魔族(ルクシア)
森の中に少年の背中が消えるのを見送り、
後ろからゆっくりと近づいてくる隊長たちに振り返る。
「隊長!どうして止めるんですか!」
「………あのガキが魔族だからだよ」
「え?!亜人じゃなかったんですか?」
「…………まぁあんな目をした亜人もいるが、ありゃ魔族だよ」
「ならもっと危険じゃないですか!どうして見逃すんです!?」
「俺がそう判断したからだ、意味は分かるよな?」
その言葉に私の目が見開く。
(そんな………ありえない)
「こいつらの体を調べるぞ!」
「「「はい!」」」
私以外の返事が重なり素早く死体を調べ始める。
隊長が横に並ぶ。
「なんで泣いてるんですか?」
「ん?ああ………気にすんな、さっきの魔法の影響だよ」
「打撲程度の痛みで泣くほどですか?」
「…………あの魔法は人生経験が豊富な奴の方がダメージがでかいんだろうよ」
確かに、若い人達より年を重ねた人の方が騒いでいたっけ。
「箱入り娘で良かったな」
「何ですかその言い方、隊長でも怒りますよ?」
「事実を言ってんだよ、……見たくねぇもん見せやがって」
怒りと悲しみが混じったような、そんな表情を見せる。
無意識に槍を持つ手に力が入っていたらしい、
力を緩め愛馬の背中を撫でる。
「隊長!!死体の背中に入れ墨!十字と三十線、それと右の死体には血契印!」
その言葉に私の顔が歪む。
「どうやら善良な市民ではないらしいな?
あいつが正義の味方かもしれないぜ?」
「…………言われなくても分かっています。
ですが、人を殺してる時点であの少年も罪人のこいつらと同じですよ、
やはり捕えに行くべきなのでは?
私1人でもーー」
「人を殺せないお前じゃ無理だよ」
「魔族ならーー」
「無理だな、お前にそこまでの覚悟はねぇよ」
歯を食いしばり伯父さんを睨みつけるが気にしたそぶりも見せない。
「撤収する!!後方の警戒は厳にしろ、ディオルが最後尾だ」
「了解です」
隊長が馬を翻し街へと駆け、馬に飛び乗り他の2人もそれに続く。
「さっさと行けよ、お嬢様」
「ッ!」
侮蔑を含むその言い方に唇をかみしめ、隊長の後を追うように馬を操る。
「お前ら覚えとけ!」
先頭を走る隊長の大声。
その声に空気が引き締まる。
「さっきの少年の様に瞳孔が縦に割れた目を持ってる奴と会ったら、
全力で逃げろ。」
全員がすぐに返事が出来なかった。
「お前らが生きてるうちに、また魔族の襲撃は来る…………
その時になったら嫌でも理解する事になる…………魔族が恐れられる理由をな」




