↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

65/124

第二章 第六十四話 〜実技の授業〜

「絶対に私の料理食べさせてやるんだから!」

「……リベル、ゴメン。私じゃセイクルを止められないわ――」

 今日はみんなで登校している――といっても、先行する二人と後続する三人に分かれている。

 一晩明けても、セイクルはプンスコ怒っていた。フィオと仲直りしたのはいいけど、矛先が完全に僕に向いていた。

 つまりこれは『死刑宣告』だ――

「僕、死にたくないんだけど……」

 チロとネネが背中を叩く。

「今までありがとう、リベル」

「永眠――」

 とても悲しくなってきた。どうしよう泣きそうだ。

 

「まあまあ、今日はリベル、実技だから」

「戦闘以外もある――」

「え? あ、そうか。戦闘以外の実技もあるのか! 楽しみになってきた! 因みに二人は何をするの?」

「僕が一番好きなのは読書だけど、今日は絵を描くかな」

「ネネは歌う――」

「選択制なんだね」

「いや、ある程度自由。あまりにも不公平だとかわいそうになっちゃうから、調整する」

「そうなんだね……ん? そういえば僕は今日、一体何から始めればいいんだ……?」

 

「――そう言うと思ってたので、今日も私が案内します」

 学長が校門の前に立っていた。

「学長、おはようございます」

「おはよう。リベル、皆さん」

「学長、おはよう!」

「さあ、リベル、一度学長室に行きましょうか」

 

「聞いているかもしれませんが、実技は自由選択制を採っています。ある程度基礎を学ばせたら、そこから先は個々人の能力を伸ばすことを重要視しています。因みに戦闘は基礎に入ります。敵が攻めて来たら困りますからね」

 それはそうだ。危険がほぼない場所ならともかく、そうではないのなら優先順位の上位は戦闘になる。

「それ以外は色々な実技があります。主に芸術系ですね。絵画、彫刻、舞踏、音楽などです。あとは料理、技術、裁縫などもあります。戦闘は重要ですが、それ以外ももちろん重要です。大切なのは『底上げ』と『伸ばす』ことですから」

 それは本当にそうだ。せっかく才能があっても学校が抑え込んでいるのなら無意味だ。それでいて、僕の文字みたいに救済もしなければならない。教育は大変だ。

「では、他の実技をしている場所を見て回りましょう」

「分かりました。よろしくお願いします」

 

 

 僕と学長は体育館にやって来た。

「ここは格闘技などを鍛える場所となっています。魔法力を使う場所は広い校庭や中庭の方がいいですからね。そうでない戦い方も後々重要になってきます――」

 

「せいっ!」

「はあっ!」

 

ビシッ! ビシッ!

 

 ちょうどセイクルとフィオが戦っていた。クッション性のある防具を格闘している。我流の僕が言うのもなんだが二人とも筋がいい……と思ったら、なんかブツクサ聞こえてきた。

「絶対に! 私の料理を! リベルの口に! ねじ込む!」

「その意気よ! セイクル! 私は! 関係ないから!」

 ――最悪だ。しばらく逃げたい。

「……まあ、そっとしておきましょう――」

 見なかったことにしてその場所をあとにした。

 

 

「こちらは美術室です。絵画や彫刻などで力を発揮する部屋ですね」

 

シャッシャッシャッ――

 

 チロは木炭とパンを使って絵を描いていた。モチーフはリンゴ、バナナ、ブドウだ。

「――いや、上手いな!」

「あ、リベル。ありがとう」

「チロは前から絵を描くのが得意なの?」

「いや? 全然」

「そうなの?」

「誰だって最初は下手でしょ。少しずつ改善していくから上手くなっていくだけであって」

「……そうだね」

「まあ、セイクルの料理みたいに、向き不向きはあるけどね。情熱や勢いはいいんだけど、そういう人たちって絶対に暴走して余計なことするんだよね……あと、レシピ見ないし」

「……そうだね」

「つ、次に行きましょうか」

 

 

「続いては音楽室です。今日は歌のようですね」

「歌か――お母さんの子守唄とイルカとシャチの歌しか聴いたことないや」

「そうなんですね……え? イルカとシャチ?」

 

 ネネと他の生徒が合唱している。みんな上手だ――僕は果たして上手く歌えるんだろうか?

「はい、では次は全員で二小節ずつ、少人数で輪唱していきましょう」

 お、次はネネの番かな? 指揮をする先生の合図で彼女は歌い出した。綺麗でかわいらしい歌声だ――ん? なんだか僕の体がちょっとふらついたような……おや? 他の生徒たちも少し様子がおかしい……


パァン!

 

 歌が終わって、学長が両手で大きな音を立てた。僕とみんなはハッとして授業に戻った。

「何がどうなったのです?」

「ええと、どうやらネネは歌の才能と同時に、何かしら魔法力の才能もあるようです。おそらくこのままいけば、立派に催眠魔術を使いこなせるでしょう――私は効かなくて良かったです」

 そんなことも起きるんだ……奥が深いなあ。その奥はあまり覗きたくないけど。

 

 

 その後も様々な実技の授業を学長に見せてもらった。とてもためになったので参考にしたい。

「今日一日、色々な実技をを見てきてどうでしたか? 何か気に入ったもの、やってみたいものはありましたか?」

「そうですね……戦闘系はもちろんやりたいですが……とりあえず料理ができるようになりたいです」

「おや? それはどうしてです?」

「僕が作れるようになれば、救える命があるからです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。