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君の知らない僕のダークサイド〜救ってくれるもの  作者: 水波瀬 凪
第三章~それぞれの救い【転換期編から最終まで】

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【優芽】なんだまたおまえかよ、来るなよって言ったよね

「遥希に相談できなくてさ」


と凪くんからLINE。


カフェの水曜定休日、ひとりで「正直不動産」見に行こうと思ってたのに。


ていうか、朝からLINEしてくんな。


仕事しなさい、と思いつつ


「なに?」


とだけ返信するわたしは優しい。



「結菜が帰ってこないんだ」


ふうん、あの件が原因なら、確かにはるくんには相談できないね。


「迎え行けば?」


「それができねーんだよな」


「できねーんじゃなく、やれよ」



あー凪くん相手だとなぜこんな言い方になるんだろ?


心のバリアかな?


「だから! 拒まれてんだよ」


「だったら待ってれば?」


「えーいつまで?」


「永遠じゃん」


笑ってやったけど、凪くんは笑えないよね。



「凪くんだってさ、結菜ちゃんのこと1週間くらい待たせてたって聞いたよ?」


「あ、そうだな」


いま思い出したかのようなその言い方。


なんだろ?


過去のことすぐ忘れちゃう?



「1週間くらい待ってみるか」


「待ってるだけで、いいのかな?」


「なんで?」


「結菜ちゃんが出てった理由」


心当たりあるよね?


わたしも、当事者なんだもんね。



2人の秘密なんて言ってさ、隠し通せてない。


しかも、さらに嘘で隠そうとしてる。



はるくんにバレるのも時間の問題なのかもしれないな。



ふと、凪くんが重傷事故で寝たきりだったことを思い出す。



頭大丈夫かな?


と思うことってよくあるし、後遺症で記憶がどうのこうの?


あるのかな?



それとも単に、そういう性格?



凪くんの頭の記憶のことはともかく、ちょっとだけ、気になってたことがある


「ね、凪くん、サメの歯くれたの、なんで?」



「優芽、忘れたの?」


あのとき、お揃いで買ったじゃん


サメの歯のやつ


思い出あるからって……



あのとき?


お揃いで?


うん、買ったよね、それって湊くんと一緒にだよ?




やっぱりなんかおかしい。


……えと、あれ、どこやったっけ?



『サメの歯ってさ、何千回も生え変わるんだって。折れても、なくしても、後ろからずっと新しいのが生えてくるんだよ』



あの事故の前に、湊くんが隣で笑いながら教えてくれた豆知識が、脳内にフラッシュバックする




これって、凪くんの脳内バグってる?


それともやっぱり、湊くんの記憶が凪くんの中で生きてる?




「あ、あれ…そうだ、そうだ」


サメの歯、ネックレスにしたんだ。



あれ、なくしたんだっけ。


なくしたのを凪くんは知ってる?


じゃあ、湊くんは?



湊くんは知らないはず、なくしたのは湊くんが亡くなった後だもん。



『何千回も生え変わる』



繰り返し?


再生?


やり直し?



良くわからないけど、サメの歯になりたい。


と、ふと思った。


やり直しできるものなら、やり直したい過去だ。



でも、どこから?


いまはるくんと一緒にいて、それが消えるとしたらどう?


……ありえない。



人生のやり直しはできないのは知ってる。


だから、もしもなんか、あるわけがない。


知ってる、知ってる、知ってる。


それでも、もしもを考えてしまうのは、なぜだろう?


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