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始原の裁定者と終結の器  作者: 解放さん
1章 モース村

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現実を守る者と理想を守る者

草原を早歩きで歩いているとこちらに2つの人影が走って近付いてくる。


(モース村の誰かか?それとも……)


体が強張るのを感じつつ足を止め、前を睨みつける。


徐々に輪郭がはっきり見えてきてーー


安堵の息をつく。



「ガルム君!ミオちゃん!」

「ガルム……その血は……」


こちらに駆け寄るエドワードさんとウィリアムさんが驚いた顔を向けてくる。


「説明は後にさせて、

ミオを村まで運んでくれますか?」


「それは構わないが……

ガルムも村に帰るんだよな?」


「……僕は戻って状況を見てくる」

「1人で行く事は許さん!お前らは村に戻れ、後は俺たちが確認する」


「嫌です、危険な場所にウィリアムさんやエドワードさんを行かせたくありません」


ヒュ!


風切音が耳に届き首筋が冷たくなる。

首筋に当てられた剣を1度見つめウィリアムさんを睨みつける。


「なに、してるんですか…」

「そういうセリフは俺より強くなってから言え、

俺より弱いやつに心配なんてされたくないな」


「………」

「ウィリアムさん!もっと言い方があるでしょ!?」

エドワードさんが叫ぶが僕らは目を離さない。


「弱かったら、守っちゃいけないのかよ…………」

「そうじゃない、子供のお前がそこまで背負う必要はないって言ってるんだ」


「背負いたいから背負ってるんだ!!」

「ガルム君…………」


エドワードさんの悲痛な表情が僕を見る。

その瞳に映る僕も同じ表情をしていた。


「最初から繋がりを持って生まれたあんたらに分かるわけない!!

モース村は何も持たない僕に初めてできた居場所なんだ!!

誰にも奪わせない!!皆、皆、皆!僕が守るんだ!!」


「…………お前の行動で今のこの危険な状況になってるんじゃないのか?」



「ッ!てめぇ!それはねぇだろ!!!」


エドワードさんがウィリアムさんの胸倉を両手で掴みあげ、

ミオの歯が軋み唸り声を聞くのは同時だった。


その行動が嬉しい…………だけどウィリアムさんのいう事は事実だ。

この状況は僕が作った、力がないから、詰めが甘いから、

今の危険な状況が出来てる、それは僕自身が一番感じている事だ。


「…………そうかも知れない、いや、ウィリアムさんの言う通りだよ、

だからこそ僕が行かなきゃいけないんだよ」


「……俺は、俺たちは、そんなに頼りないか?

そんなに信じられないのか?」


その言葉にエドワードさんの肩が大きく跳ね、

胸倉を掴む手を力なく落とす。


「…………そんな事は、言ってません、」

「ミオには頼れて、俺達には頼れないのか?」

「…………」


何も言えない、上手く言葉に出すことが出来ない。


「俺たちも馬鹿じゃない、ガルムが1人、抱え込んでるのは大人はみんな知ってる。

ガルムが今日俺に、手伝ってくれと言った時凄く嬉しかったんだよ」


「…………ガルム君、それにミオちゃん、君らやウィリアムさんと比べて俺達は弱い、

足手まといになるのも分かってる、だけどモース村を、村の皆を大事に思う気持ちは同じなんだ………

一緒に背負わしてくれないかな?」


「…………僕とミオは2人で同じ命みたいなものです、皆さんとは、違う…………。

”あいつら”には僕達と同じ様には…………なって欲しくない!」


その言葉に2人の顔が歪む。


僕らは互いに目を逸らさない、お互いが本気だからこそ譲れないモノがある。

ウィリアムさんが夜空を見上げ、息を吐く。


「ガルム…………それなら俺の事を死ぬ気で守れ、

俺もガルムを死ぬ気で守る」

「え?」

「お互いの守りたいのモノは同じなはずだろ?

お前が意地を通すならそれを認める、だからこそ俺たちの意地も通させろ」


「うう、」


背中のミオから苦しそうな声が聞こえ左を見る。

苦しむ顔と荒い息づかいーー


()()()()を大事にしないとな。


「ミオ、エドワードさんと村に戻ってくれ」

「や!」


ギシギシ


腕に力を込めるからすごく痛い。


「僕は死なないよ、

だってミオがいる所じゃないと僕は死ねないんだろ?」


ミオに笑いかける。


………あの時の話を思い出す。

初めてミオと話した時に聞いたミオの夢、

その内容に大笑いした。

細かすぎる夢の内容を思い出しーー


「ミオの夢の終わりは”ここ”じゃないだろ?」

「…………」


ミオの腕から力が抜け、僕の背中から降り村の方へフラフラと歩き出す、

エドワードさんが手を貸そうとするがそれを拒み僕の方に顔を向ける。


辛そうな顔に笑顔を張り付けた不器用な笑顔で。


「ガルム、行ってらっしゃい」

「行ってきます」


ウィリアムさんとエドワードさんが頷きあいそれぞれが反対方向へ進む。

「エドワードさん!ミオの事お願いします!必ず、守ってください!」


頷きで返し遅い歩みの2人を見送る。


「ウィリアムさん、付いて来てください」

「ああ」


僕らも走り出す。


(これ以上悪い事は起きないでくれ)


心で祈りながら、後ろのウィリアムさんを見る。


「頼む!もうちょっとスピードを落としてくれ!」


…………。


やっぱりミオがいないと不安かも。


速度を緩めウィリアムさんと並走する。



これからの事を話しながら。




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