表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

91/123

第二章 第九十話 〜破られる平穏〜

「うふふふふ……」

 夕方食事のあと、セイクルはとてもゴキゲンだ。よく息が続くと思うくらいずっと笑っている。さっきなんかトイレに行って帰ってくるまでの間にも笑っていた。これは今日寝る時に耳栓をした方がいいだろうか……

「いいなー、セイクルばっかりずるい」

「仕方ないよ。たぶんどこかで安定剤を打たないとおかしくなると思ってたから」

「今日は眠れるかな……」

 めちゃくちゃな言い草だが、本人はそれにも全く気付いていない。

「大丈夫だよ。ちゃんとみんなの分もあるから」

 僕はカバンの底をゴソゴソと探し始める。そしてフィオ、チロ、ネネ、それぞれに紙袋を渡した。

「え!? 何これ!?」

「僕の分もあるの!?」

「ネネの分も?」

「そうだよ。開けてみて」

 三人が中身を取り出した。

「「「うわあ!」」」

「まずフィオ。君のは二つのリボン。大きなかわいい耳が特徴的だからね。

 チロの分は入門編の画材セット。何か他の本と悩んだけど、好みもあるからね。今回は実技の授業からヒントを得て、それにしたよ。

 ネネには枕。これすごくて、膨らませることもできるし、しぼんだら小さくなるんだ。しかも丈夫でツノでも穴が開かない。持ち運ぶのも便利なんだ」

 みんな目を輝かせている――

「どう? 似合う? チロ?」

「かわいいよ、フィオ。似合っている」

「チロも画材セットカッコいいね」

「Zzz……」

 いや、一人はもう寝た……何にせよ、みんな喜んでくれたみたいだ。

「おや、みんな、プレゼントをもらったみたいで――良かったですね」

 神父様がエプロンを外しながらやって来た。僕はまたカバンからゴソゴソと紙袋を取り出した。

「はい、これ、神父様に」

「え……私に、ですか……?」

「そうです。開けてみてください」

 神父様は慎重に紙袋を開けた。するとそこから一対の赤と青のイヤリングが出てきた。

「これは……?」

 神父様とギルド長のペアイヤリングです。お互いがお互いを想うように。

 

ブアッ――!

 

 神父様が泣き出した。

「ありがとうございます、リベル! 二人で大切にします! 子どもたちみんなの分もありがとうございます! あとで何かお返ししますから――」

「いえ、神父様やギルド長にもお世話になっていますから」

「ただ――」

「ただ?」

「そこまで気が回るのに全然肝心なことには気付かないんですね……」

「……?」

 何のことだろう? と首をかしげた――と思った瞬間。

 

カンカンカンカン――!

 

 けたたましい音が鳴り響いた。

 

「な、なんだ!?」

「な、なに!?」

「どうしたの!?」

「こわい……」

「これは非常事態の鐘! 何事ですか!!」

 みんなが一斉に教会の扉から外を覗く。他の町民たちも家の外から顔を出した。皆驚き戸惑っている。

 

カンカンカンカン――!

 

 中央広場の海側の近くの無人の物見櫓やぐらから鐘の音が再度響く。

 

ザーザー――

 

 するとスピーカーから男の人の声が聞こえてきた。

 

「緊急事態! 緊急事態! モンスターの群れが山間部より大勢押し寄せて来ている! 兵士及び冒険者は町の門を至急守れ! 町民は直ちに領主城へ避難せよ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ