人か魔物か⑧
僕らの頭上を轟音が裂き、巨大な鉄の矢が魔物の群れへ着弾する。
「ガルム!あいつらは頭吹き飛ばすか、火で燃やすのが一番だよ!」
目の前で鉄の矢を受けたトロールの傷が塞がっていくのが見える。
「なら話は早ぇな!!」
【イグニス!一緒に暴れよう、好きに動いていいぞ!】
掌の小さな炎を己の身体へ繋ぎ、魔力を注ぎ巨大な炎に姿を変える。
「ミオも、」
続きの言葉を飲み込んだ。
神々しく、赤く輝くミオを見て無粋だと悟る。
ミオが静かに目を閉じる。
空気が熱を帯び始めた。
「悠久を越えし焔よ、我が尾を衣と成し、万象を焦がせ。」
【神尾焔装・赫灼ノ御衣】
六本の尾が揺れ、赤き焔が衣のように纏わりつく。
「ハハ!いいね!反対側まで突っ切るぞ!!」
「怪我しないでね?」
地面に足をめり込ませ一気に踏み抜き前方へと飛び上がる。
頭を――潰す!!
目の前のトロールの醜い顔面へ拳を振り抜く。
ドガァッ!!
その音と共にトロールの頭部が弾け飛ぶ。
「ぐうううううう!」
トロールのうめき声が聞こえてくる。
右ではイグニスが獣のように跳ね回り、
一列をまとめて焼き払った。
六尾は意思を持つ蛇のように暴れる。
六尾が走る。
骨が裂ける。
炎が吹き上がる。
その一連の動作は舞を見ている気分になる。
周りのトロールが足を止めた。
恐怖に歪むその顔とは対照的に、
僕は笑い、ミオは静かに尾を揺らしていた。
焼けた肉と返り血の臭いが、たまらなく心地いい。
胸の奥が熱い。
「ああ、最高だな…………」
「変態」
「…………」
ミオからの言葉で現実に戻される。




