孤独③
村へ戻りクララを家の前まで連れて来たのだが、一向に家に入る気配がない。
クララの話を聞いたばかりで無理やり家に入れとも言えず僕も動けずにいた。
「クララ、スイレンにお願いしてみるのはどうだ?」
「………何をお願いするの?」
「もしもの時は私を止めてくれって感じのお願い、かな」
さっき黒丸が言いかけてた言葉、最悪の想像をすると、
クララは親を殺そうとしたって事になる。
「それでだめだったら?もし………」
「その時は黒丸がクララを止めてくれるさ」
「そんな事するわけないだろうが」
最初から簡単に頷いてくれるとは思ってないさ。
「もし黒丸がクララの体と心を守るのなら――
人類を滅ぼすって願いを僕も手伝うよ。条件はあるけどね」
「ふん!半端なお前ひとりが手を貸して何になるって言うんだか………その心意気は買うがな。
お前が俺様に嘘をつく可能性だってある、信じられんな」
クララの顔は見ないように黒丸にだけ目線を合わせ続ける。
「半端者なのは自覚してるさ、だから60年の期間を設けて欲しい、
それだけあれば僕も立派な魔族になってるだろうさ」
黒丸が鼻で笑い鎌首を上げ僕を睨みつけてくる。
「………俺様を甘く見るなよ?この小娘の両親がいなくなるまで守り続けさせるつもりだろ?」
目を細め舌を出してくる黒丸に冷や汗を流す。
やっぱり厳しいか………。
「お前が俺様に嘘をつかない可能性の話がまだだ、まずはそれを話せ」
「………黒丸が魔族の僕に嘘を付かないように、
魔族である僕もお前には嘘を付かない、それが答えだ」
「………………」
「僕もお前と同じなんだよ、人間種が好きなわけじゃない。だけど魔族である僕を受け入れてくれる人たちは好きだ。だからこそ僕も見極める時間が欲しい」
「条件を言え」
「①僕の大事な人たちは含めない
②黒丸が人間種を許した時は無効
③僕が死んだ場合も無効。
これが条件だ」
指を三本立てて黒丸に突きつける。
「期間は20年だ」
即答だった。
20年か………。
クララに視線を向けーー
小さく頷いてくれる。
「分かった」
「とんちを利かせたら、後悔させてやるからな?」
くだらない。
「言うわけないだろ、そんな事」
「ッフ!それならいい」
黒丸がにやりと笑う。
その横で――
クララだけが、動かなかった。
視線が、刺さり続ける。




