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始原の裁定者と終結の器  作者: 解放さん
1章 モース村

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ミオの強さ③

村長が村を出て少し、皆で一斉に木板を並べて作業に取り掛かる。


「そうだ!ヘンリーの分はどうするの?!」

「ヘンリーから聞いてはいるから、俺がやろう」

「そっか、それなら大丈夫か、僕もアストレアの分やるし同じか」


ウィリアムさんが頷きで返し、僕も作業に戻る。


「ほらミオもだぞ?」

「う~ん、じゃあこれで」


「…………ただの悪口じゃねぇーか」



皆が村長への感謝の言葉を板に書く光景を見つめる。

笑い合いながらする皆をみて村長が愛されてるのを実感する。


「お兄ちゃんもミオちゃんも書き終わった?」

「うんもう書き終わってるよ?」

「じゃあちょっとどいて、クララがひと手間加えるから!」

「ひと手間?分かった」


僕とミオが立ち上がり上からクララの様子を見つめる。


「はは!」

「うちだ」


クララが迷いのない動きで徐々に形を成していく。

そこには可愛らしい顔のミオが描かれていた。


横を見ると既に何人かの顔が文字の下に描かれてあった。


「クララは多彩だな~」

「母親譲りっぽいよ?」


ミオが前を指さし、反対方向のそちらに目を向ける。

マーガレットさんもクララと同じように可愛らしい顔を描いていた。


なるほどな。




最初に皆で書いた文字を見つめる。


【みんな大好き!お金持ちの村長の家!】


ウィリアムさんの方に近づき話しかける。


「ウィリアムさんがこれされたら…………やっぱり嫌かな?」


最初にウィリアムさんは乗り気じゃなかった、

村長もその可能性を考え不安になり問いかける。


「…………いや、そんな事はない、喜んでくれると思う、

どんな物よりも、価値がある贈り物だよこれは」


その言葉と笑顔に安心する。


「…………ウィリアムさん、一緒に見張りを手伝ってくれない?」

「見張り?」

「そう、アストレアが帰って来るまでの間、王国の方を一緒に警戒してほしいんだ」

「……詳しく聞かせてくれ」


正直僕も分からないことだらけ、

だけど僕なりの考えをウィリアムさんに伝える。



「なるほどな、そんな事をしていたのか、

それなら俺は日が出てる間見張りをしよう、夜目はきかないからな。

だが村長の家はどうしようか……」


「それなら僕が3人分働くよ!ミオも上で作業できるしさ」

「そうか、悪いな」


ウィリアムさんが東門へと歩き、慌てて止める。


「ウィリアムさんもしかして今から行くつもり?!」

「当然だろ?今問題が起こったらガルムは後悔するだろ?

その話を聞いた俺自身もな」


「…………お願いします」

「任せておけ!」


頭を下げてウィリアムさんを見送る。

あの人は本当に不器用で、本当に優しいな。


何かを見つけたら戻ってくるようにお願いしてある。

危険なのは変わらないが、

この村でこんなお願いを出来るのはウィリアムさんしかいない。


他に出来る事はあるだろうか?

考え続けるんだ。


罠でも作るか?、それとも街の近辺で見張るか?いや、でもそれは危険すぎる。


色々な考えが出てきては消えていく。


「ガルム君!この火の玉止めて!!」


エドワードさんの慌てる声。

声の方を向くとイグニスが木板に近づくところだった。


「イグニス!こっちに来い!」

僕の声に火が揺らめいてこちらに近寄ってくる。


「あの板燃やしたら本気で怒るからな?」


火が小さくなるのを見て反省はしてるのだと感じる。


「ごめんお兄ちゃん私のせいかも………」

クララが慌ててこちらに駆け寄りそんな事を言ってくる。

「どういう事?」

「スイレンもあの板に描いたの、

だからその子も描いてあげるって話しかけたら近くに寄ってきて………」


そう言う事か………。


僕はイグニスとの繋がりを断って火を小さくする。


「ごめんな、急に怒って、近くに寄らなければ見てていいぞ?

クララもありがと、イグニスも描いてあげてくれ」


「うん!行こ!」

クララについていく火の玉を見つめる。


本当に生き物だな……魔術との違いか。


「はぁ、難しい事がいっぱいだな」

「ガルムは充分よくやってるよ」

「うお!いつの間に」

「うちはガルムの影だから」


なにそれ、ちょっとかっこいいじゃん。



ドン!


ドン!


東の方向を睨みつける。


「なに……あれ?」

「ああ、あれは花火って言うんだよお祝い事で使うんだ、

方角的にベルシアの街で何か良い事があったんだと思うよ?」



ガルム


「え?」


今の…………。


分からない、分からないけど。

大事なものが消えてしまったような、

そんな感覚を覚える。






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