【遥希】凪って反省してるのか? そして優芽はなにしてる?
さっきまでマリオカートで遊びながら
「赤甲羅だけはやめてー!」
とか言ってふざけあってたよな?
優芽が泊まりに来ることを、凪に言ったのは俺。
あのとき、結菜ちゃんと会わず、帰ったのも知ってたから、来るかな?
そんな予感はしてたんだ。
そしてやっぱり凪はうちにきて、いままでみんなでゲームしてたのに、なんでこうなった?
「ちょっと凪、変なことすんなよ」
なんか急に凪がおかしい。
「なんで優芽になにもしてやんねーの?」
そう言ったかと思ったら
「しないなら遥希、優芽を俺にくれ」
唐突にそんなことを言いだす。
「は? まだそんなこと言ってんの?」
そばでは優芽が、見て見ぬふりなのか、それとも横目で観察? しているのかはわからない。
黙ってるんだ。
「もしか遥希、やりかたわかんねーんだな、教えてやる」
なにそれ、教えてくれなくても、それくらい知ってるよ!
てゆーかなんだよ、凪、なにするんだよ!
「おとなしくしろよ遥希!」
凪が俺に詰め寄る。
顔、近すぎ…
俺、なんで責められてる?
いや、攻められてる!?
凪が俺に顔を近づけてくるんだけど、なんだこれ、なにされてる?
「こういうの、なんていうか知ってる? 優芽が喜ぶやつ」
何されてるんだ!
何するんだ、凪やめろ!
「凪、だよな? え、湊じゃねーよな?」
「ごちゃごちゃめんどくせーな遥希」
ベッドってな、寝るためにあるのであって、こんなことするために、俺のベッドは少なくともこんなことするためにあるんじゃない……
……。
「なんかさ、イラついちゃって俺」
凪は気まずそうに俺から目を背けると、
「ごめん遥希、もうしない」
あ、いつもの凪に戻った?
「面白いの見ちゃった」
優芽は笑ってるけど、こんなのが面白いのか?
「凪くん、キスシーンうまーい」
わたしにもして。
優芽が凪に向かって両手を広げてる。
ふざけてるのか、本気なのか、優芽。
「優芽、つきあうって、それだけじゃないだろ?」
「でも、それも大切!」
そんなこと優芽が言うから、凪が優芽に手をのばそうとしてるじゃん!
「凪、結菜ちゃんがだめなら優芽とか、人の気持ちをそんな簡単に扱うな!」
「あ、遥希が怒った」
「はるくんこわーい」
なんだ、ふたりしてふざけてんのか?
それとも、バカにしてる?
「だまれ凪!」
「遥希ごめん…」
悪いことしたと思ったのか、凪は謝ったけどな、どうにも気持ちがおさまらない。
「ごめんっていうくらいなら、最初からすんなよ! 結菜ちゃんのことだって、少しくらい気まずいとか、なんかあったくらいで投げ出すな! すぐ逃げんな!!!」
久しぶりの怒り爆発だった。
「助けてはるくん!」
あのときの優芽の声がいまだに忘れられない。
あの高校1年の夏の終わり、
「おま…なにした? おい樹! いったい何?」
俺は、 あのとき守れなかったこと、 ずっと後悔してるのに。
なにもしないってさ、俺のこと、そんなに責めないでくれよ。
凪はあやまった。
でもそうじゃない。
謝ってほしいわけじゃない。
なんでおまえなんだよ。
なんで湊じゃなく、凪なんだ。
なんで優芽は、 そんな顔するんだ。
あの夏、 泣いてたくせに
怖がってたくせに
なのにどうして、 また同じ場所に戻ろうとする?
「軽い気持ちで、優芽を奪おうとすんなよ!」
優芽だってそうだ。
あのとき実らなかったからって、湊の代わりに凪で満たそうとすんな!
「遥希、ほんとにごめんなさい」
凪は何度もあやまったけれど、優芽は?
なにしてる?
え、なに?




