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第一章 第五十話 〜感謝の儀式〜

「うわーん! テティカもスッきゅんも素敵だったよー!」

「本当に良かった、良かった――」

「やはり、工房を継ぐのはリベルしかおらんのう」

「俺の息子よ、あとは頼んだぞ」

「ママって呼んで」

「……なんでみんな、『酩酊クラゲ』頬張っているんだよ」

 

 結婚式と二次会が終わって、僕は魚人の村のみんなと別れを告げた。僕は自分の部屋に戻り、そろそろ寝ようかなと思っていたら、メイドさんに呼び出された。

 女王から「深刻な話があるから玉座の間まで来てください」って言われて、のこのこやって来て扉を開けたらこれだよ。酔っ払った女王、ラティナ、テティカ、スキュアルド、親方。何故か他の兵士たちもいるし。シェフやメイドさんたちも勢揃いだ。

 これは結婚式でも二次会でもない。親戚の集まりの悪ノリだ。遅い時間だからミレーナは寝ているのか、ここにいないのが幸いだ。僕はそっと扉を閉めようとした、が――

 

ガッ!!

 

 両腕を羽交い締めにされた。

「え?」

 僕は後ろを見上げると、そこにいたのはマリィとエリィだった。

「え、ええ!?」

 そのまま二人に玉座の間の中央まで連行される。

「ちょ、ちょっと!」

 すると、女王は玉座から降りて、右胸に手のひらを当て、立膝のような体勢になった。そしてそっと目を閉じた。他のみんなも同じポーズをした。シーンと静まり返る。立っているのは僕一人だ。やがて女王が口を開いた。

 

「救国の英雄、リベルよ。貴方のおかげでこの国は救われました。幾度となく試練に立ち向かい、我が夫である国王と、犠牲になった兵士たちの仇も討ってくれました。我々一同、心より感謝いたします」

 

 え――ええ? これ、僕のために集まってくれたの?

 

「貴方がいなければ、この国は滅んでいたことでしょう。しかし、身を賭して戦ってくれたことを、この国の人間は決して忘れはしません。この伝説は代々、永久に受け継いでいきます。本当にありがとうございました」

 

 全員が深々とお辞儀した。僕がこんなふうに人から感謝されるとは思っていなかったから、正直困惑している。

 

「リベルちゃん、地上に行っても私のこと忘れないでね」

「リベル、本当にありがとう! 私、もっと頑張るから」

「リベル、お前さんのおかげで敵に阻止されることもなく、この国も滞りなく動いているんじゃ。感謝するぞい」

「リベル、お前のおかげで叔父貴たちの仇を討てたぜ。ありがとうな!」

「リベル、あなたのおかげでこの国とスキュアルドを守れたよ。ありがとう」

 

 その後も次々と感謝される僕。「ありがとう」が鳴り止まない。

 お母さん、僕、人から感謝される人になったよ。まだ愛し愛されることはピンと来ないけど、お礼を言われる人にはなったみたいだ。

 僕は顔を覆って泣き出した。すると女王をはじめ、たくさんの人が僕を抱きしめた。

 

 

 夢を見ていた。

 たくさんの管に繋がれた子供が寝ている。

 それは過去の僕だった。

 眠ったままの自分に問いかける。

 

「今は目しか動かせないだろうけど、それでも必死に培った知識がいつか役に立つ時が必ず来る。その時まで頑張るんだよ。過去の僕」

 

 眠っている僕の目から涙が流れた。

 さあ、僕はもう行かなきゃ。

 夢の中から現実へ旅立った。

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