、入るぞシェリ!」
「頭おかしくなりそう」
2人が街に入るのを確認して僕も体を滑り込ませる。
ガシャン!
「門が開いたのか!?」
「あれ?なんであいつら街の中に入ってるんだ?」
音に引き寄せられた冒険者たちが覗き込んできて騒ぎ始める。
「………………」
(完全にやらかしたわ)
これは大丈夫なのか?それともヤバいのだろうか?
門番と兄妹が僕を見てくる。
「せ、先輩これはいいの?」
「大丈夫………だと思うぞ?中に入るのも外に出るのも自由なはずだし」
門番の会話を聞いて、大丈夫そうなので足早にその場を離れる。
「人がいない所まで行こ?」
ゼノスとシェリが頷くのを見て、3人で大通りの通路を進む。
2人の視線が痛いな………。
後頭部に突き刺さる視線に、じわりと冷や汗が滲む。
街ってすげぇな。
現実逃避をしながら街の景観を眺めるのだった。




