??歳・53
「――そうです。何度も計算しましたが、過去六年間と比べて明らかに記録上の収入が減っています。特にそんな要因はなかったはずなのに」
「なるほど。じゃあ、帳簿が改ざんされたのは確定ってことか」
「はい。おそらくは獅子凍の領主と結託し、脱税を隠す意図があるかと」
私は万象院の小道を歩きながら、メノウの報告を受けていた。
「……チッ、フラウめ。局長の身分で汚職を働くとは、やってくれる」
「でも、始祖様。ここ数年の納税記録を手当たり次第に読み込みましたが、似たような不正の跡は無数にありました。おそらく、役人や領主たちの間では伝統的に横行していたのではないでしょうか。規模から察するに、帝があえて黙認していた可能性も……」
「マジか。……となると、レイカンに話を聞きにいかなきゃならんな。フラウへの処罰と対処は、その後で考えるとしよう」
「……あの、フラウ様にはどのような罰をお与えになるつもりで?」
メノウはおずおずと尋ねてきた。
「気になるのか?」
「……はい。なんというか、私のせいで誰かの人生がメチャクチャになるというのが、どうにも……」
「気持ちはわからなくもないが、政治の中枢にいる以上、そういうことは覚悟してもらわないと困るぞ。それに、処罰を実行するのも人事に責任を持ってるのも私なんだから、お前が気負うのは筋違いだ」
「…………ですよね。理屈はそうだと、頭ではわかってるんですが……」
私は道を歩く足を止めた。それに合わせ、メノウも立ち止まる。
「少し心配だな。いつか、その甘さが誰かに利用されそうだ」
「……申し訳ありません。私を重用してくださった始祖様のためにも、強くなれるよう努めます」
私の思うに、メノウは強いとか弱いとかの以前に、慣れていないのだ。他人の人生を左右するほどの、職務と立ち位置に。
私も権力者の立場になった直後は、そうした強すぎる力に戸惑ったから、よくわかる。
だが慣れればいい、というわけでもないだろう。
その行き着く先は、国民を数字でしか見れない機械的で無慈悲な為政者だ。私としては本末転倒にもほどがあるし、そうなったらなんのためにレイ族を治めることを選んだのか、わかりゃしない。
ゆえに初心を忘れず、適度な責任感を持ち続けるのは重要だと思う。
そうした意味では、駆け出しのメノウと仕事をするのは実にいい刺激だ。側近はできれば固定したいところだが、意識の新陳代謝のためには方針を改めるべきかもしれない。
私たちは再び歩き出すが、メノウはメノウで色々考えていたらしく、しばし会話のない状態が続く。
そして、目的地である万象院の外れにたどり着いた。
林を切り開いて作られた空間には、大きな宿舎が建てられている。私がここに来てから建設を始めた施設であり、今日、それがようやく完成したのだ。
建物の周囲には、宿舎を満足気に眺めている女が大勢いる。顔に焼印を持つ、かつて奴隷だった者たちだ。
私は彼女たちの多くを万象院にて雇い、清掃や調理、馬の世話、そして大工仕事などを任せていたのである。
「あっ、始祖様!」
元奴隷の一人が気づき、私に駆け寄ってくる。すると、周囲の者たちもあれよあれよという間に集まってきた。
彼女らは私を取り囲み、じっと見てくる。こちらの言葉を待っている感じなので、私は思っていたことをそのまま口にした。
「ようやく宿舎が完成したようだな。思ったよりいい出来だ」
満足気にそう言ったら、元奴隷たちは手を取り合って喜んだ。私に褒められたのが嬉しいらしい。
そして、十歳過ぎほどの子供が舌足らずな口調で尋ねてくる。
「しそさま。あたしたち、今日からここに住んでいいの?」
「ふむ、もう住める状態なのか?」
逆に尋ねると、大工仕事の指揮を取っていた元奴隷が前に出て答えた。
「一応、建物自体は完成してます。清掃もほとんど終わってますが、家具の搬入は明日からとのことで……」
「そうか。じゃあ、今日からでも移っていいぞ。大広間での雑魚寝にも飽きただろうしな」
おおー! と元奴隷たちは歓声をあげた。子供たちもはしゃいでいる。
万象院は元々大勢の居住を想定されておらず、不特定多数が寝泊まりできる施設がない。ゆえに彼女らには、本殿隣にある大広間(私がここに来た日に、有力者たちに役職を任命した場所)にて、一時的に寝泊りしてもらっていた。
そのため、彼女らの住まいをゼロから設けるべく、宿舎を建てさせたのである。
ちなみに、例のマニュアルは建築に関しての知識まで網羅しており、そのため宿舎建造においては私が色々と主導させてもらった。この時代の道具と技術力で、安全かつ効率的に建設が進められるよう、手を尽くしたのである。
また同時に、そうした技術や知識を元奴隷たちに伝授した。いずれは、そうした技能を元手として、彼女らに独立を促すためだ。
元奴隷たちの学習意欲は総じて高く、その試みは思いのほかうまくいった。
棟梁の統率によって効率的に動く大工集団として、彼女らは最低限の技能と組織的枠組みを持ちつつあった。もう少し実践経験を積めば、既存の業者にも劣らない有能な組織として、多くの建設業務を請け負えるだろう。
「――どうでしょう、始祖様。我らは大工としてやっていけるでしょうか?」
左目が潰れている女が尋ねてきた。元奴隷の中でも頭の回転が速く、棟梁に任命している人物だ。
「基礎は出来てきたと思う。けど、まだまだ経験が足らないな。個人としても組織としても、仕事を任せるには頼りないと言わざるを得ない。ま、万象院の中に建てたい施設は他にもいっぱいあるから、そうしたところで学びを深めていってくれ」
「わかりました。始祖様が託してくれた技術を活かせるよう、励みたいと思います」
棟梁は満足気な顔で言った。焼印で潰された顔面左半分が痛々しいが、その笑顔は爽やかで、過去にとらわれている様子はない。
『不幸なレイ族を根絶する』という私の目的はまだまだ道半ばだが、断片的とはいえその成果を目にできるのは、実に嬉しい限りだ。
先の話が出てきたので、私はそこにもう少し触れる。
「大工集団としての実力を得られたら、お前たちにはまず地方に赴いてもらう。で、学校や役所といった施設をミドリ国各地に建てる仕事を任せたい。私の統治を全国隅々に行き渡らせるには、そうした環境整備も必要だからな」
「なるほど。では、我らは当面、始祖様――というより国に雇われる形で仕事をする、ということですね?」
「そうだ。地方でなら、大府の大工組合に睨まれずに済むし、多種多様な経験が積める。対人的なものも含めてな。そうすればお前たちは大工としてもっと成長できるだろうし、私から完全に独立することも可能になるだろう。――まあ、私の庇護下でいたいって言うのなら、それでも構わないが」
「ありがたい話ですが、確かに独立に関しては意見が別れるかもしれません。そのあたりは、私たちの中で十分話し合っていきたいと思います」
私と棟梁の話を聞き、周りの元奴隷たちには頷いている者もいれば、渋い顔をしている者もいる。
将来的には分裂する可能性もあるだろうが……すべては、彼女らの選択次第だ。人生を他人に縛られてきた元奴隷という身分だからこそ、これからは自由に生きてほしい。私はただ、良さげな道を幾つか提示するだけだ。
すると、横から別の少女が口を挟んでくる。
「始祖様、私たちに名前をください! 『元奴隷の大工集団』なんて呼び方じゃあ、カッコつかないんで!」
その提案を聞き、周囲の者たちは次々に頷いた。
……なるほど、確かに建設会社としてやっていくなら、社名は必要となるだろう。
「うーん、そうだな。……じゃあメノウ、なんかいい名前つけてくれ」
急に命じられ、これまでずっと後ろに控えていた彼女は、「えっ」と戸惑った。
「わ、私なんかでいいのでしょうか。規模と方向性からするに、レイ族の歴史に名を残すかもしれないのに……」
「だからこそだ。豊富な知識をいかして、いい名前をつけてやってほしい」
私がそう言うと、メノウは覚悟を決めて悩みだした。
たっぷり三分ほど考え、待ちくたびれた子供たちがそろって離れていった直後、ようやくメノウは口を開く。
「――では、『有為縫い衆』というのはいかがでしょう」
「うい……ぬい?」
私が訪ねると、メノウはこくりと頷いた。
「『有為縫い』とは、世界創世の際、始祖様が力を借りたとされる小人たちの名です。造化六花の地は始祖様と彼女らによって形作られたそうなので、今の元奴隷の方々の立ち位置に似ている部分があるかと」
元奴隷たちは顔を合わせ、感想を言い合った。
「よくわからんが、いいんじゃない?」
「えー、でも始祖様は知らない感じだけど」
「始祖様は記憶が消えてるんだから、しょうがないだろ」
「なんだっけ、ういにー?」
「ういぬい。ういぬい衆だ。私はいいと思うぞ」
棟梁がそう発言したことで、大勢は決まったらしい。文句を言う者はおらず、自然とその名前が採用される流れとなった。
「ありがとうございます、メノウ様。ういぬい衆という名前、確かに頂きました。我らは今後、その名を名乗って大工の仕事をしていきたいと思います。よければ後で、漢字を教えてもらえますか?」
「は、はい、もちろん! 待ってくださいね、紙と鉛筆はあるので、今書いちゃいます」
メノウが取り出した紙片に文字を書いている最中、私は少々思案した。
『ういぬい』とは、おそらく『ウィニー』のことだろう。目覚めた直後に明美が残した動画で聞いたっきりで、ぶっちゃけ忘れかけていたが……まさかレイ族の伝説に残っていたとは。
――宇宙を漂う私と明美の死体を拾った宇宙人。それがウィニーだ。
連中にも独自の思惑がある、みたいなことを映像の明美は言っていた。
が、今の私の立場で考えるべきかどうかは、よくわからない。未知の存在すぎて、驚異の有無さえ計れないのだ。
まあ、ウィニーに関しては、これまでどおり放置でいいと思う。とはいえ名前の出所については少々興味があるから、あとでメノウに問いただすとしよう。
喜び騒いでいる元奴隷たちと離れ、私はメノウとともに本殿へ向かう。そして歩きながら、彼女に尋ねた。
「なあ、有為縫いって名前はどの伝説にあったんだ? 私も一通り調べたんだが、どの書物にも見当たらなかった」
「ええと……九百年以上昔に大きな社が建てられたそうなのですが、その際に寄進をした者の名を連ねた名簿が残っておりまして、その古文書の中にあったんです。『世界創世にて始祖様が使役された小人、有為縫いにちなみ、社を建てた大工頭に同じ名を授ける』、という一文が」
「……そんなわけわからん本を、よく読んだな」
「いえ、読んだというか、前の仕事で古本の修復業務をしていたときに、偶然目にしたんです。正直、雑学のひとつとして覚えていたにすぎませんが……まさか、事実に基づくのですか? 始祖様が気になされるということは」
「ああ、思いっきり真実だ。この世界を創ったのは、明美とそのウィニーってやつなんだよ」
メノウの足が止まったので振り返ると、目を点にして私を凝視していた。
「…………それって……本当、なのですか? 世界の創造主はあなた様ではなく、邪神明美と有為縫い? で、では、私が……私たちレイ族が信じていた伝説は…………」
「む……知りたくなかったか? メノウは真実を知りたそうだから、つい本当のことを言ってしまったんだが」
メノウはメガネを外し、眉間をぎゅっと押さえた。
「…………まさか、始祖様が記憶を失われているというのは、嘘なのですか? 本当のことを言うと、レイ族のあなた様への信仰が崩れてしまうから?」
「まあ、そう問われたら肯定するしかないが……」
「うわぁ~…………」
とうとうメノウは頭を抱えて俯いてしまった。
……理性的な人間だし、知識も豊富だから受け入れられると思ったのだが、どうやら私の解釈違いだったらしい。思いのほか、メノウの私への信仰心は強かったようだ。
おそらくほとんどのレイ族は、真実を知ったらこういう反応をするのだろう。さらりと流したティレがいかに異質だったかが、よくわかる。
「すまんメノウ、私が軽率だった。今言ったことは忘れてくれ」
神を信じる心というのは、私にはさっぱりわからん分野のひとつだ。こうした場合の適切な処置もわからないから、とりあえずは『無かったことにする』という対応しかできない。
だが、メノウは首をぶるぶる振って頬をぱしぱし叩き、表情に力を込めなおした。
「醜態を晒して申し訳ありません、始祖様。私の理性を見込んでくださったのに、それを無碍にしてしまうなんて。……けれど、よければ続きをお聞かせください。あなた様の側仕えとして、あなた様の真実から目を背けるわけにはいきませんから!」
その言葉には妙に熱が篭っており、私は少し圧倒されてしまう。
「そ、そうか? でも無理することないぞ。同じ側仕えのルミレイとオボロは、普通に知らないんだから」
「だったら、なおさら私だけでも知らなければ! というか、知りたいんです! 世界の隠された真実に触れられるなんて、学者の端くれとしては望外の幸運! 飛びつかないほうがウソってもんですから!」
「……でも、お前さっきは少し塞ぎこんでたじゃないか」
「ええ、衝撃的でした。しかしすぐに気づいたんです。私は目の前の始祖様を敬愛しているのだから、伝説上の始祖様の化けの皮が剥がれたところで、その信仰は一切揺るがないと。ですから! どうか! ぜひ! あなた様の真実を教えてくださいっ!」
ずいっと迫り、メガネを外したメノウは私の目と鼻の先で訴えてきた。
美人に迫られて少しどぎまぎしたが、それ以上に彼女の必死さがおかしく、私は吹き出してしまった。
「ふっ……すごい熱意だな。ここに来てから、一番積極的じゃないか」
「……あっ……す、すいません。私ったら……」
ようやく今の自分を客観的に見れたらしい。
互いの鼻と鼻がくっつきそうになっているのに気づき、メノウは慌てて後ろに下がった。
「わかったよ。なら、部屋に着いたら全部話してやる。といっても、世界については私も知らないことだらけだから、期待するほど真理に迫る内容じゃないが」
「あ、ありがとうございます! というか、一端が明らかになるだけでも凄いことですよ! 自分の人生を質に入れてでも聞きたいくらいです!」
私はつい、頬を緩ませた。メノウがここまで、好きなことに見境がない人間だったとは。
情熱ある若者を見るのはいい。精神の栄養となる。
中身の年齢が六十近いおばさんとしては、そばにいるだけで自分も若返ったような気分になるのだ。
とはいえ、最低限の釘は刺しておいたほうがいいだろう。
「けど、他の人間には話すなよ。特に私への信仰があついやつには。さっきのメノウみたいに、戸惑っちゃうからな」
「わ、わかりました。墓に持っていくと約束します。しかし……その言われ方から察するに、私以外のかたには話されていないのですか?」
「ティレだけだな、今のところは」
「ティレ……ええと、どなたでしたっけ。私、まだその人とはお会いしたことが――」
「僕がティレですけど」
真後ろから言われ、メノウは「ひゃっ」と声をあげて飛び上がった。
そこには、町民の格好をしたティレがしれっと立っている。
気配を消して近づいてきていたので、メノウは気づかなかったのだろう。私からは普通に見えていたので、いつ話しかけてくるのだろうと疑問に思っていたのだが。
「なんでお前、ずっとメノウの背後に立ってたんだ」
「いえ、お話中だったので。それより――」
いつものようにキレ良く答えると、ティレはメノウに向き合った。
「始めまして、メノウさん。僕は忍頭のティレと申します。今後ともよろしく」
「し、始祖様の側仕えとなりました、メノウです。こちらこそよろしくお願いします、ティレ様」
面接後にメノウを採用してから、今日でちょうど一週間となる。が、ティレはその間任務で不在だったので、二人が会うのはこれが始めてだった。
「僕に敬称はいりませんよ。あなたのほうが始祖様に近くて、年上ですし」
「け、けれど、その入れ墨は皇族直系の証。そのようなお方に無礼など、とても――」
「どうか、お構いなく。始祖様のおかげで皇族なんて身分はなくなったも同然だし、普通に扱ってもらったほうが気が楽なので」
「そ、そうなのですか。では、そのように今後は接します。ティレさん」
あらためて名を呼ばれ、ティレは無表情のままこくりと頷いた。
部下同士の初対面の挨拶も済んだようなので、私はティレへと問いかける。
「で、潜入の目的は果たせたのか? ティレ」
「はい、一応は。面会の約束も取り付けてきました。時刻は明日の正午となりますが、都合はつきますか?」
「動かせない用事はない。二人で明日、伺うとしよう。他に報告すべきことは?」
「特には。報告書を提出しますので、細部はそれで」
私は頷き、それによってティレの報告は終わった。
彼女はこちらに合わせてとことん無駄を省いてくれるので、実に仕事がしやすい。たまに言葉足らずなことがあるが、まあそれはご愛嬌というやつだ。
と、ティレに任せたい別件があったのを思い出した。
「そういえば、実はメノウのおかげで汚職が発覚してな。かなりの規模で内偵を頼むと思うから、人員を確保しておいてくれ」
「わかりました。で……その事実、姉上はもう知ってます?」
「いや、まだだが」
「慎重に伝えたほうがいいですよ。始祖様の面目を潰したとして、死刑祭りを開きかねませんから。あの人は」
「し、死刑祭りっ!?」
物騒なワードに反応し、メノウはびっくり仰天している。
「確かに、レイランならやりかねないな……。しょうがない、私が後で直接言い渡しておこう」
「あの、本当に死刑にするのですか……?」
びくつきながらメノウが尋ねてきたので、私はあえて落ち着いた口調で答えてやった。
「大丈夫だ、そんなことは私が許さない。それに、汚職を働いた連中にも事情があるだろうし、慣例とか帝が許してたって背景もありそうだから、単に厳しい罰を与えて終わりってことにもならない。だから忍に詳しい調査を頼むんだよ」
「な、なるほど……」
「ではメノウさん。該当者の目録を、後でオボロ経由でこちらに提出してください。もちろん、疑わしいと判断した点を詳しく併記したうえで」
「わかりました。あさって――いや、明日には作っておきます」
それは少々無理がありそうなので、私は待ったをかけた。
「待て、一週間後でいい。急ぐ案件じゃないし、作業量も膨大なんだから、時間を詰めすぎるな。自分の健康管理もお前の仕事なんだから、そこんところを忘れないように」
「……な、なるほど。すいません、いいトコ見せたくて、つい……」
しゅんとしたメノウに、ティレも変わらない調子で声をかける。
「では、一週間後ぴったりにオボロへの提出をお願いします。それに、そのほうが僕も助かります。お聞きしたでしょうが、これから数日は別件で忙しくなる予定なので」
「了解です。一週間後に提出しますね。……で、その別件とはいったい?」
「大府の闇、貧民街の問題を解決しようと思ってな。そのために、ティレにはそちらに潜入してもらってたんだ」
「で、では、明日面会するというのは……!」
驚くメノウに、私はさらりと言った。
「ああ、裏社会を牛耳るヤクザのボスだ。きつい交渉になりそうだが……ま、なんとかなるだろ。なんなきゃ、全員ボコボコにするしかないがな」




