人か魔物か⑭
~時は遡る~
ミオとバルゴロスの戦いを見つめていると後ろからの足音に振り返る。
そこには笠を被り口元を仮面で隠す剣士の爺さんがいた。
ゆっくりと立ち上がり体を向き合わせる。
「街の方へ行かなくていいの?」
「行こうと思ったんだがな?大丈夫そうだったんでこっちを手伝おうと思ってな」
親指で後ろを指し示す。
僕からも街壁の様子は確認できる。
さっき見た時よりも数を減らした魔物を見て納得はする。
だけど。
「今はあの2人だけで戦ってるから、おじいさんは他の門の方へ行ってあげてよ」
「ふーむ、そうしたいんじゃがな、
このデカいのを倒さないでフラフラしとったら怒られてしまうんじゃよ」
前に歩き出そうとする進路に体を広げて歩みを止めさせる。
「どいてくれんか?街を守らなくては行けんのでな」
「どかないって言ったら?」
眼光が鋭くなる。
喉元に刃を当てられたような殺気だった。
「死ぬ事になるぞ?」
「邪魔はさせないよ」
構えを取り刀の柄を握るおじいさんを見下ろす。
「あなたの刀は僕には届かないよ。刀を抜けば後悔する」
ピクリと刀を掴む指先が動く。
勝てる勝てないじゃない。
何故か分からないけど、このおじいさんは信じたいと思っていた。
「小僧に儂が勝てんとでも言いたいのか?」
「違うよ、あなたはそんな野暮な事をしないって言ってるの」
「初対面だと思うがの?儂の何を知っておる?」
下手な事を言えば本気で首を飛ばそうとしてるおじいさんを睨みつける。
「何も知らないよ、でも分かる。命懸けの勝負に横槍を入れれば…………」
「どうなる?」
「あなたの誇りに傷が付きます」
目を見開き肩を震わす。
「ワハハハハハ!そう来たか!」
一歩下がり、
心底嬉しそうに殺気を収め刀から手を放す。
「好きにせい!アホ領主に怒られる事と比べたら安いもんだ!!」




