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君の知らない僕のダークサイド〜救ってくれるもの  作者: 水波瀬 凪
第二章~まだ俺は救われない【交際編】

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【凪】ひかりちゃんの子守りと事故のフラッシュバック

あーもう、面白くねーな


「ねーなー」


ひかりちゃんが俺のまねをする。


変な言葉でも教えてやろっかな


「バーカ」

「バーカ」


「はるき」

「はるき」


「そうそう、遥希ってね、いいやつなんだけど、ちょっとバカなんだよな」


「はるきいいやつ」


「ひかりちゃん、聞いてくれる?」


「うん、きいてくれるー」


「なぎくんの目の中に、なにがいますか?」


ひかりちゃんを見つめてみた。


「なにかいます?」


「それはなんですか?」


「それは」


きらきらがいます!


と、ひかりちゃんが笑う。


あ、もしかしたら、ひかりちゃん自身がうつってみえたのかも?


きらきらしてるもんな、まだきれい。


さすがに5秒落ちはないか。


「ぱぱ!」


「え、違う違う、俺ぱぱ違うー」


「あ、ちがうー」


「違う」


ぱぱ、欲しいのかもな。


そうだよな、俺だって父親事故らなきゃまだ生きてたはず。


俺くらいになっても、父親の存在ってやっぱりでかい。


それに兄貴…


遥希と仲良かったんだよな。


遥希あのとき、泣いたんだろうな


俺、見てないけど。



あのとき意識飛んで、起きたら大人なってんの、びっくりしたな!


中学生だったのに、起きたら大人!


意味不明の瞬間。


あんとき遥希あんな泣いててさ。


ほんと遥希って良く泣くよな。


「遥希、兄貴どこ?」


「凪、あのな、(みなと)は……」


聞かされたとき「無感情」だった。


え、なに言ってんの遥希。



でもさ、起きて鏡みたとき、鏡の中に、兄貴がいて。


あれ、俺どこいった?


俺、凪?


あれ、違う? 俺って湊じゃね?


自分見失って、わけわかんなくなって、そうだあのとき俺…


「やべ、頭痛くなってきた」


事故のこと考えたり、思い出したりすると頭痛が起きる。


体に悪いんだよな、違うこと考えよう。



ああそうそう。


それから遥希が俺に勉強教えてくれてさ、定時制高校受かったんだ。


女の人みんな優しくしてくれたな。


いつもご飯食わせてくれて。


特に、17歳のひまり。


仲良かったんだよな、いまどうしてるかな?




病院で目覚めてからは、遥希がいつもそばにいた。


「湊みたいにはなれねーかもだけど、いつでも頼ってこい!」


遥希が、言ってくれてさ、甘えてた。


遥希に心配かけるたび、いつも怒られてた。


あんま怒られるとこわくなる。


もう知らねーとか、勝手にしろって言われるたび、捨てられるんじゃないかってこわかったんだ。


「遥希、俺のこと捨てないで」


良く言ってたっけな。


「はるきすてないで?」


ひかりちゃんが目をぱちぱちさせながら首をかしげてる。


「ひかりちゃんが話を聞いてくれるから、たくさんしゃべっちゃったー」


「なぎくん、なかないで」


え、俺、泣いてんの?


手で涙拭ってたとき


「大丈夫?」


頭上で声がした。


「なに? 泣いてるの?」


優芽がいた。


「はるきいいやつ」


ひかりちゃんに優芽が手を伸ばしてる。


「え?」


「はるきー」


ひかりちゃんは優芽のこと、はるきだって勘違いしたのかな?


「だっこーはるき」


優芽に抱っこしてもらってた。


子守りバトンタッチの瞬間、やっと解放されたー。


でも、俺はどこも行かなかった。


ひかりちゃんを見てた。


いや、


ひかりちゃんを抱っこしてる優芽を見てたんだ。


ひかりちゃん、嬉しそう。


「子育て慣れてそうだな」


「あ、うん、妹育ててたみたいなもんで」


「妹いんの?」


「たぶん」


「たぶんってなんだよ」


「会ってないからね、元気とは思うけど」


優芽が遠くを見る目をしている。


俺もたぶん、優芽と同じ、遠く、過去を見つめてた。


「俺の兄貴はもういないけどね」


「ああ、湊くん」


「優芽が兄貴と知り合いって聞いたとき、びっくりした」


LINEで話してるうち、兄貴の話に偶然なってさ、びっくりしたんだ。


「そだね、好きだったな湊くん」


「…え、そんな関係?」


それは初めて聞いた。


「え、ううん、そんな深くはなくって」


でも、お葬式には出たって、優芽が言った。


「そんとき会えてたら面白かったよな」


兄貴の葬式のとき、俺、病院いたんだろ、たしか。




それにしても良く生き返ったよな、俺。


いや、生きてたのか?


空白期間長すぎて、嬉しいとかそんな気持ち、ゼロだったけど。


とにかく、意味不明だっただけ。


「いいじゃん、いま会えてるし」


「だよな。それより遥希は?」


「サウナ行ってくるって」


「そか、だからひとりなんだな」


まあ、座れよ、と目の前の椅子を指さす。


「ううん、やめとく」


「あー、それもそうだな」


さっき悠真さんに疑いかけられたし。


と思ったら、近くに悠真さんの姿も見えて


「わ、やばーい」


「どうしたの?」


さっき悠真さんにさ、疑いかけられてさって、優芽に告げ口しといた。


「そか、わたしも気をつけようっと」


またねと言って、ひかりちゃんを戻され、優芽は向こうに歩いてった。


なんか話し足りねーじゃん。


優芽の後姿を見送りながら、思った。


またLINEしよ



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