【遥希】優芽と未来の約束
「あとからバレたり疑われたりすると面倒だし嫌だから…」
と、凪から手紙もらったこと、インスタでつながったことを聞かされた。
「でも結菜ちゃんには言えないよね?」
凪ってほんとに、どこまでも懲りないやつ?
そして、報告してくれたとはいえ、優芽だってインスタフォローしてんじゃん?
でも……
「話してくれて良かったよ」
秘密にされてるよりは、マシかな。
そうなのかな?
良くわからなくなっている。
「どんなメッセージ来るかな、はるくんも見る?」
ということは少なくとも、やましいものじゃないってことかな?
凪が相手だと、凪だしな、怪しいよなって目でどうしても見てしまう。
疑いの目で見たら、優芽のことだって疑わしく思えてくるもんな。
あの日のベランダでのことだって、ただ星を見てただけかもしれないのに……。
バルでも、
「そんな事するわけない、はるくんのえっち」
みたいに言われたし、そういう妄想してた俺が恥ずかしいのか?
「それでね、凪くんが結菜ちゃんとペアリングつくりに行くんだって」
「ペアリング? つくる?」
「うん、手作り工房とかあって、指輪作れるんだって、凪くん、みんなで行かないかって言ってた」
「あー、そういう話してるんだ?」
凪って、良くそういうの見つけてくるんだよな。
女の子喜ばせるコツ?
良く知ってるよな。
……だからモテるのか。
俺と正反対。
「うん、女の子って指輪好きだよねって言うからたぶんねって言っておいた」
「優芽も、その、指輪好き?」
「うーん、好きっていうか、男の人から指輪もらったことないし、憧れはあった」
え、そうなんだ?
歴代イケメン彼氏たちは、優芽に指輪プレゼントしてこなかったのか!
「優芽はどうしたい? その工房に行きたいの?」
「微妙かな」
「え、あ、そうなんだ、微妙…」
「はるくんみたいに器用ならいいけど、わたしそういうの、ものづくりとか苦手」
ああそうなんだ、残念だな……。
ん?
そしたら、もしかしたら
「じゃあさ、優芽、俺が本物プレゼントするよ」
いっそのこと、婚約指輪的なやつ。
「本物ってなに? ダイヤの指輪とか?」
優芽がくすくす笑ってるけど、電話なので顔は見えない。
でもたぶん、喜んでる?
「じゃあ、はるくん、すぐじゃなくても、いいけど、約束だよ」
「うん、見に行こうな指輪」
それだけなのに、凪に勝ったような気がした俺って…
こんなの、勝ち負けじゃねーってのに。
優芽が凪とインスタで繋がってるのは、多少の、かなりの?
不安要素はある。
それに優芽が話してくれてることも、それがすべてじゃないのかもしれない。
でも、完全な秘密ってわけじゃなさそうだ。
結菜ちゃんだって、俺とか悠真さんとかに相談してるし、そのこと凪に言ってないとかあるみたいだし、
なんていうか「お互いさま」?
そんな中でもやっぱり、パートナー同士の固い絆っていうのか、なんていうのかな?
あったらいいと思ってる。
良く結婚は紙切れ1枚とかいう。
そのことで父と話したことがあって
「たかが紙切れだけどな、あれは重いんだぞ」
責任とか、覚悟とか、結婚というもののすべてが紙切れに詰まってるんだって言ってた。
俺はずっと、父親のことを尊敬して見てきた。
理想の結婚像を、そこから学んだんだと思う。
父のようになりたい。
あんなふうに、かっこいい父親、そして夫になりたいんだよな。
いつまでも仲良し夫婦。
そのために俺ができることは、なんだ?
「あ、そうそう」
この機会に言っておこう
「今度、優芽のこと、連れて来いって親が言ってた」
「え、あ、そうなんだ! 懐かしいな、会いたい!」
親のことも優芽は面識あるし、そりゃ懐かしいよな。
うちの母だって
「え、あの優芽ちゃんと? え、つきあってるの? そうなの?」
びっくりしてたけど、めちゃくちゃ喜んでたから。
指輪が先になるのか、親に会わせるのが先なのか、まあどっちでもいいんだけど、未来の約束があるのは、とても心強いと思った。
こんにちは。
予定通り、明日の投稿で『本編完結』です。
あと2話と「おまけの話」を明日公開するのでよろしくです。




