表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/57

第一章 第四十九話 〜深海の二次会〜

「……すごかった」

「でしょう。私、頑張ったんだから」

「一番の功労者はラティナじゃろう」

「親方も頑張ってくれたじゃない」

 僕らはそのまま玉座の間で、結婚式の二次会に参加していた。といっても、お祭り騒ぎの延長だ。人が多いのでバルコニーで立食している。

 城から中央広場、城下町の正門まで、出店も開店し、思い思いにこのめでたい雰囲気を楽しんでいる。中でもやはり聞こえてくるのは――

「テティカ王女、綺麗だった」

「スキュアルド兵士長、男前だった」

「ああ、私も結婚したい」

「俺も結婚したい」

 という声だった。それほど素敵な式だった。

 当のご両人と女王は対応に追われていた。大変そうではあるものの、みんながみんな、心から喜び合っていた。

 

「ミレーナ、ウニ食べれそう?」

「ウニ?」

「見ての通り、殻はトゲトゲが付いているから痛いけど、中身は甘くて美味しいよ。はい、あーん」

「あーん」

 僕はウニの殻を割った。そして匙で中身を取り出して、産まれたての第三王女に食べさせた。

「! おいしい!」

「本当? 良かったね」

 もし僕にもまともな兄弟がいたら、こんなふうな会話もできたのだろうか。そう思いながらミレーナの頭をなでる。すると背後から声が聞こえた。

「おう、嬢ちゃんが新しく産まれた第三王女か? よろしくな。俺の名前はブレブだ」

「ブレブ! 来たんだね!」

「来たぜ。さっきご両人にも女王にも挨拶してきたからな」

「リベルー! 久しぶりー!」

「おお! みんなも来たんだね! 奥さんも!」

 ブレブの三人の子供と奥さんもバルコニーまで来てくれた。さらに――

「ここに来るのは久しぶりじゃ」

「村長!」

「変わってなさそうで安心したわい」

 親方と会話を交わす。同窓会とかがあれば、こんな雰囲気なのかな?

「しかし、城での結婚式は久しぶりじゃ。ただ、ここまで演出を凝っているものは初めて見たが」

「あの病弱なラティナがここまでやるとは思わなかったじゃろう?」

「何、今回の結婚式はラティナが仕掛けたのか?」

「そうじゃ」

 照れて頭を掻く第一王女。

 

「久しぶりって、前回はいつぶり?」

「国王と女王の時以来じゃ」

「ああ、なるほど。その時はどんな感じだったの?」

「城下町の門から前の国王と女王が並んで進んで行っただけじゃ。ただ、その時も盛り上がったのは間違いない」

「昔はマイクも時計塔も、なんなら山車もなかったからのう」

「改めて親方すごいな……」

「しかし、まさか先にテティカが結婚するとはのう――」

 老人二人が第一王女を同時に見た。

 

ブホッ!!

 

 ラティナがエビを吹き出した。

「しょ、しょうがないじゃない! 機会がなかったんだから!」

「まあ蟹の一件で甚大な犠牲者が出てしまった。有能な男たちも数多く死んでもうたしな――」

「……」

「というわけでリベル、早く大人になれ」

 

ブハッ!!

 

 今度は僕がホタテを吹き出した。

「やはりそれしかないのう」

「第三王女も、頼んだぞ。子種だけでもいいからな」

 村長が笑顔でウインクした。この野郎。

「産まれたばかりの子供になんてこと言うんだ!」

 ミレーナは老害どもには目もくれず、僕らが吹き出した浮遊物に寄ってきた魚を見ている。そのままの君でいてほしい。

 

「――ジジイどもは何の話をしてるんだ?」

「さあ? 種付けがどうとか」

「まあ、深刻な問題だな」

「お! 三人とも来たんだね!」

 フィンリー、シード、ギルバートもやって来たと思った瞬間――

「「「リベル、諦めろ」」」

「揃えて言う言葉がそれかよ!」

 もうダメだ。海底には味方がいない。

「そんな三人はどうなのさ?」

「いや、俺ら恋人いるし」

「……そうなの!? 今日も来ているの?」

「来ているぞ」

「え!? どこ?」

「踊ってただろう」

「……え、えええ!? 踊り子さんたち!? 三人とも!?」

「そうだぞ。機会がなかったから言わなかったが」

 僕も驚いたが、傍から聴いていたラティナもびっくりしたらしく、彼女の近くの残飯処理魚は増えていた。ミレーナはそれを眺めるのに忙しそうだ。

 

 すると何を血迷ったか第一王女が脱ぎ始めた。

「い、今すぐ私と子作りしましょう!!」

「教育に悪い!!」

 僕はホタテの貝殻をラティナに投げつけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ