【結菜】フライドポテトと2LDK
「いい? 条件出すよ、言うよ?」
「お、う、うん、聞くよ」
このまえ悠真くんが言ってたんだ。
うまくいかないとき、一度ひっくり返せって。
つまり、世間に出回ってるような浮気対策。
わたしが研究してたことも含め、
あんなの、効果ないんだよ。
だから、凪くんに合わせた、わたしなりの条件を出すことにした。
「フライドポテト3ヶ月禁止」
「…………え、ええ!」
そ、それはやめて、ひどい、
無理無理無理無理、ポテト禁止?
「凪くんはね、それくらいわたしに対してひどいことしたんだよ?」
「…はい、ごめんなさい、我慢します」
優芽ちゃんと会うの禁止!
って、最初は思ったんだ。
でも、会わないよわかった、なんて言うだけなら嘘でも簡単に言える。
そしてこっそり会われたら嫌な気持ちになって、裏切りって怒ると思う。
だけど、ポテトならこっそり食べても、わたしに被害はまったくないもんね。
「次にね」
「え、まだあんの?」
「あるよ、あと3個ある」
「はい」
ほんとはね、優芽ちゃんの連絡先削除してもらおうかと思ったけど、みーくんの例があるように、ブロックしたって、会う気があれば会うんだよ。
抑えたってだめ。
本人の自覚がないと、だめなんだ。
「わたしを最優先にして、ほかの女の子よりも好待遇にするの。不安にさせないで、安心が欲しい」
「あ、それならできる、やる、絶対優先する」
「絶対だからね!」
「うん、不安なときは結菜もちゃんと言ってくれたらありがたい」
「じゃあ次、あのね、浮気してもバレたらだめ!」
「バレ…え、浮気してもいいってこと?」
「そうじゃない、わたしが少しでも疑い持つようなこと、しないでってこと」
世の中にはね、彼女いるのわかってて、浮気に応じる女がいるんだよね。
みーくんもイケメンだったし、凪くんだってそう。
女が、ほっといてくれない。
そうゆう女、一定数いる。
男なんか、後先なんにも考えてない場合ってよくある。
頭と下半身、バラバラなんだから。
「で、最後」
「何言われんのかどきどきするな」
「新しく部屋借りよう?」
ここ、狭い! って言っちゃった。
一緒に暮らすのに、どうしてもわたし、ここだと居候って気持ちが抜けない。
人んちなのに、なんでわたしが家事するの?
って、思ってた。
だから
「2LDK借りてルームシェアみたいに暮らしたい」
これも最初は、わたしひとりで借りるつもりだったけど、凪くんも犠牲になってもらいたかった。
わたしだけが、なにもかも失うみたいなのは不公平。
証拠はないし、凪くんも優芽ちゃんも認めてないから、本当に浮気してたのかわかんない。
でも、疑惑は抜けない。
された側だけ、損するのは不公平すぎる。
凪くんは、実家から離れてなければいいって、条件をのんでくれたよ。
やっぱりそこは外せないんだね。
家族思いで、優しいところはいい、とってもいいと思ってる。
それから凪くんは、あの日、ひかりちゃんの運動会だったことも話してくれたよ?
そんなの、言ってくれたら良かったのに。
これからは、ひとりで出かけるときは、行き先と誰と会うかと、ちゃんと教えて?
そして優芽ちゃんとのことは、もう聞かないことにした。
そもそも、すぐにバレそうなところで、そんなこと本当にする?
という疑問があるんだよね?
そんなにバカなのかな?
うーん、バカかもしれない。
って、たくさん葛藤した。
でも永遠に隠し通してくれたら、そしてもうそんなことしないなら、それでいい。
みんなを失ってまで、凪くんだけを独占するのも、なんかわたしとしては「違う」んだ。
そして思ってたよりわたし、凪くんが好きなんだ。
天使じゃなくてもいい。
ちゃんと、ひとりの男の子って、人間として見るよ。
凪くんがわたしを、人間として見てくれたみたいに。




