人か魔物か⑤
顔をあげて2人にこの後の流れなんかを聞こうと思った矢先、下の方から騒ぐ声が聞こえてくる。
森の方を見ていた人たちも門がある方を見下ろしていた。
僕達も身を乗り出して閉じた門を見下ろす。
あいつら。
先ほど助けた冒険者のリーダーが門を開けろと騒いでいた。
「ギャアギャア騒ぐ冒険者って3流以下よね」
「おい!シェリの肩に毛虫が付いてるぞ?!」
「え!嘘!やだやだ早く取って!助けて~!!」
体をジタバタさせて騒ぐシェリを何とも言えない気持ちで見る。
ゼノスは笑いを抑えていた。
「シェリさん毛虫なんてついてませんよ?」
僕の言葉にピタリと動きを止め僕を見る。
「ほ、ほんと?本当にいない?嘘だったら許さないからね?」
頷きで返し、恐る恐る体を確認して息を吐きだすシェリと目が合い。
顔を赤くしたかと思ったら怒りの顔に変わり兄に向き直る。
「アハハハ!3流以下じゃねぇーかよ!アハハハハ―—ヒイッ!」
「お兄の言い残す言葉はそれでいい?」
大口を開けて笑うゼノスの口に向けてシェリが矢を引き絞っていた。
凄いな、目を閉じたタイミングで弓矢をつがえていたぞ。
「ごべんばざい」
兄の謝罪に微動だにしない妹を見てても良いのだが――
バキ!
後ろから矢を掴み真ん中を折る。
「おふざけでも矢を向けんのは危ないよ?」
「え?」
シェリが体勢を崩し少し後ろによろける背中を片手で軽く抑える。
目を見開き僕を見てくるシェリと目が合う。
「いま……どうやって?」
どうやって?
見たままだと思うんだけど。
「いや、普通に矢を折っただけなんだけど?」
「そうじゃなくて!矢が折られてから気づいたんだよ?!ありえない!」
それ、ミオの認識阻害がまだ残ってるんじゃ……。
「シェリ悪かった、ガルムもありがとうな」
「いえ、大したことはしてませんよ」
「大した事はしてないか………ガルムを心配するのは逆に失礼だな、なぁシェリ?」
「…………普通に悔しいんだけど」
敵意の無い睨みは反応に困るな。




