人か魔物か⑯
一瞬止まった5人だったが、槍を持った女だけはすぐに走るのを再開する。
「…………」
女が近づいてくるのに合わせて、駆け足で後ずさりをする。
正直この女だけものすごく怖い。
しかも――
(コイツ……)
迫りくる女と、一度も目が合わない。
女が見ているのは奥で戦ってる2人だけだ。
後ずさりを続けながら右を見ると仮面のおじさんが立ち止まりこちらを見ていた。
これだけは使いたくなかったけど…………。
すぅー
大きく息を吸い込み――
「おじいさん助けてぇ!!!!」
僕の声を聞いておじいさんが大声で笑いながらこちらに走り寄ってくる。
それに合わせて白銀の女性の動きが止まる。
「お主かっこ悪いのう!!」
笑いながらそんな事を言われるが事実なので受け入れる。
今この爺さんが神様に見えた。
「お爺さんにこの場をお任せします!」
お爺さんに頭を下げてお願いをしたら頭に痛みが走る。
頭を手で押さえながら顔をあげると刀を持ったおじいさんが見下ろしていた。
「あのなぁ、儂は!勝負を邪魔しないと決めたが、本来こやつらの行動が正しいんじゃよ。それを何で儂が止めんといけないんだ?」
お爺さんの近くに寄り、お爺さんの肩に手を回しミオとギガントロールの戦いを指さす。
「ん?どういう意味だ?」
「あの2人、楽しそうだよね?」
「………そうだな」
「僕もあの2人と同じ状況なら邪魔されたくない、お爺さんもそうなんじゃないの?」
「………それはそうじゃが、こやつらを儂が止める理由にはならんじゃろ」
僕は大げさに首を振ってみせた。
「僕とお爺さんはあの2人を尊重して勝負に介入しない事を決めたんだよ?
それなら邪魔しようとする奴らは止めなきゃ!!僕らの”誇り”の為にもさ!!」
「はぁ。なーんか言いくるめられたようで癪だが………」
お爺さんが動くのを見て肩から手を放す。
お爺さんが止まっている冒険者5人の方へ歩き出し、鞘から刀を抜く。
「命を賭けた戦い、それ即ち”生き様なり”。
それ汚す事何人たりとも許されぬ。
………すまんな、お主ら。ここは黙って別の所へ行ってくれ」




