人か魔物か④
「な、なんで断ってんのよ!」
シェリが怒り出して眼前にまで迫って来る。
顔を背けて目を見せないようにして手で両肩を押し返す。
なんで断るのと言われても。
理由がありすぎるし、言えるものでもないんだよなぁ。
ゼノスが妹を引きはがしてくれ一息つく。
パーティーも宿もどうでもいいのだが、教えて欲しい事はある。
「ゼノスさん、僕と話して分かる通り僕には常識がありません、断っておいてあれなんですが常識を教えて欲しいんです」
「はぁ?」
「えっと」
シェリとゼノスが首を傾げてくる。
「ダメですか?」
「いや、それは全然いい、むしろ教えたいとも思ってる。だからこそ宿を一緒にしてパーティーも組もうって話だったんだが………」
…………。
うーん、僕もそれは分かるんだけど、動きづらくなりそうで嫌なんだよな。
「つまりこういう事?宿は一緒したくないし、パーティーも組みたくない。でも自分が知りたいことは教えてくれって?」
シェリさん、言いにくい事を言ってくれてありがとうございます!
とも言えるわけなく、固まったまま何も言わない。
「はぁ……別にいいんじゃない?ねぇ?」
「そうだな、ガルムがそれでいいなら朝にでも待ち合わせでも全然かまわない」
「え?いいの?」
怒って断られると思っていたので予想外の反応に狼狽えてしまう。
「お前の話を聞いて放っておけるかよ」
「私はどっちでもいいんだけどね」
「じゃあシェリだけ1人行動だな」
「ちょっと!それは違うでしょうが!」
「ハハハ!可愛い妹に素直さも覚えて欲しくてな!」
兄妹のじゃれ合いを見ながら頭を2人に下げる。
ありがとう、それを声に出すことが出来なかった、
言えば全部吐き出してしまいそうだったから。
僕は結局、2人を利用しているだけだ、
分かっているからこそ心が締め付けられる。
「頭をあげろって!俺達が好きでやりたいだけなんだからさ」
「俺達って言うの辞めてくれない?」
「じゃあ私達だな、欲張りで困った妹だな」
「誰も主導権の話はしとらんわ!」
良い奴らだな…………。
好きにならないようにしなきゃな…………。




