第二章 第七十話 〜初心者向け協力クエスト〜
「では、今回は初心者向けの協力クエストとなります」
受付のお姉さんが話しだした。
今日、僕は冒険者ギルドに来ていた。ギルド長が言っていたが、そのクエストをこなして合格すると、Dランクに上がれるということらしい。
そこにはすでに他に三人の冒険者たちがいた。見覚えのあるモヒカン頭のオネエさんも一人いる。
「……本当にこのチビと一緒に行くのか?」
「あらあ、チビなんてひどいわね。こう見えてギルド長と同じくらい強いのよ?」
「……嘘だろ!?」
「そんなふうには見えない……」
「まあ何だって、強けりゃいいだろ」
剣士風の男の人と、魔法使い風の女の人、そして武道家風の女の人が僕の方を見て呟く。
そして三人はこちらの方に向き直り、改めて自己紹介を始めた。
「俺の名前はアルト。剣士だ。よろしく。悪かったな、チビなんて言って」
「私の名前はエルマ。攻撃魔術使いよ。よろしくね」
「ウチの名前はモカだ。武道家だ。よろしく」
「僕の名前はリベルです。よろしくお願いします」
「別にこれから仲間になるんだから敬語使わなくていいぜ……うん? そう言えば、なんか肩書きとか、職種とかはないのか?」
「え? いや、ないけど?」
「――ってことは、何も特化していないのに、ギルド長と同じくらい強いのか……?」
「まあまあ、いいじゃない。そんなものがなくても、強い人は強いわ」
モヒカン頭さんが僕に対してウインクを飛ばして来た。素早く首を捻って避ける。
「あら、いけずね。アタシは今回の初心者協力クエストを担当する、キャサリンよ。みんな、ヨロシクね!」
今度は投げキッスが飛んで来た。とっさに隣のアルトの背に隠れる。するとカーブを描いて彼の顔に命中した。
「あ! お前! ちょっと! ぐああ……!」
「ヒドいわね! 光栄に思いなさい」
アルトの全身に鳥肌が立っている。そんな状態異常もあるんだなあ。良かった、僕には当たらなくて。
因みにエルマとモカはドン引きしていた――
ザッザッ――
僕ら五人は冒険者ギルドを出て、キャサリンの先導のもと、道を歩く。
「今回のクエストは、港町ベルグハーフェンの鉱山に巣食うモンスターの間引きよ。そこでは魔法鉱石が採れるんだけど、地中からたまに敵が出てくるのよ」
「そんなことってあるんだ――そう言えば、動物とモンスターって違うんですか?」
「強いていうとあまり違いはないわね。どちらかというと、敵対的なものはモンスター、それ以外は動物と言ったりするわね」
なるほど。そんなに違いはないのか。
「俺らでも倒せるものなのか?」
「大丈夫よ。出てくるのはコウモリとかゲジゲジとかムカデとかよ。大きさは私たちの半分くらいかしらね」
「……結構デカくないか?」
「それくらいの敵がいないと試練にならないじゃない」
「……それもそうか」
「私が思うに、鉱山って普通は行き止まりじゃないの? それなのに、そこからモンスターが発生してくるの?」
「いいところに気づいたわね。実は鉱山の中には川が流れていて、そこからワラワラ出てくるのよ。全く、どこに繋がっているのかしらね。しかもかなり流れが急なあげく、滑るのよ。鉱毒もあるし、場所によっては息もできない。
坑道は魔術ランプで明るくはなっているけれど、それでも暗いわ。でもそのランプみたいに、私たちの生活には魔術回路や法術回路が必要で、さらにそのために鉱山が必要なのよ」
キャサリンの話を聞き、ちょっとしたダンジョンみたいに思えてきた。
僕はこれからの小さな冒険にワクワクしていた。




