【おまけの凪視点】初恋のひまりとフライドポテト、そして優芽のこと
事故にあったのが中1の夏。
そして意識不明から目覚めたのが、17歳を少し過ぎた秋頃。
それからリハビリ、メンタルカウンセリングなどを経て、定時制高校に入学したのが、19歳だった。
そこで出会った女の子、ひまり。
いろんな年齢の人がいる定時制。
その中でも、ひまりは17歳になったばかり。
一番年下だった。
普通高校に通える年齢、なのにあえて定時制を選んでるのってどういう理由?
ちょっと興味を持ったので、
「ね、今日一緒に帰ろう?」
そう誘ったのをきっかけに仲良くなった。
話を聞いてみると、ひまりは祖父母家庭に暮らしてると言った。
「親、いねーの?」
聞いてみると、虐待されてて引き離されてるんだって。
「そっか、でもさ、居場所あって良かったじゃん」
そう言ったら、ひまり、俺の顔じっと見てきてさ、その目が不思議なものでも見るようだったんで
「え、なんか俺、変なこと言った?」
「うん、いつもみんな、かわいそうだねって同情されたり、ひどい親だねって親の悪口言ったりするのに、凪くんは良かったじゃんて言うからびっくりしてただけ」
「ふうん、そっか」
同情したり親の悪口言ったりしたって、ひまりが元気になるわけじゃない。
明るい目的がないとさ、人生ってつまんねーんだよ。
生きる意味っての、ときどき考えるけどやっぱり楽しくないと無理だ。
「それより、ひまりなんか食ってこっか」
「あ、ポテト食べたいな」
「いいな」
ってことで、ふたりでファストフードの店行って、山盛りポテトパーティやったんだ。
あのときから、ポテト食うと元気になる。
元気になりたいから、ポテト食うって、癖になってるのかもな。
その後、ひまりと少しつきあった。
だけどだんだん、ひまりは学校に来なくなっていって
「なんかあった? いじめられてんの?」
来れない理由を聞いてみるんだけど
「ううん、そんなんじゃない、でも行けない」
理由はわからないけど、行けない。
登校拒否ってやつなのかな?
それから、ときどき、ひまりの住んでる祖父母の家ってところに行ってみたんだけど、会わせてもらえなかったんだ。
連絡しても、つながらない。
当時ひまりはスマホなんか持ってなかったしな。
そうしてるうち、だんだん疎遠になっちゃった。
学校卒業できたものの、就職が決まらず、適当にバイトやってたんだけど、それもあんまり続かなかった。
ふらふらしてたとき、遥希がいまの会社に俺のこと引っ張ってくれたんだ。
それで、今に至るんだけど。
たまに思い出す、ひまり元気かな?
まだ、別れようって言ってないじゃん?
でも、自然消滅ってことなんだよなって、一年くらいたったとき思った。
社会に出たら、いろんなところでいろんな女の子との出会いがあって、ひまりのこと、だんだん忘れていってた。
なんとなく、ポテト食ってたら思い出す。
そして、後に出会うことになった「優芽」。
優芽も家庭が複雑で、祖父母宅で生活してたなんて聞けばさ、思い出すだろ? 重なるときあるんだよな、ひまりと。
ひまりを救えなかったって気持ちがあるから、優芽が気になってほっとけないのかもしれない、なんて思ってたけど、どうなんだろ?
別人だし、性格違うし、俺の単なる自己都合かもな!
事故に合わなきゃ出会えなかった人間関係。
出会いは偶然じゃない。
大事にしなくちゃなって、俺はいつも思っている。
ありがとうございました!




