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始原の裁定者と終結の器  作者: 解放さん
1章 モース村

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出来る事⑤

「2人とも絶対におかしいです!!」

「「そんなこと言われても……」」


草原での魔法の勉強を終えて、今は村に帰る道の途中。

ラインが叫び僕ら2人は困惑に顔をしかめる。


「何で魔法が使えるのに魔力流れが分からないんですか!!」

「「だからそんな事を言われましても」」


さっきからずっとこんな調子で騒いでいるラインに呆れる僕ら。


今日の勉強の目的は魔法を使う事ではない、

自分の体にある魔力を感じる事、それを使った身体強化を教えたかったらしい。


あの時、手の平の炎と繋がったと感じた時、

確かに僕の体から何かが流れていくのが分かった。


だけど魔法を消してから自分の体の魔力を感じようとしてもさっぱりだったのだ。


手の平を上に向ける。


【おいでイグニス】


呼びかけに答えるように手の平に小さな炎が浮かぶ。


その光景を見て悔しいような、羨ましいような顔をするライン、

クララもジーっと手の平の炎を見ている。


「わ!」


クララが顔を近づけると急に火の勢いが増す。


「まて!僕は何もしてないからな!見られすぎて嫌だったんだろ」

睨んできたクララに素早く弁明をする。


「む~、ていうかガルムお兄ちゃんは雷を扱いたいんじゃなかったの?」

「あはは、それはそうなんだけどさ成り行きでね」

「分かった!雷だけ仲良くなるのが難しいって思って変えたんでしょ!?」

「どういう事?」

「え?だって雷だけ身近にないから……あれ?違った?」


面白い所に気づくんだな。


「確かに………アストレアの魔法の概念だと雷だけ身近にいない事になるな」

「浮気だ!」

「ガルムさん浮気したんですか!?」


2人の言葉を無視して空を見上げる。

雷が鳴ったら大声で呼びかけてみようかな。


【ありがとう、また呼ぶよ】

手の火を消し前を向くと村の門が見え始める。


「お姉ちゃんに褒められちゃうかもね!?」

「褒める……のかなぁ?」

「はぁ、まず僕に魔法の使い方を教えてくださいよ、

どうすれば2人みたいになれるのかを」


ラインの言葉に僕らは顔を見合わせ頷く。


「「精霊に名前を付ける事!!」

「精霊に、なまえ~?」

こいつ………ぶん殴りたくなる顔しやがって。


「疑う所から直せば?」

「うぐ!」


ミオからの言葉に顔をしかめるラインを見つつミオの頭を撫でる。


「アストレアの概念を学んだラインにとって、

魔法ってどんな存在になってるんだ?」


僕の言葉に黙り込み足を止める。

それに合わせて僕らも足を止め後ろを振り返る。


「正直、、頭が混乱したままです。家でも何回も練習したんです…………でもダメでした

魔術で形を作ってそれを見て何度も生き物だ、

生き物だって心に言い聞かせて…………最後に暴発するんです。」


「う~ん、その魔術を作ってから形を変えようとしてるのが悪いんじゃないの?」

「それクララも思った!」

「…………どういう意味ですか?」


「ライン右手をあげろ」

「え?なんですか急に?」

「いいから早く」

「はい、」


「良し帰るぞ!」

「え?どういうことですか?ガルムさん!」

「誰が喋れといった?あと勝手に右手を下げるなよ」

「な!」


怒りの表情を見せるラインに笑いかけると眉をひそめて来た。


「な?今のが魔術、嫌だろ?」

「お~」


僕の言葉にラインの目が見開き、クララも頷いて納得する。


「出来るなんて軽はずみな事は言えないけどさ、

それでも頑張るってお前が決めたんだろ?

なら頑張ろうぜ、一緒にさ」


「はい……ありがとう、ございます」


「ほらほら暗い顔してないで笑顔笑顔!」

「そうそう、クララの言う通り!アストレアが認めたんだお前には何かがあるんだよきっとな!」

「そう、ですね…………はい!大丈夫です僕ならできます!」


その言葉で村に走るラインを見つめる。

足の速いその姿を見つめクララと笑いあう。


「ガルムお兄ちゃん競争してあげたら?」

「僕が勝っちゃうから今はやめとくよ」

「……そうだね、今は止めといたほうがいいかも」


一歩ずつ、ちゃんと前に進めてるはずだ。


「クララは先に帰ってて、僕は土を集めてから帰るから」

「なんで土?」

「屋根の修理に必要だから、それを粘土にするからさ」


僕とミオがその場でしゃがみ、

首を傾げるクララに説明する。


「うん分かった!頑張ってね!」


え?行っちゃうの?

手伝うって言ってくれないの?


村に走り去るクララを見つめる。


「あの子不思議だよな?」

「ガルムには言われたくないと思うよ?」

「…………」


さて掘りますかねっと。


真上に昇る太陽が僕らを包み優しく照らす。

涼しい風と暖かい日の光を浴び、肉を焼く香りが鼻をくすぐる。


「昼…………食べようかな」

「食べたい!エリザベスさんのご飯で!」

「あの人のご飯すごく美味しいよな!」

(もちろん他の奥様方のも美味しいけど!)


「急いで集めるぞ!」

「うん!」


ご飯を求めてスピードを上げる僕らだった。



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