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明美をぶっ殺す  作者: 麻青
第三部
91/174

??歳・5

 ルミレイの家に戻り、用意された服に着替えていく。


 やはり基本は和装のようで、『着物を羽織ってそれを帯で留める』といった形で上着を着用する。が、その下にはズボンっぽい服を着て、さらに藁で編まれたブーツタイプの靴を履かされた。

 今は特に暑くも寒くもないのだが……山の下は気温が低いのだろうか?


 また、着物の首の周りにはクッションみたいな布のかたまりがあり、紐で縛られていた。ためしに紐を解いてみると、ぱらりと足首まで広がってマントのようになる。


「……これってさ、どういう意図の服なの? 防寒対策?」


「さようでございます。下界の夜は風が吹き、さらに冷えますので、寒さへの用意はあってしかるべきかと」


 ……ふむ。上着は一枚だけだし通気性があるから、昼夜の寒暖差が大きいのかもしれない。防風用のマントを格納しているのは、そのためか。



 そんなこんなで旅装を整えたあと、最後に木彫りの仮面を渡された。


「身分を隠されたいのであれば、これを装着なさってくださいませ。本来は我ら巫女がつけるものなので、道中ではそうした扱いを受けることになりますが……」


「じゃあ、ルミレイもつけるのか」


「無論でございます。この仮面は、下界においては我の身分を指し示す指標となっておりますので。つけねば警邏隊に捕縛されますし、なにより、我の美貌が周囲をむやみに騒がせてしまうがゆえ」


「そ、そう……」


 美貌が周囲を騒がすって……冗談なのか、ガチで言ってるのか、わからん。

 ともかく社会のルールっぽい感じなので、私も大人しく仮面を被るとしよう。


 そんなわけで輪っかを上から被る形で頭にかけ、顔全体をすっぽりと仮面で覆った。

 見た目より薄いので軽く、立体感があるので呼吸も苦しくない。目の穴はけっこう大きめなので、歩くぶんなら問題ないだろう。


「では、出発するといたしましょう。まずはふもとの村を目指し、そこで馬を調達してから大府へと向かいます。今現在は朝方ですので、大府には昼を少し過ぎたあたりで到着するかと」


「わかった。――あと、重ねて言うが、私はこの世界の地理や社会制度をまったく知らない。だから都度解説を求めたりするけど、そのたびに色々教えてくれるとありがたい」


 ルミレイは前のめりになって、両のこぶしをぐっと握った。


「お任せくださいっ! この不肖ルミレイ、始祖様のために一肌も二肌も脱ぎましょう! じゃんじゃん頼ってくださいませ!」


 ……正直、この娘は頼りがいがあるんだかないんだか、いまいちわからない。

 が、私のために尽くすつもりなのは事実っぽいから、しばらくはすべてを任せるとしよう。


 そうして、造化六花という異世界での旅が始まった。

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